ペ・ド・ノンヌ(pets de nonne)というフランスのお菓子を紹介します。
ペドノンヌ…ひびきがかわいいですよね。なんだかムーミンのノンノンみたいで。しかし、この言葉を直訳すると「尼さんのおなら」となります。
pet ペ は おなら
nonne ノンヌ 修道女、尼さん
ノンヌのペだから、尼さんのおなら。
修道女の正式な言い方は、religieuse (ルリジューズ)で、nonne は昔のカジュアルな言い方のようです。辞書には「[古](ふざけて)」という注釈があります。
仏仏辞典の、vieux ou plais をそのまま訳したのでしょう。
かためのシュー生地を油であげて、砂糖をふりかけた素朴なお菓子です。ドーナツの仲間ですね。
ペ・ド・ノンヌという名前の由来
マドレーヌなどと同じで名前の由来は、はっきりしません。
マドレーヌ⇒コメルシー名物、マドレーヌの作り方:フランスのお菓子(12)
私の持っている本には、、200年ほど前にフランシュ・コンテ地方(Franche-Comté)にある修道院の尼さんが作り始めたと言われている、と書かれています。
記事を油で揚げるとプーっとふくれるから、おならなんだとか。おもちじゃあるまいし、おならは別にふくれませんが。
揚げるときの音が、おならに似ているから、という説もあります。
お菓子を作っていた尼さんが、台所でうっかりおならをしてしまい、隣の尼さんが大笑いして、シュー生地をひとさじ、油の中に落としてできたものが、意外においしかったから、という説もあります。
また、もともとは、paix de nonne (尼さんの平和)だったのが、pets になった、という説もあります。paix と pets は同じ発音です。
お菓子の名前に「平和」という抽象名詞を使うのも変な気がしますが、宗教グループの派閥争いがおさまったときに供されたお菓子だから、という説明つきです。
たぶんみんな作り話でしょう。
ですが、修道女が笑いながら作っているのを想像すると楽しいですね。
こちらは名前の由来のいくつかを説明している動画です。
では、750グラムのレシピを紹介しますね。
ペ・ド・ノンヌの作り方
シュー生地を作って油で揚げます。
材料
cl = centilitre センチリットル、100分の1リットル
c à c = cuillerée à café 小さじ ☆大さじは cuillerée à soupe です。
作り方
- 鍋に水とバターを入れて火にかける(弱火)。塩を入れ、バニラシュガーも入れる
- バターがとけて、全体が混ざったら、鍋を火からおろして小麦粉を投入。即座に木べらでぐるぐるかきまぜる
- 生地がひとかたまりになったら、卵を1つずつ割り入れ、かきまぜる
- 生地がもったりした感じになるまで、卵を1個ずつ割り入れてかきまぜる
- できた生地を絞り出し袋に入れて、熱した油の上で、しぼりだしていく(少しずつ絞り出し、はさみで切る)
- きつね色になるまで揚げる
- 紙を敷いた皿にとり、粉砂糖をかける
☆油の温度は160度Cぐらい。ドーナツを作る要領です。スプーンを使って油に落としてもいいです。揚げたてがおいしいです。
もう1つ、ラム酒を入れるバージョンを紹介します。この動画は、Negritaというラム酒のメーカーが協賛しているのか、ふたりとも、Negritaのエプロンをしています。
しかも、材料の文字が出るときにいちいち、NEGRITAという文字が出てきます。
材料
作り方は最初の動画と同じです。生地がほぼできあがったところに、ラム酒を加えさらに混ぜます。
生地にレーズンを混ぜて作ったりもします。
ペ・ド・スールというお菓子もあり
ペ・ド・ノンヌはカナダのフランス語圏、ケベックでもポピュラーなお菓子です。
ケベックには、似たような名前の pets de sœur (ペ・ド・スール)というお菓子があります。sœur は姉妹ですが、ここでは、キリスト教の修道女、シスターという意味なので、これもまた、「尼さんのおなら」です。
しかし、ペ・ド・スールはペ・ド・ノンヌとは全然違うお菓子で、シナモンバンの小さなタイプです。こちらも作り方の動画をのせておきますね。
やはりケベコワはフランスのフランス語と違いますね。
関連レシピもどうぞ
ペ・ド・ノンヌはベニエの一種です⇒カーニバルの定番、ベニエ (ビューニュ) の作り方:フランスのお菓子(15)
シュー生地の作り方はこちらで練習⇒簡単おやつ、シュケットの作り方:フランスのお菓子(22) | フランス語の扉
尼さんが作った別のお菓子⇒カヌレとは?~フランスのお菓子~その1
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このお菓子には別名もあり、« beignet de vent » (ベニエ・ド・ヴァン 風のベニエ) « soupir de nonne » (スピール・ド・ノンヌ 尼さんのため息)と呼ぶ人もいます。「おなら」に抵抗のある人は、こちらを使ってみてもいいかもしれまえん。
実際とても軽い口当たりです。
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