フランスダイレクトスクールの動画教材、『不思議の国のFrance』第15話の受講メモです。
3月はずっと、フランス語で歌を歌って、フランスデビューをしようとしている、モガブティックスパンコールさんの動画でした。
今回は、歌の発音練習を終わって、特に難しかったところを練習しています。その中で、リエゾンとオンシェヌマンが問題になっていましたので、この記事でまとめることにしました。
両方とも音をつなげて発音するルールですが、その違いがあいまいな人も多いかもしれません。きょうはこの2つの発音ルールをご説明します。
別に違いを知らなくても、ちゃんと発音できれば問題ないのですけどね。
リエゾン liaison
ふだんは発音しない語末の子音字が、つぎの母音字や、無音のHで始まる単語とくっついて発音されること。
リエゾンは、もともとはなかった音が発生します。
例
des oranges デゾランジュ
des の通常の発音は デ
orannges は オランジュ
この2つが結びつく時、Zという音が発生しています。
注意
1. 語末の子音字がSとXの単語がリエゾンをおこすとき、ともに z の音になります。つまり音がにごります。
他の例:
Champs-Élysées シャンゼリゼ
deux amis ドゥザミ
2. d は t の音に変化してリエゾンします。
grand hôtel グロントテル 発音はこちら ▲マークを押すと音が聞こえます。
そのほかの子音は、もとの音のままリエゾンします。
premier étage プルミエレタージュ
premier 単体の発音は プルミエ
どのみち、プルミエエタージュというのは発音しにくいですね。
こちらはリエゾンの例を簡潔に教えてくれる動画です。
母音で始まる前の言葉がいつもリエゾンするかというと、そうではなく、リエゾンしないときもあります。
必ずリエゾンするケース
1. 冠詞や限定形容詞 + 名詞 un ami アナミ
2. 主語人称代名詞 + 動詞 nous avons ヌザヴォン
3. 前置詞 + 次の語 chez elle シェゼル
4. 形容詞 + 名詞 grand ami グロンタミ grands amis グロンザミ
5. 副詞 + 次の語 très important トレザンポルタン
**以下は、出てくるパターンが決まっているもの
倒置して トレデュにオン(- という記号)で結ばれた語句 vas-y ヴァジ
慣用句の中で tout à fait トゥタフェ
接続詞 quand の後 quand il コンティル
関係代名詞 dontの後 dont il ドンティル
リエゾンしてはいけないケース
1. 名詞の主語 + 動詞 les hommes ont レゾム オン
2. 名詞 + 形容詞 (後ろの語が前の語を修飾している場合) enfant adorable オンフォン アドラーブル
3. 有音のhの前 les héros レ エロ
フランス語のhはみな発音しないのに、無音と有音のhがあります。無音のhは、あたかもhがそこになく、次の母音字に前の単語の語末の子音字がくっつくものです。
★無音のhと有音のh
有音のhは、h が子音のような扱いをうける(存在しているともいえる)もの。つまりリエゾンしないということです。これは、同じhで始まる単語が続いているのに、リエゾンやエリジオン(後述)が起きるのと、起きないものがあるので、する場合は無音のh,しない場合は有音のhと文法的に区別したのではないかと思います(推測です)。
その他、細かいルールがありますが、発音するときのリズムや語調が関係しているようです。詳しいことはお手持ちの辞書をごらんください。
リエゾンはルールを覚えるより、フランス語のお手本を聞きながら、音読、シャドウイングを繰り返すと身についてきます。
オンシェヌマン enchaînement
アンシェヌマンとも書きます。enの発音が日本語のはオンとアンの中間のどこかの音だからです。
オンシェヌマンはリエゾンと似ていますが、もともと発音する(読んでいた)子音が、次の母音あるいは無音のhで始まる単語とつながって発音されることです。
arc-en-ciel アルコンシエル (虹) これは アルク オン シエル とは発音しません。ネイティブの発音はこちら
ただつなげて言うだけなので、自然に発音すればできます。ciel は以前も書きましたが、スィエル と書いたほうがいいかもしれません。
エリジオン
音がつながって発音されるルールにもう1つ、エリジオンというのがあります。
これは、「子音字+e, a, i」 というスペルの単語が、あとに、母音か無音のhで始まる語がくるとき、e, a, i を省略する(発音しない)ことです。
エリジオンを起こす単語は決まっています。ce, de, je, la, le, me, ne, que, se, te さらに queの前に何かくっついてできた lorsque, jusque, puisque, quoique。
こんなふうに書きます。
l’école 発音はレコールで ル エコールとは読みません。
l’ は la の a を省略した形。’ はここに母音が省略されています、という意味を表しています。
ほかの例
Je m’appelle pen. ジュマペルペン m’ は meのことです。
エリジオンするのは、上にあげた単語だけで、たとえば、Elle a deux voitures. を勝手に Ell’a とすることはできません。ちなみに、elle a の発音はオンシェヌマンして、エラ で、エル ア とは読みません。
関連⇒フランス語の数字【第13回】~11(オーンズ) | フランス語
きょうは、なんとなくわかったようでわからない、単語を続けて発音するルールをとりあげました。
英語でもリエゾンとか、リダクションしますね。
リエゾンはくっつくことで、リダクションはあるはずの音が消えること。
ローズマリー・クルーニーの曲に、Come On-a My House 「家へおいでよ」というのがありますが、これは カム オン ア マイ ハウス とは発音せず、カモナマイハウス と言います。
ちなみに、この a なのですが、前置詞の a ではなく、to のことです。日常会話では、to って、よく ア の音になるのです。単体ではなりませんが、want to ワナ(wanna)going to ゴナ(gonna) みたいに。
学校で英語を習ったとき、あまりこの話は出てきませんでした。私は、幼い頃から洋楽が好きでよく聞いていたのですが、学校で習う英語と洋楽の音が相当違うのが謎でした。
最初から、「話す英語は音が変化する」と習っていたらとまどうことはなかったと思います。
その点、フランス語は英語ほど音がくずれないですね。アクセントが平坦ですから。また、どんな参考書にもちゃんと最初に、リエゾン、オンシェヌマン、エリジオンのルールが書いてあるので、「そういうものがあるんだ」とちゃんとわかるようになっています。
あと、完全に正しい発音にはならないまでも、それらしい発音を身につけるための、大きな妨げになっているのは、日本語のカタカナ表記だと思います。
私も、この記事や「かわいいフランス語」シリーズの記事では、便宜上、カタカナでよみがなを書いてますが、あれは、フランス語ではありません。
「カタカナで書いてあるのは、ウソ」ぐらいに思っておいてちょうどいいかもしれません。
それでは、次回の「不思議の国のFrance」の記事をお楽しみに。
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