フランスのお菓子を紹介するシリーズ、今回はクレームブリュレです。フランス語でCrème brûlée クレムブリュレ RとLの音が入っていて、日本人には発音しにくいですね。
Crème brûlée の直訳は「焦がしたクリーム」brûlée は brûler (燃やす、焼く、焦がす、やけどさせる)の過去分詞からできた形容詞です。
このお菓子はカスタードプディング(プリン)みたいなものです。卵の黄身に生クリームと牛乳を混ぜてオーブンで焼き、上に砂糖をのせてその砂糖をキャラメリゼ(焦がす)するごくシンプルなデザートです。
カラメル部分は硬いので、ここをスプーンで割って、柔らかいカスタードをといっしょにすくって食べます。
クレームブリュレの歴史
1691年のフランスの料理本に初めてのクレームブリュレのレシピがあるそうです。
しかしこのデザートの起源はよくわかっていません。
中世の頃から、カスタードプディングはヨーロッパ中でよく食されていました。甘かったかどうかはわかりませんが。
ポイントは「誰が表面に砂糖をトッピングして焦がしたか」という点ですが、これについてはフランスのほかイギリス、スペインも「うちが発明しました」と言っています。
イギリスのトリニティ・カレッジ(ケンブリッジ大学を構成するカレッジの1つ)はクレームブリュレの祖先は、17世紀に学生が作ったBurnt Cream (バーントクリーム)であると主張しています。Cambridge Burnt Cream(ケンブリッジバーントクリーム)、Trinity Cream(トリニティクリーム)とも呼ばれます。
カレッジには、砂糖を焦がすときに使ったアイロンも展示されているそうです。
またスペインのカタルーニャ人はクレームブリュレの祖先は、この地方のお菓子である、クレマカタラーナ(crema catalana)だと主張しています。
両者はほぼ同じもので、クレマカタラーナは冷やしてからサーブされます。ただクレマカタラーナは18世紀にならないと記録がないそうです。
このように、誰が砂糖を焦がし始めたのかはわからないのですが、クレームブリュレはその名前がフランス語であることからわかるように、一般にフランスの代表的なデザートと考えられています。
クレームブリュレの作り方
Ingrédients 材料
■カスタード
4 jaunes d’oeufs 卵の黄身4つ
12 cl de lait ミルク12センチリットル(120ml)
35 cl de crème liquide à 30% 生クリーム35センチリットル(350ml)
70g de sucre 砂糖 70グラム
1 gousse de vanille バニラひとさや
■トッピングのキャラメル
50g de sucre blanc 白砂糖(グラニュー糖)50g
センチリットルについてはこちらをどうぞ⇒サン・トロペ名物、タルト・トロペジエンヌのレシピと作り方
作り方
1.バニラのさやを縦に割って、中身を取り出す。
2.鍋にミルクとバニラを入れて火にかけ、中火で沸騰させる
3.黄身をボールに入れて、砂糖を加えてかきまぜ、生クリームを加えてさらに混ぜる。
4.そこへ温めたミルクを入れて混ぜる⇒生地の出来上がり。
5.小さい耐熱容器に生地を入れて、オーブンで100度、1時間ぐらい焼く。オーブンから取り出して10分ぐらい置く。
6.カスタードの表面に砂糖を散らし、バーナーの火を当てて、砂糖を焦がす。こうすると表面がカリカリになります。
※オーブンに入れるとき、天板にお湯を張って蒸し焼きするレシピもあります。またグラニュー糖の代わりにカソナードという茶色い砂糖を使うこともよくあります。
☆きょうのお菓子用語
caraméliser キャラメリゼ、砂糖をこがす、カラメルにする
映画「アメリ」で主人公アメリがクレームブリュレの表面をスプーンで割るのが好きだ、というシーンがあり、一躍このおやつが日本で人気がでました。
関連⇒『アメリ』と歩くモンマルトル その2「虎と小鳥のフランス日記」第37話
ケンブリッジバーントクリームの作り方
イギリスのバーントクリームの作り方です。
クレムカタラーナの作り方
スペインのクレムカタラーナの作り方。こちらは通常、柑橘類の皮で風味付けします。
クレームブリュレはシンプルなお菓子ですが、丁寧に作るととてもおいしく、料理のデザートとして深い満足感を味あうことができます。
卵の白身を使わず黄身だけを使い、さらに生クリームを入れるので、なかなかリッチです。
全卵と牛乳だけを使えば、「お母さんおおやつ」的な味わいが出ます。
それでは次回のフランス語のお菓子をお楽しみに。
はじめまして、tamakiと申します。いつも楽しく拝見しております。
フランス語ではなく単位のことでちょっと気になったので、おじゃまします。
clはイコールmlではなく、12clは120ml、35clは350mlとなります。
現在、フランスでclとdl表示に悩まされているところです。
料理のときは慌てていると間違えそうです(^ ^;
tamakiさま
こんにちは。penです。
おっしゃるとおりですね。
センチをミリを変換するからゼロが1つ増えますね。
なぜかそのまま書いてしまっていました。
大変失礼しました。
動画でも、生クリーム、35CCよりもっとたくさん入れてますね。
ただいま修正しました。
ご指摘いただき、ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
pen