ファーブルトン

フランスのお菓子

ファー・ブルトンは簡単でおいしい:フランスのお菓子(24)

フランスのお菓子を1つずつ紹介しています。今回はファー・ブルトン(ファール・ブルトン far breton)です。

その名のとおり、ブルターニュ地方の郷土菓子。日本ではファーブルトンという表記が一般的なようですね。farの発音はカタカナではうまく書きあらわせません。

ただ単に、ファールということもあります。ファールといったら、ファー・ブルトンのことです。

混ぜて焼くだけの簡単お菓子です。

far (ファール)とは?

far は 小麦粉 farine から来た言葉か、あるいは farcir (詰め物をする)の過去分詞から来た言葉ではないかと考えられています。

farという単語は、ファー・ブルトンのほかに、ポアトゥー地方のキャベツの詰め物料理をさすこともあります。

ファールはブルターニュの定番おやつで、クラフティに似たカスタードプティングみたいなお菓子です。プラムをたくさん入れるので、プラムプディングといったほうがいいかもしれません。

昔はブルターニュの農民が昼食に持っていったそうですから、以前はここまでリッチなお菓子ではなかったでしょう。

breton は「ブルターニュの」という意味の形容詞です。

それではいつものようにまず50gのレシピを紹介します。

Far breton 伝統的なファー・ブルトンの作り方

材料

500 g de pruneaux プラム(干したセイヨウスモモ) 500グラム pruneaux は pruneau の複数形です。

3 œufs 卵 3個

1/2 litre de lait ミルク 1/2リットル

70 g de beurre salé 有塩バター(つまり日本における普通のバター)70グラム

100 g de sucre 砂糖 100グラム

100 g de farine 小麦粉 100グラム

1 c à s de rhum ラム酒 大さじ1杯 c à s は cuillère à soupe のこと。

作り方

◆下準備

●牛乳とミルクを室温にもどす(作り始める前にテーブルの冷蔵庫から出し、しばらくおきます)。
●オーブンを180度に予熱。
●型にバターなどの油脂をぬっておく

1.ボールに卵を割り入れ、砂糖を入れて混ぜる。

2.小麦粉を投入して混ぜる。クレープの生地を作る要領です。

3.ラム酒を入れる。

4.溶かしバターを少しずつ入れながら、生地に混ぜていく。

5.牛乳を入れながら生地を混ぜる⇒生地のできあがり。

6.長方形の耐熱容器にプルーンを入れる(均等に並べる)。

7.型に生地を流す。最後に型をふってプラムを均等に散らす。

8.180度のオーブンで45分ほど焼く。

9.粗熱をとって四角く切って食べる。温かいうちに食べても、冷やしたのを食べてもいいです。お好みでどうぞ。

温かいまま、アイスクリームなどを添えて食べたりもします。カロリー上昇します。

伝統的なファーブルトンは、ラム酒で香り付けします。また型は陶器を使います。

次はMarmintonのレシピです。

Far breton aux pruneaux ファー・ブルトン・オ・プルノーの作り方

作り方はほぼ同じですが、溶かしバターを入れていません。またラム酒ではなく、バニラシュガーで香り付けしています。

材料

200 g de farine 小麦粉200グラム

200 g de sucre 砂糖200グラム

4 oeufs 卵4個

2 sachets de sucre vanillé バニラシュガー 2パック。通常、1パック、7.5グラムです。

75 cl de lait 牛乳、75センチリットル (750 ミリリットル)

500 g de pruneaux プラム 500グラム

作り方

生地がくっつく型を使うときは、バターなど油脂をぬっておきます。

1.小麦粉を大さじ1杯をプラムにまぶしておく(こうすると、プラムが生地になじみ、底に沈みにくくなります)。

2.ボールに卵を割り入れ、砂糖(白砂糖+バニラシュガー)を入れてかきまぜる。

3.小麦粉を投入し、牛乳を入れてさらにかき混ぜる。

2.生地を1時間休ませる。

3.オーブンを200度Cに予熱(動画では180度に予熱と言っていますが、焼き温度は200度Cになっています)。

4.型に生地を流し入れる。

5.小麦粉をまぶしたプルーンを生地に入れていく。

6.200度Cで30分焼く。

動画を見ると、ちょっと焼きすぎのような気もします。

生地を1時間休ませる理由ですが、動画では、人間と同じように生地も休憩させると最高級のパフォーマンスをするんだそうです。

ほかのお菓子でも生地を休ませることがありますが、その理由は

●砂糖を溶かし切る

●材料をなじませる

●グルテンの働きをおさえる(粘りをださない)

などと言われています。しかし、材料の温度や生地をまぜる順番によって、どんな作用が起きているのかは微妙に変わると思われます。

☆きょうのお菓子作りのフランス語:roulér qn dans la farine ~を小麦粉でくるむ⇒小麦粉をまぶす

ブルターニュとは

最後にブルターニュについて簡単に説明しておきます。

ブルターニュとは、フランスの西部、ブルターニュ半島をしめる地方です。中心都市はレンヌ。5世紀からブリタニア(英国)からケルト系のブルトン人が移住しますた。ここは長らく、ブルターニュ公国という国でした。ブルトン語を始め、独特の民俗を持っています。

1532年にフランスに統合されました。

ケルト音楽にのせて3分40秒でブルターニュ地方を紹介する動画です。映像のみで発話はありません。

ブルターニュの北側は隆起海岸(地盤が隆起して、海の底が陸になった海岸)です。

ブルターニュではそば粉のガレット(クレープ)が有名です。そば粉のガレットについてはこちらの記事を参照してください⇒モンパルナスでクレープを食べよう「虎と小鳥のフランス日記」第35話

こちらでもクレープについて説明しています⇒ブルターニュ名物、クレープとは?

この記事でもブルターニュのおいしい物を紹介しています⇒ブルターニュ名物いろいろ~海の幸、ゲランドの塩、ガレットブルトンヌ

フランスの北部のほうが、乳製品が豊富なのでお菓子もおいしいと言われています。

ファーブルトンですが、家族にプラムの嫌いな人がいたら別にいれなくてもいいです。いれなければいれないで、それなりにおいしいお菓子になると思います。

また、焼き時間はご家庭のオーブンの様子を見ながら調節してください。






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