マルセル・パニョル(1895-1974)の子どもの頃の夏の思い出を描いた1990年のフランス映画、『プロヴァンス物語 マルセルの夏』の予告編でフランス語を学習しています。
原題は La gloire de mon père
『プロヴァンス物語 マルセルの夏』予告編
この映画の概要とマルセル・パニョルについては初回の記事をどうぞ⇒『プロヴァンス物語 マルセルの夏』~予告編のフランス語(1)
『プロヴァンス物語 マルセルの夏』予告編のスクリプトと和訳
今回は1分8秒から最後まで。たいしてセリフはありません。
La bartavelle.
Qu’est-ce que c’est ?Papa.
Il les a tué, toutes les deux. Il les a tué.Ici le bonheur coulait de source, simple comme bonjour. Alors, commencèrent les jours de ma vie.
ナンオウイワシャコだ。
何だい、それは?
パパ。
パパが獲ったよ。2匹とも。パパが獲った。
ここでは、ごく自然に幸せが泉のようにあふれていた。私の人生の最良の日々が始まったのだ。
単語メモ
bartavelle ナンオウイワシシャコ、ハイイロイワシャコ
ヨーロッパ南部の山岳地帯にすむキジ科の鳥;狩猟用 = perdrix de roche
この鳥の名前の語源はプロヴァンス語の bartavello より。 意味は「掛け金」。鳴き声が掛け金の音に似ていることからついた名前です。
simple comme bonjour = C’est simple comme bonjour.
とても簡単だ。たやすいことだ。
文法的に特に難しいところはありません。ナレーションやセリフまわしはゆっくりなので、もしスクリプトが手に入ればフランス語の学習によさそうな素材です。
今回のお話の背景
bartavelleの話をしているのは、マルセルのおじさん。お母さんの妹のご主人です。この陽気なおじさんは、敬虔なカソリックの信者。ところが、マルセルのお父さんはいわゆる無神論者(athée)で、宗教に関しては話があわないのです。
陽気なおじさんは、自分は狩りが得意といって、マルセルのお父さんを狩猟にひっぱりだします。
原題のタイトルの、La gloire de mon père の訳は、父の功績、栄誉、です。しっかりしたストーリーはないのですが、父と子の映画として見ることもできます。
マルセルはお父さんをすごく尊敬していたのですが、自分が成長するにつれて、父も全能ではない、ということがわかってきます。
これは、子ども時代にはよくあることですね。特に、マルセルは、3歳のときに字が読めた神童で、ひじょうに早熟な子どもでしたから尚更でしょう。
原作の翻訳は中古本で入手可能⇒父の大手柄―マルセルの夏 (評論社文庫―少年時代)
英語版の予告編
英語版の予告編は、全編ナレーション。
音楽がいいですね。
日本語版の予告編
日本語版は、フランス語版に字幕をつけたもの。
このお父さん、厳しいけど、温かくてまじめで働き者で家族想いのいいお父さんです。マルセルはお母さんのことも大好きだし、幼いときに、両親をこんなふうに全面的に信頼できるのって幸せなことですね。
考えてみれば、私も小さいときはそうでしたから、たいていの子どもはそうですかね。
この映画では、お父さんに、続編のLe Château de ma mère 邦題「マルセルのお城」。直訳は お母さんのお城 では、お母さんにスポットがあたっています。
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