きょうご紹介するフランス語のことわざはこちらです。
C’est dans le besoin qu’on connaît ses vrais amis.
困ったときにこそ、本当の友がわかるものだ。
困ったときにこそ、本当の友がわかるものだ。
besoin は「必要、要求」という意味ですが、ここでは特に、貧困している、貧乏な状態をさします。
自分がお金に困ったときに、誰が本当の友だちなのかわかる、ということわざです。
人生がうまく行っているとき、いい顔をしてくれる人はたくさんいます。仕事で成功して金回りが良かったら、人がたくさん寄ってくることでしょう。
ですが、いったん自分が落ちぶれたとき、その中の何人が友だちでいてくれるでしょうか。
人生にはいろいろと大変なことが待ち受けています。病気になって仕事をやめなければいけない、リストラされてお金に困る、何かのトラブルに巻き込まれる、過ちを犯してしまうとか、周囲から誤解を受ける、などなど。
そのような逆風の中にいるとき、離れていく元友だちは多いもの。
そんな困ったときにこと、そばにいて、助けてくれたり、支えてくれる人が本当の友だちなのです。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
c’est … que 強調構文 que以下は・・・だ⇒文法ワンポイント参照
dans ~の状態のとき
le 男性名詞につく定冠詞
besoin 貧困、窮乏
Il est dans le besoin.
彼はお金に困っている。
que = que + on
on 人は
connaît < connaître 知る
ses 彼の/彼女の 所有形容詞: amis (友達)が複数なので、複数形です
vrai 真の amis (友達)が複数なので、複数形です。
ami 友だち
文法ワンポイント~強調構文
c’est と que で文章のある部分をはさんで、前に持ってくると、その部分を強調することができます。
C’est Pam que j’ai rencontrée hier.
私がきのう会ったのはパムちゃんです。
C’est dans un café que elle a oublié son sac.
彼女がバッグを忘れたのは喫茶店でです。
くわしくは⇒「まいにちフランス語」41:L63 強調構文
直訳
窮乏しているときにこそ、本当の友だちを知る。
バリエーション
connaît の代わりに reconnaît を使うこともあります。
reconnaître は それとわかる、識別できる、見分ける
C’est dans le besoin qu’on reconnaît ses vrais amis.
困ったときにこそ、本当の友だちがわかる。
le besoin の代わりにle malheur (逆境)を使うこともあります。
C’est dans le malheur qu’on reconnaît ses vrais amis.
逆境のときにこそ、本当の友だちがわかる。
英語では
A friend in need is a friend indeed.
意味は同じです。
日本語では
まさかの友こそ真の友
まさかの時の友こそ真の友
調べたわけではありませんが、これは英語のことわざから来たような気がします。
ほかに、「雨天の友」という言葉もあります。これは三木首相が言ったとされる、と辞書にありました。
雨天の友とは、雨の日に訪ねてくれる友だち。つまり、逆境の時に支持してくれる友人。あるいは厳しい忠告をしてくれる友だち。
「晴天の友となるなかれ、雨天の友となれ」という表現もあります。
★ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
「本当の友だち」って定義が難しいですね。時には厳しいことを言ってくれ、逆境にいるときも、助けの手をさしのべてくれるのが本当の友人でしょうか。
人が友人に求めるものは、さまざまですから、常日頃から、自分が友人にしてもらいたいことをしていれば、自分にもそれが返ってくるのではないかと思います。
この諺は田辺貞之助の本には出ていません。おっしゃるように英語をフランス語に翻訳したものではないでしょうか。 いつも感服して読んでいます。
樋沼さん、こんにちは。
そうですか。のっていないのですね。
ことわざも、同じようなのが自然発生的にできたり、ある国のことわざが別の国に入ったり、
いろいろな成り立ちがあるのでしょうね。
コメントありがとうございました。