2014年の夏にフランスで公開された Les vacances du Petit Nicolas(プチ・ニコラの夏休み)という映画の予告編を紹介します。
レ・バカンス・デ・プチ・ニコラ
この映画、予告編がいくつかありますが、きょうは1分27秒のものを紹介します。
トランスクリプション
Il ne me reste plus qu’à vous souhaiter de bonnes vacances.
OUAIS !!
Moi, c’est Nicolas et j’aimerais bien vous raconter mes vacances.
Allons, allons, les enfants, du calme …
最後に皆さんにお伝えします。よい休暇を!
は~い!!
僕はニコラ、僕の休暇の話をしたいと思います。
ほら、ほら、子供たち、静かに。
Chaque année, papa et maman discutent devant moi où on va passer les vacances.
On ira à la montagne !
On ira à la mer !
Je n’sais pas pourquoi ils se mettent dans cet état alors qu’à la fin c’est toujours pareil.
À la montagne !
À la mer !
Alors ?
Ben …
毎年、パパとママは僕の前で、どこで休暇をすごすか、言い争いをする。
山に行くの!
海に行くんだ!
どうして、こうなるのかよくわからない。だって、結果はいつも同じなんだから。
山よ!
海だ!
何してるの?
何だよ。
Mais cette fois-ci ça ne s’est pas passé comme d’habitude …
Cette année c’est la mer, sinon rien !
D’accord et on emmène maman !
でも今年はいつもと違った。
今年は海だ。そうじゃなかったら休暇はなし。
いいわよ。ママを連れて行きましょう。
Qu’est-ce qu’on est venus faire dans ce pétrin !
Hé, hé hé !
Ouais ! Papa, t’es le plus fort !
Et là papa, c’est pas un bon endroit pour pique-niquer ?
こんなところで、どうするのかしら?
へへへへ~。
わーい! パパ、パパ最強!
えーと、ここって、パパ。ピクニックには向かないよね。
Papa est très content d’être en vacances, d’ailleurs il sourit beaucoup plus que d’habitude.
Maman, c’est comme d’habitude, sauf que d’habitude elle est pas en maillot de bain …
Ben pourquoi t’as mis ton bonnet de bain ? Tu vas te baigner tout de suite ?
パパは休暇中、すごく満足してた。いつもより、笑顔だった。
ママはいつもどおり。いつもどおり水着を着てなかったこと以外は。
おい、なんでバスキャップをしてるんだ。すぐ風呂に入るのか?
Maman,
Oui, mon chéri ?
c’est quoi le verbe plaire à la deuxième personne du pluriel du subjonctif ?
Plairâtres ?
Non, plusiez …
Non, plûtes …
ママ
何、ニコラ。
動詞、plaire の2人称複数の接続法の活用って何?
plairâtres かな。
違うわ、plusiez よ
いや、plûtes だ。
単語・表現メモ
Il reste qc/qn (à qn) (~に)~が残っている
Il ne me reste que toi. 僕には君しか残っていない。
ne … plus que もはや~しか~ない
Il n’y a plus qu’à attendre son arrivée. あとは彼の到着を待つばかり。
Il ne me reste plus qu’à vous souhaiter de bonnes vacances. の直訳は、「私には、皆さんがよい休暇を過ごすことを願っていると言うことしかもはや残っていない」。
vacances 休暇、ヴァカンス。いつも複数形
日本語で「バカンス」というと、なんとなく豪華で贅沢三昧な休暇を思い浮かべますが、ごくふつうに、仕事や学校を休むことです。
ただ、フランス人はバカンス期間が長いため、どこかに旅行することを好みます。しかし、経済的な理由で、家にいて、近場で休暇を楽しむ人もいます。
