フランスのお菓子シリーズ、第2回。
きょうは、フランスのクリスマスケーキ、ブッシュ・ド・ノエルをご紹介します。
お菓子シリーズの主旨は初回の記事にて⇒カヌレ~フランスのお菓子~その1
ブッシュ・ド・ノエルは以前、「クリスマスの単語」としてとりあげたことがあります。薪(まき)の形をしたケーキ。いわゆるロールケーキです。
この時はビュッシュと書きました。このbûcheという単語、フランス語で「薪(まき)」という意味なのですが、発音をカタカナで書くのが難しいですね。
ブッシュと、ビュッシュのあいだぐらいというか。
こちらで、ブッシュ・ド・ノエルの由来を話しています。
発音を聞いてみてください。
なぜクリスマスにブッシュドノエルを食べるのか?
実はいろいろな説があります。
このケーキの歴史について、きょうと明日の2回に分けて、シンガポールの子ども新聞の記事を読んでいきます。
今回はEntre croyances et superstitionsの最後まで訳します。
TRADITION – Connaissez-vous l’histoire de la bûche de Noël ? 伝統:ブッシュ・ド・ノエルの歴史を知っていますか?
La bûche de Noël est une véritable tradition française, plus ancienne encore que l’arbre de Noël ou la crèche. Mais connaissez-vous réellement son histoire ?
ブッシュ・ド・ノエルはフランスの確固たる伝統です。クリスマスツリーやクレッシュよりも古いんですよ。
でも、その歴史をご存知ですか?
木の由来 D’origine en bois
フランスでは、何世紀も前から、クリスマスイブに、果物(プラム、さくらんぼ、りんご、オリーブ)や、コナラやブナの木の薪を燃やす習慣がありました。
燃える薪を囲んで、ミサから戻った家族が集まって食事をとったり歌ったのです。
暖炉にくべた薪は、暖かくて、心地がいいです。行く年の薪をくべることは、変わることのない再生の象徴で、クリスマスに薪を燃やすことは、祝福の儀式だったのです。
地方によっては、お祈りの文句を唱えながら、塩(ポワトゥー=シャラント)、ワイン(プロヴァンス)聖水、油、牛乳、ハチミツを薪にふりかけました。
一般に、薪は3日間で燃やし尽くします。そうしないと、縁起が悪いのです。
信仰と迷信の間で Entre croyances et superstitions
祝福を受けた薪は、家と住む人を守ってくれました。
灰は厄除けと繁栄をもたらすものとして、家畜小屋、果樹園、畑にまきました。
灰をまけば、鶏小屋にキツネが入らないとか、家に魔女が来ないと信じている人もいました。
灰が種を増やしたり、雷から守ってくれたり、瀕死の病人の苦痛を短くしてくれると信じていた人もいました。
井戸に灰をまくと、蛇を遠ざけたり、中傷されないと思っていた人もいたのです。
亡くなった人の棺に灰を入れると、あの世での幸運をもたらすとも考えられていました。
薪を燃やすまえに、その薪をまたいだり、その上に座ると、おできができるという言い伝えもあります。
鉄のストーブの登場で、こうした伝統は少しずつ失われ、この時期、欠かすことのできない、薪の形のケーキに変わっていきました。
☆2017年10月1日:元記事は削除されたのでリンクをはずしました。もともとは、こちらのサイトにあった記事です⇒Le Petit Journal
単語メモ
crèche 馬槽(うまぶね) キリスト誕生の馬小屋の模型
参考⇒かわいいフランス語教えます~その49 クリスマスの単語(1)
veillée (夕食後から就寝までの)夜、団欒、夜の集い
flamber 燃える
Des bûches flambent dans la cheminée.
暖炉で薪が燃えている。
âtre 火床
foyer いろり、炉
bénédiction 祝福
saupoudrer (粉状のものを)ふりかける
eau bénite 聖水
béni, bénie 祝福された
verger 果樹園
poulailler 鶏小屋
semences 種 聖書では子孫という意味もあるので、子孫の繁栄かもしれません。
cercueil 棺、ひつぎ
défunt 死者
enjamber またぐ
poêle ストーブ
fonte 鋳鉄
au détriment de ~を犠牲にして、~の利益に反して
Il a pris la meilleure part au détriment de ses frères.
彼は兄弟をおしのけて、一番良いところをとった。
この文では、「ケーキの薪」の利益には反していないので、単に、ケーキに変わっていったということかと思います。
迷信がいっぱい出てくるので固有名詞がやや難しいですね。
薪をまたいだり、座るとできる furoncle は、「腫れ物やおできです。
抗生物質がない昔は、おできも深刻な問題だったのでしょう。
この続きはこちらから⇒ブッシュ・ド・ノエル~フランスのお菓子~その2(後編)~作り方つき
もっとクリスマスの記事を読む方はこちらからどうぞ⇒クリスマス関連記事の目次 2013年版
いかがでしたか?
ブッシュ・ド・ノエルの由来を調べると、厄除けのためにクリスマスに薪をたく、というところはいどれも一致しています。
暖炉で調理したり、暖を取る必要がなくなって、それがケーキになったようですね。
この記事では、薪は3日以内に燃やせと書いてありますが、年をまたいで燃やしていた、という説もあり。
地方によっていろいろの言い伝えがあります。
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