フランスの子どもたちが大好きなおやつ、シュケット(シューケット)を紹介します。
chouquette というスペルからわかるようにシュークリーム(chou à la crème)の生地を小さく絞り出して、上にあられ糖(ワッフルシュガー、パールシュガー)をふりかけた焼き菓子です。
日本ではシューケットと呼ぶことが多いようですが、フランス語の発音は、どちらかというとシュケットです。
まずシュー生地の歴史を少し紹介します。
シュー生地はいつできたのか?
シュケットとかシュークリーム、エクレアの生地はシュー生地ですが、これはフランス語で、pâte à choux (パタシュー)といいます。
シュー生地が生まれたのは16世紀です。
この生地はフランスの王様アンリ2世の王妃、カトリーヌ・ド・メディシスの料理人(パティシエ)、ポペリーニ(Popelini)が、1540年に開発したと言われています。
といってもいきなり作ったわけではなく、前任のパティシエのレシピを完成させたのだと思います。
14世紀になってルネッサンスが始まったのはイタリア。イタリアはローマ時代からの伝統があり、この頃はフランスよりも文化的に進んでいました。料理もまたしかり。
しかし、フランスがだんだんパワフルになってきたため、イタリアはフランス王室との政略結婚をすすめました。カトリーヌは、イタリアのメディチ家の出身で、イタリアの進んだ生活様式をフランスに持ち込んだのです。
アイスクリーム、マカロン、フロランタンなどもカトリーヌのおかげでフランスに広まった、とも言われます。
しかし、学者によっては、すでにフランスの食文化はイタリアと同じぐらい進んでいた、と主張する人もいます。いずれにしても、カトリーヌは、大変な美食家で、晩年はどんどん太っていったそうです。
5月1日、スズランの日にスズランを贈るようになったのは、カトリーヌが始めたこと、という説もあります⇒5月1日、メーデー(労動祭)の由来は何? カトリーヌ・ド・メディシスの子ども、シャルル9世がこの日をスズランの日と制定しました。
☆カトリーヌ・ド・メディシスについてはこちらの記事で詳しく書いています⇒パリ・オペラ座バレエ学校の『小さなネズミたち』
シュー生地の特徴は、軽くてふくらむところにあります。
ましてやシューケットは一口サイズなので、どんどん食べてしまいますね。
では、いつものように750gのシェフダミアンとサンドラのレシピからごらんください。
失敗しないシュケットの作り方
inratable は しくじるはずがない、という意味。rater は「不発に終わる、失敗する」という意味の動詞です。
シュケットの材料
250g d’eau 水 250グラム
80g de beurre バター 80グラム
1 pincée de sel 塩ひとつまみ
125g de farine 小麦粉 125グラム
3 à 4 œufs 卵3~4個
Sucre grain あられ糖
照りをつけるための卵と塩ひとつまみ
作り方
1.鍋に水をいれて火にかける。バターを少しずつ入れる(シェフダミアンはカットしながら入れてます)。塩を入れる。
2.沸騰したら、火からはずして、小麦粉を入れ、木のスプーンなどでぐるぐるかきまぜる。
3.小麦粉が水を吸ったら、弱火にかけて、鍋からくるりと取れるようになるまで生地をかきまぜる。
4.火からおろして生地が少しさめてから、卵を1つずつ入れて、生地をゆるくする。
5.生地を持ち上げたとき、びろーんと逆三角形の形に伸びるぐらいになったら、卵を入れるのをやめる(生地がぶつぶつと切れるのは固すぎます)。
☆丁度いい硬さにするために、最後のほうに入れる卵はいきなり1つぼんと入れるのではなく、溶き卵を少しずつ入れます。
6.生地を絞り出し袋に入れてベーキングシートやベーキングペーパーの上に小さく絞りだす。
7.照りをつけるために、溶き卵に塩をちょっと入れたものを刷毛で塗る。このとき、スプーンや刷毛で形を整える。
8.あられ糖を盛り付ける
9.180℃のオーブンで15分ぐらい焼く。ぶわっとふくらんだら焼けています。
温かいうちに食べてください。
次はmarmitonのレシピです。こちらはベーキングパウダーを入れます。
シュケットの作り方2
材料
1/4 de litre d’eau 水1/4リットル(250cc)
100 g de beurre doux 室温で柔らかくしたバター 100g
150 g de farine 小麦粉 150グラム
1 cuillère à soupe rase de sucre semoule パウダーシュガー大さじ1
1/2 cuillère à café de sel 塩小さじ半分
1/2 cuillère à café de levure chimique ベーキングパウダー 小さじ1/2
1 sachet de sucre vanillé バニラシュガー1パック(10グラムぐらいでしょうかね?まあ、なくても大丈夫です)。
3 gros oeufs ラージサイズの卵3個
sucre perlé あられ糖
作り方
1.鍋に水とバターを入れて加熱。
2.小麦粉に他の粉類を全部入れて混ぜておく。
3.バター入りの水が沸騰したら鍋を火からはずして、粉類を投入。
4.生地が鍋肌からつるりと取れるまで、しっかりかきまぜる。
5.オーブンを210度に予熱。
6.生地を少しさめてから、卵を1個ずつ投入し、ちょうどいい硬さの生地を作る。
7.天板にオーブンシートを敷く。
8.絞り出し袋に生地を入れ、小さく絞り出す。
9.指で表面に水をつけつつ形を整える
10.あられ糖をのせる
11.210℃で15分焼く
ベーキングパウダーを入れていますが、別にいれなくてもふくらみます。
水の代わりに牛乳を使うレシピもあります。
レイチェル・クーのシュケット
最後にイギリスの料理研究家レイチェル・クー(Rachel Khoo)のThe Little paris Kitchen (パリの小さなキッチン)のシュケットを紹介します。
レイチェルさんのレシピはいつも独自のアレンジが入っています。
外国人がパリに対していだいているイメージに合ったかわいいキッチンやレトロなファッションが人気です。
レイチェルが言っているように、チーズをトッピングすれば gougères (グージェール)という甘くないスナックになります。シュー生地は基本的に砂糖を入れないからです。
シュケットはシュークリームみたいに、クリームを詰めなくていいので簡単です。材料も水とバターと小麦粉と卵だけです。
道具も鍋と絞り出し袋だけなので、後片付けも楽ではないでしょうか?
絞り出し袋をきれいに洗うのはちょっと面倒ですが。
この記事へのコメントはありません。