フランスの女性歌手、ベリーの«Le Bonheur» (幸せ)という曲をご紹介します。bonheur は「幸せ」という意味。なりたちは bon(良い)+heur(時間)。反対語の「不幸」はmalheurです。
アコースティックギターにのせてリラックスしたやさしい歌声を聞かせてくれています。
Le Bonheur (幸せ)~ベリー
ギターがいいですね^^
それでは訳詞に挑戦!
最初のほうだけ、オリジナルを引用します。
Le Bonheur(幸せ)
☆N’ayez pas peur du bonheur
Il n’existe pas
Ni ici, ni ailleurs
Da di da di da, da di dam
幸せをおそれないで
そんなものないの
ここにも、どこかよそにも
ダ・ディ・ダ・ディ・ダ、ダ・ディ・ダン☆
Nous allons mourir demain
Ne dites plus rien
Le bonheur conjugal
Restera de l’artisanat local
明日には、死ぬかもしれない
これ以上何も言わないで
夫婦の幸せなんて
職人の手にまかせましょう
★Laissez vous aller
Le temps d’un baiser
Je vais vous aimer
好きにしましょう
キスの時間
私はあなたを好きになるわ★
宝物は隠されてはいない
ここにちゃんとある
私たちの足元に見えてるわ
でも、私たち、そのうえでひっくりかえりそうなの 1.
人生が一度だけなんて、残念ね。
でもあなたとの出会いという贈り物をくれたわ 2.
★~★ くりかえし
海水がいつも塩辛いように 3.
何も変わらないわ
人は互いに愛しあい、互いに葬り去る 4.
手を見つけて、それを握りしめるの
☆~☆ くりかえし
★~★ 二回くりかえし
歌詞はこちら⇒🐞 Paroles de Berry : Le Bonheur – paroles de chanson
単語メモ
conjugal 夫婦の
lien conjugal 夫婦の絆
artisanat 職人仕事、手仕事
artisanat local はその地方の名産品やそれを作る技術だと思います。
dévoiler おおいをとる
ferait faire 条件法
dommageable 損害を与える、有害な
serre serrer 握り締める
※補足
1.Il nous ferait presque tomber
それ(足元にある宝)は、ほとんど私は転ばせようとしている(が転びはしない=条件法なので)
ここは、今ひとつよくわからなかったです^^;
2.C’est le temps d’une joie qui s’offre comme vous à moi
たぶん直訳は
それ(=人生)はあなたが私のもとに来たような贈り物をくれる喜びのときです。
3..Un peu de sel dans la mer
海の中にある少しの塩
4..On s’adore on s’enterre
お互いに愛しあい、お互いに埋葬しあう⇒人生は他人とかかわりあいながら生きて、死んでのくりかえし、というようなことだと思います。
文法ワンポイント
N’ayez pas peur.
おそれないで。
ayez < avoir のvousに対する命令法です。否定文
文法用語では命令法なのですが、日本語にすると「こわくないですよ、だいじょうぶですよ」という感じです。
ほかの人称の命令法
tu →aie
nous →ayons
フランスの女性歌手、Berry(ベリー)
Berry(ベリー)は2008年にアルバム «Mademoiselle» でデビューしたシンガーソングライター(って死語なのか?)。歌だけでなく、女優やモデルとしても活躍している美しい方です。
その雰囲気から、フランソワーズ・アルディやカーラ・ブルーニの再来などと言われますね。あと、気取らない感じがジェーン・バーキンみたいでもあります。
アコースティックな曲が多く、日本人に受けそうな気がします。ただ、ちょっと力強さにかけるかもしれません。
さらっとした感じなんですよね。CMに使われそうな曲といえばいいでしょうか。
日本ではまだ輸入盤しか出てないようです。でも、最近はあまりCDを買う人がいないでしょうから、べつにいいのでしょうか。
最新作(といっても2012年の春発売)です。
本人の好きなイギー・ポップの«Les Passagers» をフランス語でカバーしていて、これがアルバムのタイトルにもなっています。⇒実際に、Les Passagersを聞いてみたら、似ているけれど違う曲でした
幸せとは?
ベリーは、幸せなんてない、と言ってます。特にそんなものを探す必要はなく、今この状況が幸せなので、自然にまかせましょう、ということでしょうか。
確かに、現代人は「我々は幸せにならなければいけないのだ!」と必死になってるふしがあります。
それから、もう一つ「成功しなければならない!」というのもありますね。上昇志向っていうんでしょうかね?
たった一度の人生だからこそ、今自分のまわりにすでにあるもの、緑の美しさとか、友達の笑顔とか、雨の音、朝のすっきりした目覚めとか、そういうものを楽しむことができるといいですね。
この考え方は、先日翻訳講座で読んだ「偽りの幸せを子どもに与える必要はない。子どもは幸せを見つける能力がすでにあるのだから」というのと似ています。
その文であげられていた幸せの例は、オーブンの中で焼いているパンのおいしそうな匂いでした。
それは一瞬のことであり、理屈抜きなんです。
今さっとつかんで味あわないと失われてしまいます。
まあ、パンはまた焼けばいいんですが・・・。おいしく焼こうと思って、焼き時間とか発酵具合などを考えながら、パンの焼成をチェックしていると、それはもうあんまり楽しくないのですよね。
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