今回も、いただいた質問に回答しますね。
まず、Mさんのメールから。
モーパッサンについて
件名:フランス文への質問
もう何年も前にメッセージおくらせていただきました。
でもそのときこのブログも複雑な構造になっていて、送り先を間違えました。
歌謡曲のフランス語についてお訊ねしたのですが、ご親切な回答をいただき、とても嬉しかったです。
私はフランスへ行ったことがありません。
フランス語の地域としては、ベルギーとカリブのマルティニクにそれぞれ一週間ずつ、だけの経験です。
フランス語でお暮らしのご様子でうらやましいです。でも私もフランス語やフランス文化には憧れています。
さて質問です。
わざわざ調べてお答えいただく必要はありません。
気楽にお返事いただけたらありがたいです。モーパッサンについてです。
数ある短編の中の Mon oncle Jules(ジュールおじさん)というのを読みました。
ちょっともの悲しい、しんみりとしてしまう作品です。
お父さんの兄弟のジュールおじさんへの思いを十代の少年の目を通して、つづった作品です。
おじさんは家のお金を使い込んでしまい、フランスからアメリカへと逃げたのですが、商売がうまくいったからフランスに帰ろうという手紙がきました。
一家は期待していたのですが、その後手紙はきません。
姉の結婚を機会に、一家で婿も含めてイギリス領の島へと船旅行をします。
船の甲板で、牡蠣を食べるお客のために、殻をナイフであける下働きのみすぼらしい老人がいました。
両親はジュールではないかと思い、船長に確かめます。
たしかにアメリカで拾ってやったフランス人で、家の財産に穴をあけて帰りにくいということまできいて、おじさんであることが確実となりました。
母親は怒って、あれがお荷物になるといけないから、関わらないようにしましょう、とおじさんのことを口汚く罵るのでした。
父親が婿の方に注意を向けたので、母親は黙り。次の文が続きます。
Puis on se tut..
みんな黙ってし~んとなりました、という意味らしいのですが・・・
ここで質問です。
(1) se tuer という代名動詞ですか。沈黙する、という意味はありますか。大辞典は持っていないので、確かめられません。
(2) on は文法の本ですと、不定代名詞とあり、不特定一般の人というと教えてあります。
しかしここでは明らかに、その家族のメンバーのみを指していて、それ以外の人間は含まれていません。
したがって不定ではなく、その家族の人、という意味です。
この作品中には on は多用されていて、父母だけを指していることもあります。
もちろん不特定多数の場合もあり、受動文の動作者をいわないために、on+能動文というのもあります。
文法の本には用例列挙がありますが、ils, elles のかわりというのは意外とありません(見方が悪いのかもしれませんが)。このあたりフランス語人はどんな使い方をしていますか。
(3) それとフランス語圏では、モーパッサンはよく読まれますか。
『女の一生』は別格として、短編の名手として、日本でもある時期にはもてはやされていました。
フランス語の習い始めのころ、副読本にはたいていモーパッサンの短編が収録されていました。
それでフランス文学に無知な私もその名を知っています。菊池寬が「モーパッサンはもうたくさん」と駄洒落を言ったのも知っています。
あまり真剣に考えないで、お暇のときに気楽にお答えいただけたら、嬉しいです。
Mさん、こんにちは。お便りありがとうございます。
長く、ブログをご愛読いただき、とてもうれしいです。ブログの構造が複雑ですみません。
ご要望どおり、気楽に回答しますね。
まず、私はフランス語圏には住んでいません。英語圏に居住しています。
日常生活では、フランス語はいっさい使いませんよ。
なので、3番に関しては、お答えできません。
まあ、古典として、フランス人は、学校で皆、彼の作品を読まされ、好きな人は日常的に読むのではないでしょうか。
日本における夏目漱石や志賀直哉と同様かなと思います。
se tut について
se tut は、se taire の単純過去形です。
se taire は「黙る」という意味なので、「みんな黙った」という解釈でOKです。
参考までに単純過去の活用を書いておくと、
taire:tus, tus, tut, tûmes, tûtes, turent
tuer :tuai, tuas, tua, tuâmes, tuâtes, tuèrent
on の用法
たしかに onは、「人々は(人間一般)」という意味ですが、「私たちは」という意味もあります。nous の代わりに on を使うのはよくあることで、辞書にもこの用法がのっているはずです。
On y va ? (オニヴァ 行きましょう)の on は 不特定多数の人々ではなく、その場にいる人たち(つまり、私たち)を指しています。
on が、「君たちは、彼(ら)は、彼女(ら)は、私は」という意味で使われることもあります。この用法も辞書にのっています。
on のあとの動詞はいつも3人称単数形ですが、そのあとにくる属詞(形容詞とか)は、on が指し示す人にあわせて性数一致します。
さて、モーパッサン、「首飾り」なんて有名ですよね。
私も、昔、いくつか読みましたが、おもしろいと思います。フランス語では、簡単なフランス語に書き直した「首飾り」を読んだことがあります。
私は、超簡単な本で多読するのが好きですが、もう少し、スラスラ読めるようになったらモーパッサンに挑戦してもいいかもしれない、と、いま、思いました。
次は、machanさんのお便りです。
コメントが入りません
件名:コメントが送信できない。
chanson sur ma drple de vie. の2回目のコメントを書いたのに、送信できないのです。
ひらがな認証がエラーになってしまいます。
どうしてなのか、正しく入力しているつもりなのに、何度やってもだめです。
ああ、残念。ご連絡お待ちしています。
そういう、このいまもヴェロニックサンソンを聞きながら、書いています。
おやすみなさい。
お問い合わせありがとうござます。
いま、スマホで自分でコメントを入れてみましたが問題なく送信できました。
もしかしたら、ひらがなを読み間違えているとかしてませんか?
