冬場、フランスで人気のあるクレマンティーヌのグラタン(Gratin de clémentines)のレシピと作り方を紹介します。これはお菓子というよりデザートと呼んだほうがいいかもしれません。
クレマンティーヌとは?
clémentine (クレマンティーヌ)はみかんのことです。
フランス語ではみかんの呼び名が2つあります。
mandarine マンダリン(モンダリーヌ) もうひとつが、クレマンティーヌ。
この2つはともに見た目は「みかん」ですが、名前が違うようにちょっと品種が違います。しかしそっくりです。
クレマンティーヌのほうがマンダリンより色が濃く、少しこぶりで、甘酸っぱいです(私は食べたことはありません)。
100年ぐらい前にアルジェリアでクレモン神父という人がマンダリンとダイダイをかけあわせて作ったので、クレマンティーヌという名前になったとのこと。
他の国ではクレメンタイン、クレメンティン、クレモンタインなど微妙に呼び方が変わります。スペルはいつも clementine のようです。
これは女性の名前にもなっていますね。
2つの違いをもっと詳しく知りたい方は、この動画をごらんください。コルシカ島でクレマンティーヌの専門家がしっかり教えてくれます。4分ぐらいです。
マンダリンはクレマンティーヌのママである、と言ってます。
このクレマンティーヌを使ったフルーツグラタンが、クレマンティーヌのグラタン(Gratin de clémentines)です。
クレマンティーヌのグラタンの作り方
材料
4 ou 5 clémentines (ou 2 oranges) クレマンティーヌ4~5個(あるいはオレンジを2個)
2 oeufs 卵2個
50 g de cassonade カソナード50グラム
1/2 c. à café d’épices à pain d’épice (cannelle, anis étoilé, gingembre…) パンデピスに使う好みのスパイス(シナモン、アニス、ジンジャーなど)を小さじ2分の1
1 c. à soupe de Grand Marnier ou eau de fleur d’oranger グランマルニエかオレンジス水を大さじ1
カソナードはさとうきびからできている未精製の砂糖、といろいろなところに書いてありますが、精製してないってことはないと思います。精製度が低いとは言えるでしょう。茶色くて粒の大きい砂糖です。
こちらはこの人が使っていたサンルイという銘柄のカソナードです。ほかにペルーシュも有名です。
パンデピスはフランスでクリスマスによく食べるケーキの名前です。「スパイスのパン」という名前どおり、いろいろなスパイスを入れます。このケーキに使うスパイスで好みのものを使ってください。
グランマルニエはオレンジのリキュールです。
作り方
準備:オーブンを220度に予熱
1.クレマンティーヌを房から出しておく
2.卵の黄身と白身をわける
3.白身を泡立てて固いメレンゲを作る
4.黄身にカソナード、スパイス、グランマルニエ(またはオレンジ水)を入れてなめらかな生地になるまでかきぜる。
5.黄身の生地にメレンゲを加えて、なめらかになるまでかきまぜる(白身がつぶれないようにやさしく)
6.生地を耐熱容器にいれ、クレマンティーヌを並べて、カソナードをぱらぱらとふりかけ、オーブンに入れ、表面がこんがりするまで、5~7分ほど焼く。
あたたかいうちに食べたほうがおいしいと思います。
グランマルニエやスパイスは風味付けなので、なくてもいいです。クレマンティーヌを房から出さず、そのまま入れている人もいます。
バリエーション:梨とオレンジのグラタン、シナモン風味
もう1つ似たようなフルーツグラタンを紹介します。
Gratin de poires, oranges et cannelle(梨とオレンジのグラタン、シナモン風味)
材料
3 poires 洋梨3個
3 oranges オレンジ3個
3 jaunes d’œufs 黄身3つ
45g de sucre semoule シュクレスムール(グラニュー糖)45g
3 c à s d’eau 水大さじ3
1 zeste d’orange オレンジゼスト(皮)
Cannelle シナモン
1 cl de Muscat ミュスカ 10ml
3 tranches de pain d’épices パンデピス3切れ
20g de beurre バター20グラム
cl は centilitre センチリットルのことで、100分の1リットル。ミュスカはマスカットから作った甘口のワイン。
作り方
オーブンを高温に予熱
1.黄身に水、砂糖を入れ、湯煎にかけてかき混ぜる。
2.白っぽくなったら、オレンジゼスト、シナモン、ミュスカを入れてさらにかきまぜる。
3.フルーツを用意。皮をむいて適当に切る。
4.耐熱皿にフルーツを並べ、上から生地をかけて、さらにシナモンをふりかけて、高熱(グリルのポジションとあります)で3~5分焼く。
5.パンデピスでクルトンを作る。小さく切って、バターをひいたフライパンで炒める。
6.焼けたグラタンの上にクルトンを散らす。まんなかにシナモンスティックを置いてできあがり。
言葉に関する補足
サバイヨン(sabayon)
最初に、ダミアンが「これからサバイヨンを作ります」と言っています。これは sabayon で、卵黄、砂糖、ワイン(シャンパン)で作るムース状のクリームのことです。イタリア起源です。
「サバイヨンを作るためには水を入れなくちゃだめ」と言ってます。
グラタン(gratin)
日本語のグラタンはフランス語のgratin 由来です。gratin は gratter (こする、ひっかく)という動詞の名詞形。
gratinはお鍋や焼き皿にこびりついた部分(おこげ)も意味します。こびりついた料理をこすりとって食べるところから、gratin という言葉が生まれた、と言われております。
フルーツグラタンは焼き時間が短いので、みかんが余っていたらお試しください。ただ、昨今の日本のみかんは甘いから、あまりおいしくないかもしれません。
料理に使うフルーツ、特にクリームと合わせるものは甘酸っぱいほうがおいしいですから。それでは次回のお菓子の記事をお楽しみに。
この記事へのコメントはありません。