シリーズでお送りして来ましたフランチレストランのCM。
その5にあたる今回が最終回です。
フランチについてはこちらをどうぞ
⇒私がきれいな理由、知ってる?
きょうはお母さんと息子の会話です。
★2015/10/24追記:YouTubeの動画は削除されていました。こちらで見られます→Exercice d'écoute: Chez Flunch (5)
女性は前回、前々回と同じ人ですね。なかなかかわいい方なので私は好ましく思っております。
スクリプトと和訳
Alors Julien. Tu les kiffes tes wings de poulet ?
Ben, oui.
4€ 90. C’est ouf, non ?
Pourquoi tu me parles comme ça ?
Ben, les djeunes, ils parlent comme ça, non ?
Ben non, ils parlent de façon normale aussi.
Comment tu dis Flunch en djeun(e).
Ben, Flunch.
Ah, c’est bien aussi ça.Chez Flunch, le plat du jour est à 4 € 90 avec légumes à volonté.
※スクリプトはこちらを参照しました⇒Exercice d'écoute: Chez Flunch (5)
ねえ、ジュリアン。フライドチキン、いけてる?
あ、うん。
4ユーロ90。それってやばくない?
どうして僕にそんなしゃべり方するの?
だって、若者は、こういうふうにしゃべるんじゃないの?
ううん。みんなふつうにしゃべるけど。
フランチを若者言葉で言うとどうなるの?
えっと、フランチだけど。
あら、全くおんなじなのね。
フランチでは食べ放題の野菜つき日替わりメニューが
4ユーロ90です。
単語メモ
kif(f)er 好きである
ouf すごい、クールだ fou(気のふれた)のベルラン(後述)
les djeun(e)s=les jeunes 若者
きょう取り上げた単語はいわゆる若者言葉です。
CMに出てきたママは若者っぽい言葉をしゃべっているつもりなのですが、息子ジュリアンは「僕たちそんなふうにしゃべらないよ」と軽くいなしています。
ヴェルランとは
ヴェルラン(verlan)は音節を逆にした逆さ言葉でスラングの一種。
verlan そのものも l’envers(逆)という意味の単語の発音を逆にしています。すなわち、vers+l’en
ヴェルランの例5つ
ヴェルランは逆にした音を維持するために、スペルに少し手が加わっています。
このような言葉を、わたしたちフランス語学習者が使う必要はまったくありません(ふつうのしゃべり方がマスターできないうちは尚更のこと)。
ただ、ふだんフランス人と日常的に話をする人や、フランス映画を見て意味がわからなければならない人は覚えておくといいでしょう。
日本語でも昔のジャズのバンドマン、放送業界の一部で使われている独特の逆さ言葉がありますね。
有名なところでは
もちろん、私はこのような言葉は、使いません。
この手のスラングや独特の言葉使いは通常、ある社会的なグループの仲間内だけで通じるものです。そういう意味では、符丁(ふちょう)に近いと思います。
このコマーシャルで、お母さんがこういう言葉を使ったのは、物分かりのいいところや「私はあなたたちの側の人間よ」というそぶりを見せたかったからでしょうね。
このような言葉使いは、仲間の連帯意識を高め、そうでない人間を中に入れないようにしているとも言えます。ですから、私は、たとえその仲間内にいたとしても、こういう言葉を使うのは、あまり好きではありません。
18歳のころ、始めて喫茶店でウエイトレスのアルバイトをしました。はじめ喫茶店用語(?)がわからず、ちんぷんかんぷんで困りました。
たとえば、「おひや(お冷)」は水のことですが、最初は全くピンと来ませんでした。今でも、「水」のほうがずっとなじみがあります。
また、店のお客さんにこうした符丁を使って注文されると、これまたさっぱりわかりませんでした。
- ウエイトレスpen「ご注文はお決まりですか?」
- お客さん「私、アイミル!」
- pen「は?アイミル?」
こんなやりとりをしていました。
アイミルはアイスミルクです。今でも受け入れがたい言葉です。
ほかにもいろいろわからない注文がありました。あまりにわからないので、その言葉をその場で聞こえた通りに伝票に書き、オーダーを通すというむちゃな技を使ったものです。
ベルランは、むしろママの時代の若者言葉ですよね。
RENAUDの初期のヒット曲にlaisse betonってありますが、betonはコンクリートですから、パリの郊外の新興住宅(HLM)を象徴するみたいな、そんな感じで使われてたような・・・なんか、なつかしいです。
喫茶店のスラング、大阪に来ると、アイスコーヒーのことを「レイコー」と、注文するオッチャンがいてビックリすると思いますよ。冷たいコーヒーの略なのね。れい子さんがウェイトレスすると、とても不愉快だと思うわ。
アンさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ベルランという言葉自体は辞書によると1970年ぐらいにできたもののようです。
一部のベルランは日常生活によく使われるようですよ。
アンさんはRenaudがお好きだったんですよね。この曲の歌詞、今見ましたけど、バーでまったりしてたら、変な男にケンカを売られたので、
「ほっといてくれ!」って言ってるようです。
歌詞が訳せそうだったら、またブログにのせます。
「レイコー」、言葉として知ってはいますが、実際に誰かがしゃべっているのを聞いたことはないです。
わたしの勤めていた店では、みんな「アイス」と言って注文していました。「アイスクリームと区別つかないだろ」とはじめは思ってました。
その店、ビジネスビル(というとかっこいいけど、そんなに大きなビルではない)の地下にあり、なじみ客ばかりのせいか、みんな「◯◯一つください」って言わないんですよね。フランス語で、s’il vous plaît ? にあたる部分ですけど。
この体験があったせいか、もともとの性格のせいか、自分が飲食店でオーダーするときは、◯◯一つお願いします、とか〇〇下さい、とフルセンテンスで注文しています。