se mettre (ある場所・状況に)身を置く:(ある状態に)なる
alors que + 直接法 ~なのに
pétrin 窮地、袋小路
Qu’est-ce qu’on est venus faire dans ce pétrin 直訳は、「私たちはこんな困った状態になっていったい何をするのか?」
se baigner 入浴する
se baigner dans la mer/dans un piscine と続けば、海水浴する、とか泳ぐという意味にもなります。
しかし、ここではパパはママがバスキャップ(入浴中にかぶる帽子)をしていると思い込んでいるので、お風呂に入る、という意味です。
plaire の接続法現在の活用は
que je plaise
que tu plaises
qu’il plaise
que nous plaisions
que vous plaisiez
qu’ils plaisent
語末は接続法の活用のルールどおりですが、語幹が plais となるところがポイントです。
フランス語の動詞は煩雑なので、フランス語ネイティブでもあまり使わないものは忘れてしまうようです。子供たちは学校で動詞の活用を学びます。
日本では、漢字を覚えさせられますね。そして大人になると難しい漢字を書けなくなります。
接続法について⇒「まいにちフランス語」45:L67 接続法現在 その1
トランスクリプションはこちらの記事を参考にしました⇒CestFranc: La rentrée avec le Petit Nicolas
きょうのお話
学校が終わって夏休み。
この時期、ニコラの家では毎年、パパとママがどこでバカンスを過ごすのか言い争いをします。
しかし、結局、いつもママの言い分がとおって、山に行くことになるのです。
ところが、今年はパパが「海しかない、さもなくばバカンスもない」と強く主張。意外にもママはあっさり賛成しますが、自分のママを連れていくといいます。
実はパパはママのママ(パパにとっては義理のお母さん、ニコラにとっては母方のおばあさん)が苦手なのです。
というのも、おばあさんは、パパのことをあまりかっておらず、いつも、ママが昔つきあっていた人の話をして、「あの人はよかったわよね。立派だったわよね」なんて言うからです。
渋滞に巻き込まれながらも、なんとか無事に海に到着。これからニコラの楽しい夏休みが始まります。
プチ・ニコラとは?
プチ・ニコラは、フランスの子供むけの小説で、1959年~1965年にシリーズで発売されました。作者はRené Goscinny(ルネ・ゴシニ)。
日本のサイトでは「国民的絵本」なんて書いてありますが、絵本ではないです。Jean-Jacques Sempé(ジャン=ジャック サンペ)のイラストがふんだんに使われているので、そう言われるのでしょう。
フランスで長く愛されているシリーズです。
2009年にはじめて、実写版の映画化があり、Les vacances du Petit Nicolas は実写版の第二弾です。
実写版第一弾の予告編はこちら:
プチ・ニコラ(映画)予告編のフランス語(前編)
親指太郎ってどんな話?「プチ・ニコラ」予告編のフランス語(後編)
Les vacances du Petit Nicolas が公開されたときの記事はこちらで紹介しています。映画の詳細を知りたい方はお読みください。
監督は同じ、Laurent Tirard(ローラン・ティラール)で、パパとママを演じている役者も同じですが、ニコラ役は変わっています。
前作でニコラをやった Maxime Godart (マキシム・ゴダール)くんが大きくなったからです。
彼は1999年生まれ。前作を演じたときは、9~10歳あたりで本のニコラに合っていましたが、2014年当時は15歳ですから、もうニコラをやれないのです。
本作でニコラを演じているのは、Mathéo Boisselier (マテオ・ボワセリエ)くんです。オーディションで800人の中から選ばれたそうです。
マキシムくんは目がうるうるしていて、ニコラにしては可愛すぎると思いましたが、マテオ君はもう少しわんぱく風味が加わっています。
しかし本のニコラは何かというとすぐに泣くので、そのへんはちょっと違う雰囲気です。
前作では妹が生まれたのですが、今回、どこにも登場しません。まあ、妹が生まれたのは、映画の中の話で、本の中では、ニコラはずっと一人っ子です。
私もきのうから Les vacances du Petit Nicolas を読み始めました。
Audibleに、オーディオブックがあったのでこれも買ってみました。読んでる人が、おじさん声なので違和感がありますが、読み聞かせしてもらってると思えば、いいでしょうか。
パパのセリフはぴったりはまっているので、笑えます。ものすごい早口なので、本がないと何を言っているのかよくわかりません。もう少し、フランス語の処理能力をあげたいものです。
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