マドレーヌ

フランスのお菓子

コメルシー名物、マドレーヌの作り方:フランスのお菓子(12)

フランスのお菓子を紹介するシリーズ。今回はマドレーヌです。「マドレーヌ」という名前からフランス由来のお菓子だとわかりますね。

つづりは madeleine です。

マドレーヌは有名ですから、知らない人はいないと思います。が、一応説明しておきますと、貝殻の形をした小さな焼き菓子です。片面は茶色くてラインが入っていて、裏はうすい黄色でぼこっとふくらんでいたりします。日本でも大変人気のあるシンプルなお菓子です。

マドレーヌの歴史

マドレーヌがどこで生まれたのか、いろいろな説がありますが、もっとも有名なコメルシーでマドレーヌという名前の女中が焼いた説を紹介します。

コメルシー(Commercy)は、フランスの東部、ロレーヌ地方(Lorraine)の街の名前です。

18世紀後半、ロレーヌ地方を治めていたスタニスラス・レクチンスキー(ポーランドの王様だった)が、お屋敷でパーティをしていたとき、パティシエが料理長と喧嘩をして家に帰ってしまいました。

しかたないので、たまたまそこにいたお手伝いの女性が台所にあったありあわせの材料と、帆立貝の貝殻を使ってお菓子を焼いたら大好評。

この女中の名前がマドレーヌ・ポルミエ(Madeleine Paulmier)だったので、以後このお菓子はマドレーヌと呼ばれるようになりました。

実際マドレーヌはコメルシーの郷土名物になっており、たくさん製造されています。

こちらはコメルシーのマドレーヌを紹介するニュースクリップです。3分ほど。

マドレーヌの歌まで歌って力が入っていますね。

もう1つの説は、フランス革命当時、修道院を追われた修道女たちが、自分たちのレシピをコメルシーの菓子職人に売ったというもの。

18世紀の修道女たちは、お菓子を自分たちで作って売り、教会の資金源としていました。マドレーヌの形は、巡礼の象徴の帆立貝の形をしています。

コメルシーには、昔、マグダラのマリアを祀る修道院がありました。Madeleine (マドレーヌ)はギリシア語ではマグダラ。つまりこのマドレーヌはマグダラのマリアのことである、という説です。マグダラとは、ガリラヤ湖西岸にあった街の名前です。

マグダラのマリアについてはこちらに詳しく書いています⇒ヴェズレー・美しくも神秘的な村

ほかにも、19世紀始めジャン・アヴィスというパティシエが作り出したという説、その他いろいろあります。

このお菓子は1923年、マルセル・プルーストが「失われた時を求めて」という小説の冒頭に登場させたことから一躍有名になりました。

主人公が、マドレーヌを紅茶にひたして食べたら、いきなり幼い頃の記録が鮮明に蘇ってきたのです。

私が子どものころお店で売っていたマドレーヌは大きな菊型が多かったのですが、これは日本独自の形です。

マドレーヌが日本に伝わったとき、パン・ド・ジェーヌというお菓子と混同されて、そのお菓子の型を使うようになったとか。

パンドジェーヌはジェノバのパンという意味。

パンドジェーヌはこちら
SWISS PAIN DE GENES

マドレーヌの作り方

マドレーヌは小麦粉、バター、砂糖、卵、ベーキングパウダー、香り(レモンで香りづけすることが多い)を全部合わせてぐるぐるまぜて焼けばできあがる、とても簡単なお菓子です。

小学生でも作れます。

ポイントはやはり帆立貝の形でしょうね。これがあるから「かわいい」とか「おしゃれ」になるんだと思います。

☆伝統的なマドレーヌの作り方

材料

225g de farine  小麦粉 225g
175g de sucre  砂糖 175g
100g de beurre fondu とかしバター 100g
1/2 sachet de levure chimique ベーキングパウダーを1/2袋※
1 zeste de citron  レモンゼスト(レモンの皮を削ったもの)
4 œufs   卵4個
1 pincée de sel  塩ひとつまみ

※ フランスのベーキング・パウダーの小袋は11グラム入り。

作り方

下準備
●型にバターをぬっておく。
●オーブンを240℃に余熱。バターを溶かしておく。

1.卵を割り入れたボールに砂糖を入れてかき混ぜる

2.卵液に小麦粉、ベーキング・パウダー、塩ひとつまみを入れてなめらかになるまでかき混ぜる。

3.溶かしバターを少しずつ入れてかき混ぜる

4.レモンゼストを入れて香りづけする
香りづけはレモンのほかに、オレンジ水や、オレンジの皮、ベルガモット、バニラ、ピスタチオなどお好みでどうぞ。

これで生地のできあがり。生地を冷蔵庫に一晩から1日ぐらい寝かしてもいいです。そのほうがおいしく焼けるといいます。気の短い私は30分ぐらいなんとなく寝かせます。

5.焼きます。
このレシピでは240℃で3分、180℃にさげて12分です。焼き時間は型やオーブンによっても違うので適当に調節してください。

表面(線の入っていないほう)がぽっこりふくらめば成功です。

もう1つレシピを紹介しておきます。

次のフランスのお菓子はこちら⇒パピヨットはクリスマスのお楽しみ:フランスのお菓子(13)

フランスや日本では人気のマドレーヌ。しかし北米にはあまり入ってきていません。そのへんのスーパーでは売っていないので、マドレーヌを知っている人は、多少なりともベーキングに興味があるか、フランス料理について知っている人、特にお菓子が好きな人ぐらいです。






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