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フレンチポップスの訳詞

私のおかしな人生についての歌(Chanson sur ma drôle de vie):ヴェロニク・サンソン(歌と訳詞)

ヴェロニク・サンソンの初期のヒット曲、Chanson sur ma drôle de vie を紹介します。明るいラブソングです。

この歌の邦題を探したのですが、見つかりませんでしたので、私の訳をそのままタイトルにしました。邦題を知っている人がいたらコメント欄で教えてください。

直訳は、「私のおかしな人生についての歌」です。この drôle は形容詞ですが、ここでは名詞のように使われています。

drôle + de + 無冠詞名詞 という形で、「変な、おかしな、すごい、大した」という意味になります。drôleは、続く名詞に性数一致します。

Chanson sur ma drôle de vie

☆この歌詞では、Laisse les autres te faire des drôles de poèmes
となっているところは、別のサイトでは、Laisse les autres totems
Tes drôles de poèmes となってます。たぶん、トーテムのほうが正しいと思います。

それでは和訳に挑戦!

■私のおかしな人生の歌

あなたは私に言ったわね。私は、おかしな人生を歩むようにできていると
私には私の考えがあって、やりたいようにするのよ
あなたを私のおもしろい人生にお連れするわ
毎日あなたに会うわ
もし、私があなたに質問をしたら、あなたはなんと答える?
もし私が答えたら、あんたはなんと言うかしら?
もし2人が愛を語ったら、あなたはなんと言うの?

☆私は、あなたが私の深いところを愛する人生を送っていると知っているのだから
その印を全部私にちょうだい。そっと私にさわって。
あなたが問題をかかえていても、
私はあなたを愛していること、わかっているわよね。それは助けになるわ
他のことや、変な詩はほっといて、わたしのところに来て☆

私たち、2人でおかしな人生を始めたのよ
ずっと愛し合って、やりたいことをするの
あなたは私のおかしな人生につきあうこと確実よ
私はいつもあなたにこう聞くわ
もし、私があなたに質問をしたら、あなたはなんと答える?
もし私が答えたら、あんたはなんと言うかしら?
もし2人が愛を語ったら、あなたはなんと言うの?

☆~☆ 繰り返しX2

単語メモ

emblème 象徴、印
emblème は 思想や感情など抽象的な概念を表す象徴です。ここでは、「あなたが私を愛している証拠を見せてよ」という感じだと思います。

du bout des doigts (指先で)そっと、慎重に

totem トーテム
トーテムは、トーテムポールのトーテムで、部族があがめていた動植物などを形どった像です。ここでは、「好きなもの。好きなこと」だと思います。訳詞では、「他のこと」と訳しています。

この歌が作られた時点で、ヴェロニク・サンソンとおかしな人生を歩みつつあったのは、ミシェル・ベルジュだと思うので、曲なんて作ってないで、私のところに来なさいよ、という感じでしょうか。

文法ワンポイント

時制について

この曲で目立っているのは、単純未来形でしょうか?

といっても2つしか出てきませんが。

diras(dire), aidera (aider) です。

リフレインに入っているので目立っているだけかもしれません。

最初の Tu m’as dit que j’étais faite pour une drôle de vie

「あなたは私にこう言ったわね」というのは複合過去です。étaisは時制の一致で半過去形です。

時制の一致について⇒「まいにちフランス語」47:L69 時制照応 (じせいしょうおう)

それ以外は現在形です。

接続詞のsi

si の代表的な意味は、「もし~なら」ですが、仮定の意味で訳すと、意味がとおらないときがあります。

この曲の歌詞にあるこの部分も、

Si je sais que tu mènes la vie
Que tu aimes au fond de moi
Me donne tous tes emblèmes

「もし私が~を知っていたら、私に印をください」。

となり、日本語的にちょっと変です。

「私は~を知っているのだから印をください」、と訳すほうが自然なので、そのように訳しておきました。

「もう、私は、あなたが私に首ったけなのを知っているのよ。だから、その気持をもっと態度であらわしなさいよ」という感じです。

実際、siの意味を辞書で調べると、接続詞としては、

もし~なら(仮定) のほかにも、

~ではあるが、~であるにしても(対立、比較、情報)

~するときはいつも、~するごとに (反復)

~なのは(…だからだ)(事実の提示)

~だから、だからといって(原因)

などがあります。

なんでもかんでも、「もし~なら」と考えず、文脈に合わせて柔軟に意味をとらえるとよいと思います。

Chanson sur ma drôle de vie カバーバージョン

だいぶあとになってサンソンがセルフカバーしていますが、ここでは «Tout ce qui brille»という映画(2009年)の挿入歌として使われたものを紹介します。

歌っているのはこの映画に主演した2人の女優、Géraldine Nakache と Hervé Mimranです。

この映画は、幼いときからとても仲のよかった2人の若い女性に関する青春映画です。

こちらは予告編。

Tout ce qui brille は「光るものすべて」。Tout ce qui brille n’est pas or. 光るもの必ずしも金ならず。外見に惑わされるな。ということわざがあります。

