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名言その8~愛にちなんだ言葉~人生は人を愛してこそ~アルフレッド・ド・ミュッセ

バレンタインデーにちなみまして、「愛」についての名言をご紹介します。

La vie est un sommeil, l’amour en est le rêve, et vous aurez vécu, si vous avez aimé.

Alfred Louis Charles de Musset(1810-1857)

人生は眠りで、愛は夢を見ること。もし誰かを愛したのなら、人は生きたことになるのだ。

La vie est un sommeil, l’amour en est le rêve, et vous aurez vécu, si vous avez aimé.

早世の天才詩人で、ロマン派の寵児(ちょうじ)であったミュッセの言葉です。

意味はほぼこのまんまです。ただの人生というのは寝ている状態ですが、そこに愛があれば、そのときだけは夢なのです。

そして、人を愛してこそ、この世の生を生きたことになります。でも愛さなければ、生きたことにはならない、と彼は言うのです。「人生、愛があってなんぼや!」ということですね。

恋愛至上主義という感じでしょうか。

よくわかる!フランス語の文法解説

単語の意味

la vie 人生、人生というもの

est < être ~である

sommeil 眠り、睡眠、休止状態

l’amour 愛、愛というもの

en このenは中性代名詞で、部分的な意味を持つと思うのですが、間違っているかもしれません。「眠っている人生のうちで、愛のあるところは、夢である」というふうに解釈しました。

aurez < avoirの単純未来形(助動詞)

vécu はvivre 生きる の過去分詞

avez < avoirの2人称複数の活用(助動詞)

aimé < aimer 愛する の過去分詞

補足:前未来

aurez vécu は 前未来(ぜんみらい)という時制です。

未来の前って何?今ってこと?と思うわけですが、未来のある時点の前に完了していることを言う時制です。

未来のことなんて、ふつうわかりませんが、このときには、こうなってるはずであることを表します。たとえば、「今年の3月11日が来ると、あの震災から丸3年たっているんだね」、といったように。

形は 助動詞 (avoir か être の単純未来形)+動詞の過去分詞

例文:
私が引っ越したら、会いに来てね。
Tu viendras me voir quand j’aurai déménagé.

1時間後にはこの手紙を書いてしまっているでしょう。
J’aurai écrit cette lettre dans une heure.

ミュッセの言葉で前未来が使われているのは、「人生が終わるとき(未来)には、その生を生きたことになっているでしょう」という時間の流れがあるからです。

si vous avez aimé もしあなたが愛したのなら
avez aimé は 助動詞 avoir +過去分詞で複合過去形です。
複合過去形は、ふつう過去に終わったことを表します。

ここでは、未来のある時点(死ぬ時)までに愛し終わっていればいいので、厳密に言うと、今は愛していなくても、この先、愛すればいいのだから、時制としては前未来にするべきなのではないかと思います。

でも「si で始まる条件節では、前未来を使うことができないので、前未来の代わりに複合過去を用いる」、というルールがあるため、複合過去になっているのでしょうね。

アルフレッド・ルイ・シャルル・ド・ミュッセ Alfred Louis Charles de Musset

フランスの詩人、劇作家。たいへん文学の素養のある貴族の系列の家に生まれ、幸せな幼年時代を送りました。

若いころから、詩、戯曲で活躍。特に戯曲は現在でも高い評価を受け、ロマン主義演劇の代表者とされています。

アルフレッド・ド・ミュッセ

1833年にジョルジュ・サンドと出会い、激しい恋に落ちますが、足かけ3年ぐらいでお別れします。2人とも気性が激しく、愛情も深かったけれど、ぶつかり合いもすごかったようです。

また、ミュッセは何が不満なのか、天才だからなのか、耽美的な生活にのめりこんでおり、女遊びも大変なもので、サンドの愛を試すようなところがあったみたいですね。サンドもお医者さんに心をひかれたり。

サンドは欲望に忠実で、一人に絞りきれないのかもしれません。

ミュッセは1857年、不摂生がたたったのか、病気で47歳のときに亡くなります。

戯曲の代表作は
マリアンヌの気まぐれ(Les caprice de Marianne 1833)
ロレンザッチョ (Lorenzaccio 1834)
戯れに恋はすまじ (On ne badine pas avec l’amour 1834)

唯一の小説
世紀児の告白(La Confession d’un enfant du siecle 1838)
これは、ジョルジュ・サンドとの恋愛をもとに書いた自伝小説

詩集
ローラ(Rolla 1830)
夜(Nuits 1835-1837)

映画~Les Enfants du Siècle – 『年下のひと』(1999)

ミュッセの自伝小説などをベースにして、サンドとの恋愛を描いた映画があります。

サンド(1804-1876)はミュッセより6歳年上です。映画では、ジュリエット・ビノシュが演じています。ビノシュってとっても濃い女優さんですよね?最近は、力の抜けた軽い役柄も演じてはいますが。

サンド役にあっているような、イメージが違うような、微妙なところです。でも、インテリの雰囲気が出ていますね。

予告編です。

・・・う~ん、激しいですね^^;

こちらは出会いのシーン。朗読会で、ひどくけなされたサンドを優しくなぐさめるミュッセ

このあと2人はヴェネティア旅行に旅立ちます。

ビノシュと、ミュッセ役のブノワ・マジメルはこの共演が縁で仲良くなり、娘さんが生まれていますが、数年後に別れています。

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パリ・ロマン派美術館「虎と小鳥のフランス日記」第48話その1 ロマン主義について書いています。

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アルフレッド・ド・ミュッセの言葉には、おもしろいものがいくつかあるので、また機会があったらご紹介します。






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