今日、ご紹介するフランス語のことわざはこちらです。
犬は猫を産まない。
Les chiens ne font pas des chats.
犬は猫を産まない
きょうも猫に関することわざを選んでみました。
「犬は猫を産まない。」
じゃあ、猫は犬を産むのかというと産みません。
犬の子は犬、猫の子は猫ということです。
これを私たち人間にあてはめると、「子は親に似る」という意味になります。
犬と猫は私たちにとってどちらもなじみのある動物ですね。
犬派、猫派と人類をおおざっぱに分類することさえあります。
個人的には、犬猫に興味のない人もいると思うので、犬派、猫派、どっちでもいい派、両方好き派に分けるのが妥当でしょうか。
ちなみに、私はどちらかというと猫が好きです。
もう何十年も前、弟が捨て猫をを拾い、私と母が住んでいた家に連れてきたことがあります。
かわいい猫でしたが、奇病にかかってしまい、まだ若いうちに安楽死させた経験があります。
ひじょうに悲しい別れでしたので、もうあまり飼いたいとは思いません。
そのように私たちの生活に深くかかわっている犬と猫。
フランスでは仲が悪いということになっており、日本語で「犬猿の仲」というのをcomme chien et chat 「犬と猫のように」と表現します。
前回のことわざも猫が登場します⇒フランス語のことわざ7~あつものに懲りてなますを吹く
よくわかる!フランス語の解説
★単語の意味
chien 犬
ne … pas ~ではない(否定をあらわす)
font < faire ~を作る の三人称複数の活用
ここでは(子どもなどを)作る、産む、という意味です。
他の例文:
Ils ont fait trois enfants.
彼らは3人の子どもをもうけた。
chat 猫
★直訳
「犬は猫を産まない」
★文法のポイント
このことわざのポイントは les chiens と des chats と主語(犬)と目的語(猫)で使っている冠詞が違うことです。
堀北真希「いち髪」CMのフランス語 その2でも書きましたが冠詞が違うことにより
les chiens:定冠詞(複数形)を使い犬というもの全てを意味する→犬の本質を述べている。
des chats :不定冠詞(複数形)を使い単に「たくさんの猫」「一匹以上の猫」というぼんやりしたニュアンス。
という意味の違いが出ています。
似ている英語のことわざ
英語にも同じ意味のことわざがいくつかあります。
The apple doesn’t fall far from the tree.
りんごはその木よりずっと遠くには落ちない。
Like hen like chicken.
ひよこは雌鳥(親鳥)に似る。
Like father, like son.
息子は父親に似る。
フランス語のLes chiens ne font pas des chats.は、
親子の見た目やふるまいが似ているさまをいうそうです。
日本語の「蛙の子は蛙」というのは、見た目が似ているというより、子どもが何か成果をあげることができなかったとき、「しょせん、蛙の子は蛙」というネガティブなニュアンスで言うことが多いですね。
よって人をほめるときには使わないほうがいいでしょう。
自分の子どもをほめられるのはともかく、けなされると親はひどく傷つきますので、どっちにしろ、こうしたことわざをあんまり軽々しく口にしないほうがいいです。
子どもに言うときも同様ですね。
子どもは親を選べませんが、親だって子どもを選べません。
ただ、親は自分の好きなように育てるという選択肢があり、実際そう試みている人もいます。でもやりすぎて不幸を招くことも多々ありますね。
親子でも一人の人間としてお互いに尊重しあい、それぞれが自分の人生に責任を持つ生き方をするのがベストでしょうか。
犬は一匹の犬として、猫は一匹の猫として、自分は一人の人間として、自分自身を大事にするのが得策と言えそうです。
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