革新的なデザイナー、ココ・シャネルの(1883-1971)の名言、5つ目をご紹介します。
きょうのお言葉は:
Une femme sans parfum est une femme sans avenir.
香水をつけない女性に未来はない。
香水をつけない女の未来とは?
これまでチェックしたシャネルの名言は彼女の人生哲学をうかがわせるものでした。しかしこの言葉はどちらかというと彼女流のキャッチコピーではないでしょうか。
「シャネルの5番」という香水は誰もがご存知でしょう。
それまで洋服を作っていたシャネルが1921年に初めて発売した香水で、大ベストセラー商品。今もこのブランドの顔です。
シャネル本人は強い香水を好まなかったそうです。また香水をからだにじかにつけるのも好きではなく、コットンにしみこませてブラにはさんでいたとか。
しかし、自分のデザインした香水にはもちろん自信があり、みんなにつけてもらわなければなりません。
そこで「香水つけないの? あなた、終わってるわね」と言い切ったわけです。
彼女はデザイナーとしてはもちろん優秀だったのですが、起業家としても敏腕で、マーケティングのセンスもあったようですね。
よくわかる!フランス語の解説
単語メモ
une 女性名詞につく不定冠詞
femme 女性
sans ~なしの
parfum 香水
est < être ~である
avenir 未来
文法ワンポイント
「A=Bである」という第2文型です。
第2文型についてはこちらを⇒「まいにちフランス語」48:L70フランス語6文型その1
直訳
香水なしの女性は未来なしの女性です。
とても新しい香水~シャネルの5番
オートクチュールで香水を売るアイデアは、19世紀の終わりにポール・ポワレというデザイナーが始めました。
実は彼もコルセットをつけない服を作った革新的な人で「近代ファッションの父」と呼ばれています。でもシャネルほど知名度がなく、教科書にのってる人、みたいな感じですね。
そのアイデアを受け継いで、シャネルも自分の装いを香水で完成させることを思いつきました。この香水がどのような点で新しかったのか、ご説明します。
これまでにない香り
当時の香水には2種類ありました。
どちらの香りもシングルノート(単一型)です。
ふつうの女性のつける香水がなかったのですね。
そこでシャネルは当時生まれつつあった、現代的な女性が利用できる香水を作りたいと思いました。
彼女は石けんのような「フレッシュでさわやかな香りがいいな」とイメージ。当時、フレッシュさを出すために考えられるのは、レモン、ベルガモット、オレンジなどの柑橘類の香りでした。
でもこういった香りはすぐに飛んでしまうのですね。そこでシャネルはロシア生まれのフランス人名調香師、エルネスト・ボーに調香を依頼。
彼はシャネルの注文に応えるために、合成香料のアルデハイドを駆使して、数ヶ月かかって調香し、10種類のサンプルを作りました。
サンプルだから瓶に番号がふってあったのです。それは1番~5番、20番~24番でした。
この中からシャネルは5番の香りを選び、それをそのまま商品名にします。もともとシャネルは5という数字が好きだから5番を選んだとも言われています。この香水は1921年5月5日のコレクションで発売されました。
さまざまな香りをブレンドして全く新しい香りを作り出すのはとても新しい試みでした。今はふつうですが。
斬新なネーミング
「シャネルの5番」は厳密には「5番」のみが名前。
野球の打順みたいですね。
ただの数字ですよ。今でこそ、商品に数字をつける手法は普通ですが、1921年の話です。
このネーミングだけとってみても、他の人と全然違います。
シンプルなボトル
名前もシンプルですが、香水を入れたボトルや箱もシンプルでした。その頃の香水は、ラリックやバカラの芸術的なガラスの瓶に入れることが普通でしたから。
シンプルといっても、形はそれなりにいろいろ考えられています。それは次に紹介する動画でごらんください。
きょうのシャネルの動画
毎回紹介していますブランド・シャネルが作った動画。今回はこのシャネルの5番についてのものです。
4分16秒
★シャネルの名言、その6はこちら⇒成功する人はどんな人?
☆シャネルの名言を最初から読む方はこちらから
⇒名言その1~ココ・シャネル~上品な服装が引き立たせるものとは?
この香水のすごいところは、90年前の発売なのに、まだ現役で、しかも売れている、というところです。昔のと今のとではほんの少しフォーミュラが違うそうです。
マリリン・モンローが寝る時に、これをつけていた話は有名です。でも、べつに裸で寝ていたわけではなく、「寝間着とこれをつけてる」という意味で言ったようです。
峰不二子もこの香水を愛用しています。そして、最近、ブラッド・ピットのCMまでできました。
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