よかったらもう1度やってみてください。
それでも入らなかったら、問い合わせフォームからコメントを送ってもらえば、私が代わって、コメントしますよ。
お手数ですが、よろしくお願いいたします。
補足:たまに、コメントが入らないというメールをいただきますが、ふつうにやっていたら入力・送信できるはずです(インターネットなので、サーバーの不調などはありえます)。
本文に日本語が入っていないと、コメントが入らない設定をしていますが(スパム対策)、最近、全文、アルファベットのスパムコメントがはいります。
不思議ですねえ。
尚、当ブログが認識するはじめてのメールアドレスが記入されているコメントは、すぐには表示されず、私が承認してから、表示されます。
「表示されない」と思って、何度もコメントを入れると、複数のコメントが入ります。
最後は、結紀さんの質問です。
ネーミングについて
件名:ハンドメイドショップの名前を考えています。
ブログを拝見し相談にのっていただきたいと思いご連絡しました、、
ハンドメイドショップのオープンを考えており、ショップの名前をフランス語にしたいと思っていたのですが全くの無知で文法などもわからずどうしたらいいかずっと迷っておりました所Pen様のブログを見つけました?
考えていたのは、
「天使の飾り」
D?coration d’ange
率直に考えたのは、身につけていただく人それぞれにアクセサリーという天使が宿り一人一人のモチベーションを上げるものになって欲しいと思いました。
調べてみたもののなんだかしっくり来ておらず、、、
何か良いネーミングのアドバイスなどありましたら教えていただきたいですm(_ _)m
面倒な質問で大変申し訳ないです、、( ´??ω??` )
お問い合わせ、ありがとうございます。
>何か良いネーミングのアドバイスなどありましたら教えていただきたいです
私が名前に使えると思うものは、すべてブログの記事に書いているのでそこから選んでください。
天使や光に関するものは、下記の記事に集めています。
かわいいフランス語教えます~その40 いろいろな光(ルミエール)
アクセサリーに関する単語もあります。
アクセサリーと宝石の名前:かわいいフランス語教えます~その26
私が個人的に好きな単語は、céleste セレステ 天井の です。
décorations d’anges だと、「天使の飾り物」つまり、天使がモチーフの飾りを想像する人が多いと思います。
一人ひとりにアクセサリーという天使が宿っているという意味合いをもたせたいなら、守護天使みたいな言葉を使ったほうがいいかもしれませんね。
守護天使は、L’ange gardien ランジュ・ガルディヤン です。
補足:スマホから問い合わせをするとき、特殊な文字を使うと、たいてい文字化けするので、ふつうの日本語をタイプしたほうがいいです。
以前も書きましたが、「なにかよい名前を教えてください」とか、「何か、かわいい名前教えてください」という問い合わせは、とても答えにくい質問の1つです。
あまりに漠然としすぎていますから。
そういう質問には、通常、私は、céleste が好きだと伝え、過去記事を参照してください、とリンク付きでご案内しています。
これを、「冷たい」と感じる人もいるようですが、漠然とした質問には、漠然とした回答をするしかありません。
■関連記事もどうぞ
フランス語と日本語の3つの大きな違い~お問い合わせに関しまして。
読者さまの質問とその回答特集(その1)
*******
2回にわたって、読者のお便りを特集しました。
激励のお便りもいただいております。本当にありがとうございます。
これからも、ほそぼそと続けていきますのでよろしくお願いいたします。
なお、文法に関する高度な質問には、答えられない可能性があるので、フランス語を生業としている人(プロの先生とか)、将来、フランス語で生活したいと考えている人(通訳者・翻訳者志望の人とか)、仏文の学生、検定試験突破を目標にすえ、日夜勉強をしている人などに聞いたほうがいいです。
モーパッサンの文への初歩的な質問にお答えいただき、ありがとうございました。
まだまだ基礎ができていないので、se taire という基本単語がわかりませんでした。
on の用法には、不定代名詞という名称にまどわされていました。勉強しなおします。
でもこの短編「ジュールおじさん」は原文でとにかく読み通すことができました。
他の作品も読んでみたいです。
このブログがますますご発展いたしましようお祈りしています。ぼく、めるしー ボくです。
Matsumura さま
こんにちは。回答が参考になってよかったです。
「ジュールおじさん」最後まで読んだのですね。すばらしいです。
ぜひ、これからもフランス語の読書を楽しんでください。
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