『シンデレラ』のフランス語のタイトルをご紹介します。
お伽話の中では最も有名な話と言えそうですが、まだこのシリーズで取り上げていませんでした。
シンデレラはフランス語で?
Cendrillon ou La Petite pantoufle de verre
直訳は「サンドリヨン またはガラスの小さな靴」
Cendrillon cendre(灰)から来た呼び名。;灰かぶり、灰まるけ
ou または
la 女性名詞につく定冠詞
petite 小さい(女性形)
pantoufle スリッパ、部屋ばき、フラットシューズ
de ~の
verre ガラス
英語は Cinderella(シンデレェラ 2つ目のeにアクセント)
ellaは女性の愛称を作る語尾
シンデレラは欧州の各地に似たような話が伝わっています。
童話としては、フランスのシャルル・ペロー、ドイツのグリム兄弟のバージョンが有名です。
シンデレラをご存知ない方はいないでしょうが、ごく簡単にあらすじを書いておきますね。
シンデレラ(灰まるけ)あらすじ:penバージョン
昔々あるところに、貴族の男性がいました。奥さんが亡くなったので、後妻をもらいました。
この後妻は、2人の娘を連れて、男性の家に入りました。
男性には亡くなった奥さんとのあいだにできた娘がいて、この娘がこの話の主人公です。きれいで気立てのよい子です。彼女は連れ子より若く3人姉妹の末っ子になりました。
お姉さんたちが18歳ぐらいで、末っ子が16歳ぐらいでしょうか?
後妻はとても性根が悪く、義理の娘をいじめ抜きます。
末っ子を蜘蛛の巣だらけの屋根裏部屋に追いやり、家事をすべて押し付け、お姉さんたちの世話をさせました。
末っ子は家事に疲れたのと、寒いのとで、いつも台所のかまどの前でうずくまっていました。ここならほんのりあたたかいですから。
しかし、そのせいで灰まるけでした。後妻と義理のお姉さんたちはその様子を見て、彼女をサンドリヨンと呼びました。これは「灰まるけ」という意味です。
さて、お父さんはいったい何をしていたのでしょうか?自分の子どもがそんなふうにいじめられていたというのに?
彼は後妻の側についていたのです。不思議ですね?
ある日お城でパーティが行われ、お姉さん2人は力いっぱい着飾って出かけました。
灰まるけも行きたくて、泣いていたら、名付け親であり魔法使いでもある女性が現れ、親切にも馬車や馬、御者などを魔法で用意してくれました。
馬車は元かぼちゃ、馬や御者はねずみです。魔法使いが杖で灰まるけをさわったら、ぼろぼろの服が素敵なドレスになりました。
きれいな靴を灰まるけに渡しながら、魔法使いはこう言います。
「魔法は夜中の12時にはとけるんよ。必ずその前にお城を出なきゃいけん。」
灰まるけはパーティで王子さまと楽しくダンスします。でも制限時間は覚えていました。
ギリギリまで踊っていたので、12時直前にバタバタとお城の階段を駆け下りることになり、靴が片方どこかに飛んでいきました。
灰まるけに一目惚れした王子さまは、その靴を従者に渡し、持ち主を探すように命じました。
従者は国中の若い娘の足に靴をあてがって歩きましたが、見つかりません。
最後に灰まるけの家に来ました。お姉さんたちは、無理やりその靴に足をねじこもうとしましたが、入りません。
灰まるけがはいてみたら、あらびっくり。あつらえたようにフィットして、従者は仕事が終わってほっとしました。
灰まるけはお城に呼ばれ、王子さまと結婚し、そのあとは灰だらけで家事をすることもなく、幸せに暮しました。
シンデレラの人気の秘密
今もってこの童話が根強い人気がある理由を考えてみました。
逆転の構図
1.シンデレラがはじめ文字通り、灰まるけで、とことんかわいそうであったのが、最後に逆転ホームランのように幸せになる。
2.魔女が杖をひとふりすると、かぼちゃが馬車に、ネズミが馬や御者に、ぼろぼろで灰まるけの服が美しいドレスに一瞬のうちに変わる。
ドキドキする場面
緊迫する場面が少なくとも3つ用意されています。
1.12時前に帰らなければならないというタイムリミット。
2.12時前に階段を駆け下りるアクション。
3.「靴が足にあうか、あわないか」というスリリングな場面
ボーナスポイント:きらびやかな場面、小道具
1.お城の舞踏会
2.ガラスの靴
シンデレラの靴をガラスとしたのはペローだと言われていますが、これもロマンチックな演出です。わらじみたいな靴だと、脱げるときもはかせるときも絵になりませんから。
★靴については以前の記事に書いています。
こちら⇒大事なのは自分の足にあう靴をはくこと
この物語はたくさんの映像作品になっています。
最も有名なのはディズニーの映画でしょう。
きょうはイタリア製のアニメ(だと思っていたけど実は日本のタツノコプロの作品)のフランス語版をご紹介します。
このアニメは、お父さんは仕事で遠くへ行ってしまい、そのあいだに継母にいじめられる展開。
フランス語は聞き取りやすく、日常よく出てくる表現が満載です。
これはエピソード1
お父さんが旅立ち、いじめがはじまりました。
22分13秒
灰まるけが夕食の支度をしているとき、ネズミ2匹が手伝って、塩とこしょうをスープに入れます。熱心に入れ物を振っていたら、蓋が取れ、全部スープの中に入ってしまうところが笑えます。
【関連サイト】
シャルル・ペローのサンドリヨン(音声付き、要Quicktime)
⇒Cendrillon de Charles Perrault
「灰だらけ姫」(青空文庫)
⇒ペロー Perrault 楠山正雄訳 灰だらけ姫 またの名「ガラスの上ぐつ」
★このシリーズを最初から読む方はこちらから
⇒第1回『白雪姫』
☆上で紹介したアニメに特化したブログを作りました(2019/07/24)⇒シロツメクサの夢 | シンデレラ物語(タツノコプロのアニメ)を楽しむブログ
日本人にとって「シンデレラ」の「シン」も「デレラ」も音の響きとしては、きらびやかなイメージがありますが、「灰だらけ」という意味だったのですね。
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