毎週土曜日に配信されるフランスダイレクトスクールの動画教材、「不思議の国のFrance」第48話の受講メモです。今回は後半でシャドーイングのやり方を書きます。
第48話のタイトルは Ce soir, au Club Rayé 今晩、クラブレイエで。
こういうふうに、時間と場所を並べるタイトルって時々ありますね。たとえばアラン・レネ監督の、1961年のフランス映画、L’Année dernière à Marienbad 去年マリエンバードで みたいに。
クラブレイエというのはディノさんが時々歌っているお店です。たまたま友だちのピアニストの演奏を見に行ったら、オーナーに気に入られて歌うことになったのだそうです。
rayé というのは「縞のある」という意味。その名の通り、店内の物は何もかもモノクロのストライプ模様がついています(後半でお店のプロモーションビデオを紹介しています)。
☆きょうのメニュー
●3つのキーフレーズ
●クラブレイエのプロモーションビデオ
●シャドーイングのやり方
3つのキーフレーズ
喜んでもらえるといいのですが
Ce soir, je vais vous faire quelques chansons, j’éspère que vous allez apprécier.
今夜、何曲か歌を歌います。喜んでもらえるといいのですが。
apprécier 高く評価する、~に好意的な判断をくだす
日本語の意味を見ると、硬いのですが、~を好きだ、という意味で使えます。
他の言い方
j’éspère que vous allez aimer.
j’éspère que ça va vous plaire.
1番心地よい
Ici, c’est le bar où je me sens le mieux.
ここは僕が1番心地よく感じるバーです。
le mieux は bien(よく;副詞)の最上級です。
この最上級の定冠詞は何をさしていてもいつも le です。言い換えると、副詞の最上級には常に定冠詞のleをつけます。
Choisissez le jour qui vous conviendra le mieux.
あなたのもっとも都合のよい日を選んでください。
C’est elle qui danse le mieux de nous tous.
彼女は私たちの中で1番踊りがうまい。
・・・ 「彼女」が1番と言っていますが、べつ性数一致しません。
ところが、何かとくらべているときは、定冠詞が名詞に一致します。
Des deux, elle est la mieux habillée.
2人のうち、彼女のほうが着こなしがいい。
最上級の説明はこちら⇒最上級~久松健一先生の「まいにちフランス語」42課 | フランス語
スタイルに合っています。
ディノさんがこのバーを好きな理由の1つは、バーの内装や雰囲気が、ディノさんの歌のレパートリー(20年代~50年代のジャズ)に合っているからです。
Ça correspond beaucoup à mon style.
ここは私のスタイルに最適なんです。
correspondre à ~に対応する、相応する
Ce travail lui correspond bien.
その仕事は彼(女)にぴったりだ。
Cette chaise ne correspond pas à la table.
この椅子はテーブルとマッチしていません。
Cette bêtise ne lui correspond pas du tout.
そんなへまをするとは、まったく彼らしくないね。
Club Rayé(クラブレイエ)のプロモーションビデオ
ディノさんが歌っているところをちょっぴり見られます。ディノさんをやとったオーナーが英語で説明。
この方はフレンチアクセントがないので、英語ネイティブかもしれません。
フランス語の会話力をつけるシャドーイングのやり方
今回の動画は、ディノさんが歌っている場面が多く、発話は少なめでした。こういうときは、シャドーイングの教材に使うとよい、ということで講師からシャドーイングのやり方の説明がありました。
それをふまえつつ、私の学習体験から、シャドーイングの効果的なやり方を紹介します。
シャドーイングとは、学んでいる言語をワンテンポ遅れて、真似をすることです。聞こえてきた音をそのまま真似をして口に出します。
影のようにあとからついていくのでシャドーイングと言います。同時通訳者になる訓練法の1つですが、今は、一般の人にもよく知られた練習法で話す力をつけるのに最適です。
シャドーイングのメリット
●自然なリズムや抑揚が身につく
●口のまわりが早くなる
●発音がよくなる
