バンジャマン・ビオレー(Benjamin Biolay )の Ton Héritage (きみの遺産)という曲を紹介します。
バンジャマンは、現代フランスを代表する音楽プロデューサーと呼ばれておりますが、日本ではさほど知名度はないですね。
歌手というよりプロデューサーだからでしょうか。しかし、自分でもCDを少し出していて、コンサートもたまにやっています。
彼がピアノの弾き語りをしているTon Héritage。いい曲なので、ぜひ聞いてみてください。
Ton Héritage (きみの遺産)
長いので、今回は、2分5秒のあたりまで訳します。
Si tu aimes les soirs de pluie
Mon enfant, mon enfant
Les ruelles de l’Italie
Et les pas des passants
L’éternelle litanie
Des feuilles mortes dans le vent
Qui poussent un dernier cri
Crie, mon enfant
もしきみが雨の夜を好きなら
僕の子どもよ、僕の子どもよ
イタリアの街角と
通行人の足音
風に舞う枯葉の
永遠の祈り
それは最後の叫び声をあげさせる
叫びなさい、僕の子どもよ
もしきみが雲の切れ目を好きなら
僕の子どもよ、僕の子どもよ
大きな海での
真夜中の入浴
もしきみがつらい人生が好きなら
池に映った自分の姿
いつもそばにいてくれる
友だちがほしいのなら
もしきみが夜になると、祈るなら
僕の子どもよ、僕の子どもよ
もし墓に花をたむけず
それでも失った人々を恋しく思うなら
爆弾が怖いのなら
そしてあまりに大きな空
もし時々自分の影に
話しかけるのなら
もしきみが引き潮を好きなら
僕の子どもよ、僕の子どもよ
テラスにさしこむ太陽の光
そして風の中の月
もし人が君の足あとを見失うのなら
春が来てすぐに
たとえ人生に追い越されても
進みなさい、僕の子どもよ
それはきみのせいじゃない
きみの遺産なんだ
もっとひどくなる
君が私の年になったら
それはきみのせいじゃない
きみの身体と血の中にある
一緒にやっていくしかない
あるいは、すべて捨てたほうがいいけれど
単語メモ
litanie 行列、くどくどと並べ立てること
éclaircie 雲、霧の切れ目、晴れ間
chérir ~を深く愛する、慈しむ
marée basse 引き潮
perdre la trace 足あとを見失う
「もし君が~を好きなら」と言ったあとに続いている名詞(句)もすべて、好きなものなんだと思います。
日本語は動詞があとにくるので、たとえば冒頭のフレーズを日本語的にしようとするとこうなると思います。
「もしきみが雨の夜と、イタリアの街角と通行人の足音、風に舞う枯葉の永遠の祈り、その枯葉は最後の叫び声をあげさせるものだけれど、そいういうものが好きなら、叫びなさい、僕の子どもよ」。
しかしフランス語は先に動詞がきて、好きなものをあとから付け足していけるので、なるべくその順番で訳しました。
歌を聞いている人は、雨の夜、イタリアの街角、通行人の足音、と聞いた順番にイメージすると思うからです。
そのため、日本語的にはあまりうまく訳せていません。ぜひ、オリジナルの歌詞を味わってください。歌詞付き動画をのせておきます。
歌詞付き動画
上で紹介したのはライブですが、こちらはCDの音源です。
バンジャマン・ビオレーは歌手、コラリー・クレモンのお兄さんで、彼女のアルバムを2枚プロデュースしています。
コラリー・クレモンの曲はこちら:
歌と訳詞:コラリー・クレモン『セラヴィ』
後半はこちら⇒「きみの遺産」(バンジャマン・ビオレー)歌と訳詞(後半)
彼は作曲もしますし、さまざまな楽器も演奏し、映画にも出る多彩な人です。今は、ヴァネッサ・パラディの恋人として有名ですね。
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