セルジュ・ゲンズブールの « La Chanson de Prévert »「プレヴェールに捧ぐ」という曲を訳しています。
現在、NHKで放送しているラジオ講座「百合のFranceウォッチング」のテーマソングですね。
La Chanson de Prévert プレヴェールに捧ぐ
きょうはゲンズブールが歌っている動画です。
3分4秒
58秒ぐらいのところから訳します。
***
もちろん他の女性とつきあうこともある
でも、彼女たちの歌は単調だね
そして少しずつ、僕は興味がなくなるのさ
それはどうすることもできない
だって枯葉の季節が来るたびに
君のことを思い出すんだ
毎日毎日
死んだはずの恋だけど
死に切らない恋ってわけ
Peut-on jamais savoir par où commence
Et quand finit l’indifférence
Passe l’automne, vienne l’hiver
Et que la chanson de Prévert
いつから無関心が始まり、どこで終わるのか
人はいずれ知ることができるのだろうか?
秋が過ぎ去って、冬が来てほしい
プレヴェールの歌も去ってほしいのさ
この歌。「枯葉」は
僕の記憶から消える
そして、その日こそ、僕の死んだ恋が
本当に死に絶えているだろう
※歌詞はこちらです⇒Serge Gainsbourg – La Chanson de Prévert Lyrics | Genius Lyrics
この曲とジャック・プレヴェールの「枯葉」のかかわりなどについては、前編に書いています。こちら⇒セルジュ・ゲンズブールの「プレヴェールに捧ぐ」訳詞 前編
単語メモ
s’abandonner à ~に身を委ねる
jamais いつか(未来)
par ~の時
s’effacer 消える、忘れ去られる
auront fini 前未来 avoir未来形+過去分詞
En auront fini de mourirのenはその前にあるmes amours mortesをさす代名詞だと思います。
きょうの文法ワンポイント:接続法
接続法はふつう
Je veux que tu partes demain.
気味に明日出発してもらいたい。
というふうにqueのあとに続いています。
でも歌詞や詩にはこれ以外のパターンでもでてきます。
Passe l’automne, vienne l’hiver
これはqueを省略して主語を倒置する接続法。
願望を表しています。
「秋が去ってほしい、冬が来てほしい」
別の例
Vive la France ! フランス万歳!
vive < vivre 生きる
直訳は「フランスよ、生きたまえ」
また、以前アメブロで訳したアポリネールの「ミラボー橋」にも、
Vienne la nuit sonne l’heure
Les jours s’en vont je demeure
夜よ、来て、時を鳴らすがいいよ
日々は過ぎてゆくが、僕は変わらない
という箇所があります。
Et que la chanson de Prévert
このqueも接続法を導くque
「プレヴェールの歌も、秋と一緒にどっか行ってくれ」という彼の願望をあらわしています。
penの解釈
どうやらこの歌を歌っている人は、昔の恋人のことをもう忘れたいらしいです。
まだ未練があって、思い出すとつらいからですね。でも最後には「忘れる日が来る」と言っています。
この曲は、昔の恋を歌っているのが一つ。
もう一つは、プレヴェールの詩人としての才能をたたえると同時に、「でも僕のほうがそのうちもっと上手い詩、書くもんね」、というゲンズブールの闘志や決意を歌っているとも言えますね。
しみじみとしたいい曲です。
春から始まる講座にはふさわしくないと思っていたのですが、今の季節ならぴったりですね。
Oen さん
Prevert et Kosma のles feuilles mortes も勿論ですが、
このLa Chanson de Prevert もいい歌ですね。知りませんでした。いつも教えていただき、ありがとうございます。 数十年前のことを思い出します。
表参道のPres Verre にも虎と小鳥のメンバーがよく行くようですね。
樋沼達雄
樋沼さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
この歌は今のラジオ講座初級編のテーマソングになっています。
いい歌ですよね。
プレヴェール(パリの店の)の店主も、ジャック・プレヴェールが好きで、そういう名前にしたんですよね。
つづりがちょっと違うけど。最初、店名の単語、辞書にないから悩みました。
表参道のプレヴェールのことはよく知りません…
失礼しました。東京表参道の店はパリの支店のようです。この店の責任者大山氏も虎と小鳥のメンバーで、去年の忘年会のビデオに登場したマルコ氏も
関係しているように記憶しています。今マルコ氏はインドでスパイスの研究中とのことです。そのような関係で、東京在住のメンバーに遠方からの飛び入りもあって表参道に集まるようです。 私は外出を控えているので行ったことはありません。
樋沼さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ああ、大山さんのお店ですね。存じております。
マルコさんは最初、東京のプレヴェールに勤務していたのかしら?
そのあたり、あまりよく知りません。
樋沼さんは関東でしたね。