●リスニング力があがる
●会話がうまくなる
●表現が身につく
こんなところでしょうか。ターゲット言語の力を総合的に伸ばせるのがシャドーイングです。こんなにメリットがあるのですが、語学のプロはともかく、学習者でシャドーイングを地道にやる人はあまりいません。
なぜかというとシャドーイングは筋トレみたいで、ちょっと地味なんです。「語学で派手な勉強ってあるのか?」と言われたら思いつきませんが。
派手な勉強というより、楽しい勉強は、とりあえず語学学校に行ったり、スカイプでネイティブ講師と話すことでしょうか。
実際に話をすると、ときどき通じたりして楽しいものです。ですが、この手の練習は意識的にやらないと、ただ単に適当にごまかしつつ話し、「ふふふふ」と笑って、授業が終わるころには、すっかり内容を忘れておしまいです。
高い授業料がもったいないです。そこで、そのように生身の人間と話すのとは別に、家で1人でシャドーイングをすべきなのです。
シャドーイングは、1日2日気まぐれにやったぐらいでは効果が感じられません。半年とか1年、毎日やることで威力を発揮します。
この点でも筋トレに似ていますね。しかもシャドーイングはそんなに簡単ではありません。最初はできるだけ簡単な文章で始めると良いと思います。
「不思議の国のFrance」は生のネイティブ会話なので、超初心者には難しいかもしれません。
ラジオ講座もシャドーイングの素材に使えます。今の初級編「もっと話せるフランス語 ~文法より実践練習2」は初心者がシャドーイングするのになかなかいいと思います。会話が短いので。
応用編の「そうだ、中級の準備をしよう!~池袋より愛をこめて」でも、毎回シャドーイングがあり、ネイティブ講師がそれ用にテキストを読んでくれます。
しかし応用編はちょっと長めで難しいです。
いつも思うのですが、ラジオ講座は初級編と応用編の間がぽこっと抜けていますね。
シャドーイングに必要なもの
●イヤホン
ヘッドホンではないイヤホンがよいです。片耳は開けておき自分の声を確認しながらやります。
●あとについて真似る音声
今ならスマホ、PC、MP3プレイヤーで流せばいいです。私はアイフォンを使っています。
素材はラジオ講座でもいいし、手持ちの参考書についてる音声でもいいし、YouTubeにはそれこそくさるほど生の音声がありますし、わたしがブログの記事にときどき貼っている、ニュースクリップなどもいいと思います。
好きな本があればオーディオブックでもいいですね。スクリプトが手に入ればテレビドラマや映画でも。
自分がしゃべりたいと思うフランス語を素材にしてください。
●1人になれる環境
シャドーイングのやり方
準備段階その1:慣れないうちや、難しい内容は、音声を聞きながらスクリプトを読む。
準備段階その2:1文や少なめのフレーズごとにやる。だーっと流してやらない、ということです。うまくリピーティングできなかったら、スクリプトを確認します。
1文聞いて、ポーズボタンを押して繰り返すのをリピーティングと言います。これだってけっこう大変です。文章を覚えておく必要があるからです。
準備段階その3:テキストを見ながらシャドーイングをする。テキストを見ながらやると、正しい単語と音が結びつきます。
実際にシャドーイング:テキストを見ずにシャドーイング。
聞こえてきたままを忠実に真似します。意味を考える必要はなし。真似することに集中します。発音にこだわる必要もありません。タモリのようにうまく真似をすればいいのです。
集中しないとできないので、1回、15分ぐらいにとどめてください。けれど、毎日やります。
会話がうまくなりたい人は、自分の声を録音してチェックするとさらにいいです。
シャドーイングのコツ
難しすぎるものをやらない。これにつきます。やってみるとわかりますがシャドーイングって難しいのです。
初めてシャドーイングする人はまずは母国語(つまり日本語)でやってみてください。テレビのニュースやドラマなど。
簡単な日常会話は真似できますが、長台詞や、自分がよく知らない分野のニュースなんて、全然ついていけません。
ということは、ただ真似するだけでも、無意識レベルで、ある程度、発話されている内容になじみがないと真似できないのでしょうね。
次の「不思議の国のFrance」はこちら⇒混乱しがちな plus の発音:プリュとプリュスの使い分け
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シャドーイング、コストはかかりませんので、話す力をつけたい人はぜひお試しください。
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