パリにあるものはすべて光っていて、あらゆる可能性があるように、2人には見えたけれど、実は…。というストーリーです。

ヴェロニク・サンソンについて

この曲は、ヴェロニク・サンソン(1949生)のセカンド・アルバム、De l’autre côté de mon rêve(1972年)よりシングルカットされた曲です。

作詞作曲はヴェロニク・サンソン、アルバムのプロデューサーは、ミシェル・ベルジュです。

ベルジュは、サンソンのデビューアルバムと、このアルバムをプロデュースしていて、当時、2人は恋愛関係でした。

しかし、その後、サンソンは、スティーブン・スティルス(Stephen Stills)に恋をして、アメリカに渡ってしまいます。

最初は幸せだったけれど(たぶん)、その後いろいろあり、スティルスと離婚し、息子の養育権を完全に獲得するまで10年ぐらいかかりました。

ウイキペディアによるとアメリカを拠点にして活動していたのは、1973年~1981年です。

結婚の痛手のせいか、サンソンはこの頃、かなり重症のアルコール依存症でした。しかし、もともと才能のあった人なので、アルバムを出せばフランスではヒットしていました。

日本ではそうでもないんですが。

後にアルコール依存症は克服したようで、いまも現役で活躍しています。

ヴェロニク・サンソンのプロフィールはこちらにも書いています⇒歌と訳詞:Amoureuse(恋人)ヴェロニク・サンソン

アマゾンで「ヴェロニク・サンソン」で検索したら、

「マイ・ファースト・フレンチ・ポップス」というフレンチ・ポップスの有名どころを集めたオムニバスアルバムと、

「ドビュッシーな一日」というピアノのアルバムと(ヴェロニクという名前の人が演奏しているらしい)と、

「愛のストーリー」というヴェロニク・サンソンのLPレコードが出てきただけでした。

「え、まさか、そこまでヴェロニク・サンソンは人気がないのか?!」と驚いたのですが、「ベロニク・サンソン」で検索をかけたらたくさん出てきました。たくさんといっても7枚だけで、そのうち2枚は本人のアルバムではありません。

やはり日本では、フランスに比べると、あまり人気がないようです。

とても才能のあるアーチストだと思うのですが。私は、デビュー曲のAmoureuseを初めてラジオで聞いたとき、少なからず衝撃を受けました。この曲、今きいても全然古くないし。

単に私が、英米よりの音楽が好きだからでしょうか。






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コメント

  • コメント (2)

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    • machan
    • 2020年 3月 07日 3:47am

    PENさん、こんばんは。以前、ツイッターで何度かやりとりさせていただいたものです。その頃は、penさんがこんなにシャンソンが好きだとは知りませんでした。
    わたしは、シャンソンを聞くのも歌うのも好きなのですが、特にシャルル・アズナブールの大ファンですが、実は、ここ半年は、ヴェロニック・サンソンの魅力に取りつかれてはまっています。この Chanson sur ma drole de vie. はいま、ちょうど練習しているところです。彼女の若いころの歌い方も好きですが、最近、Vianiとduoで歌っているヴアージョンもおしゃれで大好きです。ちょっとブルースっぽいかな。 

     ヴェロニック・サンソンは、日本ではもしかしたら、一度もコンサートをしたことがないのでしょうか。あまり人気がないようで、とても残念です。わたしが、特に好きなのは、Ma reverence. Vanocouver, Quelques mots d’amour. Vur sur la mer. などなど、ほかにもたくさんあります。 彼女が日本で人気がいまいちなのは、暗い歌、烈しい気性の歌がたくさんあって、それが、日本のフランス好きの好みと合わないのかなと想像しています。日本人のフランスのイメージを言うのは、おしゃれ、かわいい、きれいという、表面的なものなのかなと。
    では、また、よろしくお願いします。

      • pen(フランス語愛好家)
      • 2020年 3月 07日 9:12am

      machan さん

      こんにちは。コメントありがとうございます。

      以前も、ヴェロニク・サンソンが好きだとコメントされた方がいますが、もしかしてmachanさんですか?

      このブログでは、ヴェロニク・サンソン、人気があると思います(ほかの記事にはコメントが入らないので^^;)
      まあ、シルヴィー・バルタンなんかに比べると、知名度が劣るかもしれませんが。

      昔、私が学生の頃、FM放送では、ヴェロニク・サンソン、よくかかっていたような。
      暗いというより、メランコリーな歌が多いですかね。

      デビューアルバムは私は今でもよく聴いています。

      私はシャンソンが好きというより、音楽が好きなのです。
      中学生のときから洋楽を聞いています。

      しかし、本当は、英米のロックやポップスのほうがなじみがあります。
      このブログのテーマはフランス語なので、フレンチポップスを紹介していますが。

      またヴェロニク・サンソンの曲、紹介しますね。

      コメントありがとうございました。

      pen

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