前回、かわいいフランス語で思い出にまつわる単語を集めましたので、きょうは郷愁にひたっている歌を紹介します。
タイトルは Le chant des sirènes、歌っているのは、フレロ・デラヴェガ(Fréro Delavega)というフランスの男性デュオです。Le chant des sirènes は、人魚の鳴き声、人魚の歌声、人形の歌、という意味です。
歌詞の中に、souvenirs(スヴニール、思い出)という単語が出てきますし、ほかにも、ネーミングに使えそうな「名詞+形容詞」がいくつかありますので、チェックしてください。
Le chant des sirènes
2014年の曲です
海の中で泳いだり、山の中を走っている様子をおさめたシンプルなPVですね。
それでは和訳に挑戦!
人魚の歌声
公園にいる子どもたち、浜辺にいる子どもたち
風が砂の城をくずしてしまいそうだ
僕の指が作った城を
時間から逃れられる者はいない、ああ
年月は流れ、こだまは逃れていく
ピラ砂丘に
季節の流れのままに、スピード写真のように
僕は昔の薄明かりの中に身をまかせる
季節の流れのままに、たくさんの決心をしてきた
僕は身をまかせる
☆記憶が混ざり合うとき、涙が出てくる
そして、人魚の歌声が僕を冬へ引き戻す
ああ、残酷な憂うつ、か細いハーモニー、孤独な陶酔☆
いくつの茶番を、いくつの過ちを
いくつの傷跡を、いくつの仮面を
僕たちは、あそこに置いてきたのか?
銃を置いて、逃げる
喧騒の中に、静けさを見つける
おぼれてしまう前に
☆~☆ 繰り返し
単語メモ
gamin 子ども、少年、少女 (話)
plage 浜、海岸
・・・ですが、わたくし、ここ、plagiatと聞こえます。plagiatは、(誘拐した子どもや奴隷)の人身売買です。
façonner こしらえる、作る
épargner 免じる、免除する
hélas ああ(嘆き、悲しみ、絶望、後悔を表す感嘆の声)。名詞で、ためいき という意味もあります。
la Dune du Pilat ピラ砂丘
フランスのジロンド県にある砂丘。
photomaton フォトマトン、自動スピード写真機、スピード写真
lueur ほのかな光、微光
au grès de ~のままに
se mêler まざりあう、もつれる
replonger 再びひたす、沈める
fluet (手足・声などが)か細い
euphorie 幸福感、陶酔
frasques 無分別な行動、非常識 ☆たいてい複数形
frasques de jeunesse 若気のあやまち
prendre la large 沖合に出る、逃げ出す
vacarme 大騒ぎ、喧騒、騒音
人魚(sirène)という単語についてもっと追求したい方はこちらをどうぞ⇒『人魚姫』はフランス語で何と言う? 第4回
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Au gré des saisons, des photomatons
Au gré des saisons, des décisions
の箇所の、des photomatons と des décisions は、Au gré にかかっている、と解釈して訳しています。
過去のできごとは、スピード写真機でとった写真のようであり、また、日々の決心の積み重ねでもある、ということです。
photomaton は、駅前なんかにあるスピード写真を取る設備・装置です。
映画「アメリ」において、重要な小道具として使われていました。
アメリについて⇒映画『アメリ』の予告編のフランス語
歌詞に出てくる動詞は、みな現在形で、1つだけ複合過去があります。
Combien de farces, …..
Avons-nous laissé là-bas
直訳:いくつの茶番を~、私達はみんなあそこに置いてきましたか?
「あそこ」とは特定の場所ではなく、過ぎ去った時間の中にある世界、つまり過去です。
文法や構文は難しくなく、いろいろな単語を拾える歌だと思います。
フレロ・デラヴェガについて
フレロ・デラヴェガ(Fréro Delavega)は、このまま訳すと、「デラヴェガの弟」という意味になるかと思います。
frérot は口語で、「弟」という意味です。
しかし、実際は、Jérémy Frérot(ジェレミー・フレロ)と Florian Delavega (フロリヤン・デラヴェガ)という男性2人の名字をとってつけられたグループ名です。
この2人は、フランスのThe Voiceをというオーディション番組で注目を集め、デビューしました。
デビューアルバムは、Fréro Delavega というグループ名がタイトルになったもので、このアルバムから5枚シングルカットされています。
Le chant des sirènes はその中でも、一番ヒットした曲で、彼らの代表曲と呼べるでしょう。
アコースティックな曲調で、きれいな曲が多いです。
特筆すべきなのは、ひじょうにフランス語が聞き取りやすいことです。
いっしょに口ずさんでいるうちに、単語を覚えてしまいそうです。勉強に疲れている方は一度耳を傾けてみてください。
デビューアルバムには英語の歌も数曲、入っております。こちらもなかなかよいです。
☆思い出に関する言葉を集めた記事⇒思い出・記憶に関係のある言葉:かわいいフランス語(123)
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今回は、フレロ・デラヴェガの曲を紹介しました。
男性の二人組はあまり多くないですね。
いまぱっと思い出すのは、サイモンとガーファンクル、ホール&オーツ、ビリー・バンバン、狩人、それと歌手じゃありませんが、セサミストリートのバートとアーニーぐらいです。
フレロ・デラヴェガの2人は仲のよい友達同士のようです。これからも美しい曲をたくさん歌ってもらいたいですね。
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