フランス映画の予告編を見てフランス語になじむシリーズ。
今回は、Tout s’est bien passé(すべてうまくいった)という映画です。英語のタイトルは、Everything Went Fine
2021年のフランソワ・オゾン監督の作品で、日本では公開されていないらしく、邦題を見つけることができませんでした。
主演はソフィー・マルソーです。
Tout s’est bien passé
1分55秒。
脳卒中で半身が麻痺したお父さんが、娘たちに、もう死なせてくれ、と頼みます。父親の安楽死をめぐる家族の物語です。
トランスクリプション
Oui, allô. Quoi ? Quand ?
À son réveil, papa n’a pas pu se lever. Et il avait tout le côté droit paralysé…
Mes filles.
Votre père risque de ne plus pouvoir parler, ni s’alimenter.
Je veux que tu m’aides à en finir. Tu m’entends ?
Je ne vais rien faire sans toi, sans ton accord. Rien.
De toute façon c’est à toi qu’il l’a demandé.
C’est un mauvais père, hein. Mais je l’aime. J’aurais adoré l’avoir comme ami.
Alors, aide-le… Comme une amie.
En France, c’est pas possible.
Alors qu’est-ce qu’on fait ?
J’ai eu contact avec une association suisse, mais il faudrait aller là-bas.
Très bien.
Ça se passera où?
À Berne.
Il faudra me donner une dose forte, depuis mon pontage, j’ai le cœur très solide.
Tu sais, tu as toujours été mon fils préféré.
Hahaha.
Les filles, je suis très choquée. André vous a déjà expliqué qu’il ne pouvait plus changer d’avis?
Quoi ? Mais si !
Papa regarde-nous dans les yeux.
Tu étais tellement vilaine enfant. Pourquoi pas choisir la date? Pourquoi pas en mars ?
C’est la semaine de mon anniversaire.
Ah. Haha
Je ne peux presque plus bouger. Plus faire les gestes simples de la vie normale…
Maman, pourquoi est-ce que t’as jamais quitté papa avec tout ce qu’il t’a fait subir ?
Oh oui. Qu’est-ce que ça fait du bien.
Bon. Mais t’es toute frigorifiée.
Oh, mais je me sens vivante!
Tu te rends compte de ce qu’on est en train de faire pour lui, là ?
Ma pleureuse.
Et si vous refusiez, que se passerait-il ?
☆トランスクリプションの引用元⇒Bande-annonce: Tout s’est bien passé
すべてはうまくいった:和訳
はい、もしもし。え? いつ?
目覚めたとき、お父さんは立ち上がれなかったの。右半身が麻痺したのよ。
娘たちよ。
お父さんは、話すことも、食事をとることもできなくなるかもしれません。
最後に私を助けてほしいんだ。聞いてるのか?
姉さん抜きでは、姉さんの承諾なしには、私は何もしないわよ。何も。
でも、あなたでしょ、お父さんが頼んだのは。
悪い父親よね。でも、愛しているの。友達だったらよかったと思ったわ。
じゃあ、助けてあげなさい、友人として。
フランスでは不可能なの。
じゃあ、どうする?
スイスの団体に連絡を取ったわ。でも、そこに行かないとだめなのよ。
かまわんよ。
どこでするんだ?
ベルンよ。
強い薬を打ってもらわんとな。バイパス手術をしてから、私の心臓はすごく丈夫だから。
なあ、おまえはいつも私のお気に入りの息子だった。
ハハハ。
あなたたち、私はとてもショックよ。アンドレ(お父さんの名前)は、意見を変えられないことを、もうあなたたちに説明したの?
え? ええ、もちろんよ。
パパ、私たちの目を見て。
おまえは、大きな(年取った)子供だ。
なぜ日付を決めないんだ? 3月は?
私の誕生日の週なのよ。
ああ、ハハ。
私はほとんど動けない。ふだんの生活の本当に簡単なことさえできない。
ママ、どうしてお父さんと別れなかったの? あんなにいろいろひどいことをされたのに。
ああ、とってもいい気分。
よかったわ。でも、あなた震えてるわよ。
ああ、でも生きていると感じるの。
今、私たちがお父さんに何をしようとしているのか、わかっているの?
泣き虫さん。
もしきみたちがノーと言ったら、どうなるんだい?
単語メモ
un pontage バイパス
frigorifier (話)(人を)凍えさせる、震え上がらせる、(動きを)阻害する
J’aurais adoré l’avoir comme ami. 条件法過去 直訳:友達として彼を持つことが私は大好きだったであろう。
このお父さんは、父親としてあまりいい父ではなかったようです。
si vous refusiez, que se passerait-il ? 条件法現在 直訳:あなたが断ったらどうなるのだろうか?
■高齢者が出てくるほかの映画
*****
自分の親に、「死なせてくれ」と頼まれたら困ってしまいますね。
どんな形になっても、親には生きていてほしいから。
だけど、親の願いを聞いてあげることも親孝行だし、正解はありませんね。
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