フランスのお菓子を1つずつ紹介しています。今回はファー・ブルトン(ファール・ブルトン far breton)です。
その名のとおり、ブルターニュ地方の郷土菓子。日本ではファーブルトンという表記が一般的なようですね。farの発音はカタカナではうまく書きあらわせません。
ただ単に、ファールということもあります。ファールといったら、ファー・ブルトンのことです。
混ぜて焼くだけの簡単お菓子です。
far (ファール)とは?
far は 小麦粉 farine から来た言葉か、あるいは farcir (詰め物をする)の過去分詞から来た言葉ではないかと考えられています。
farという単語は、ファー・ブルトンのほかに、ポアトゥー地方のキャベツの詰め物料理をさすこともあります。
ファールはブルターニュの定番おやつで、クラフティに似たカスタードプティングみたいなお菓子です。プラムをたくさん入れるので、プラムプディングといったほうがいいかもしれません。
昔はブルターニュの農民が昼食に持っていったそうですから、以前はここまでリッチなお菓子ではなかったでしょう。
breton は「ブルターニュの」という意味の形容詞です。
それではいつものようにまず50gのレシピを紹介します。
Far breton 伝統的なファー・ブルトンの作り方
材料
500 g de pruneaux プラム(干したセイヨウスモモ) 500グラム pruneaux は pruneau の複数形です。
3 œufs 卵 3個
1/2 litre de lait ミルク 1/2リットル
70 g de beurre salé 有塩バター(つまり日本における普通のバター)70グラム
100 g de sucre 砂糖 100グラム
100 g de farine 小麦粉 100グラム
1 c à s de rhum ラム酒 大さじ1杯 c à s は cuillère à soupe のこと。
作り方
◆下準備
●牛乳とミルクを室温にもどす(作り始める前にテーブルの冷蔵庫から出し、しばらくおきます)。
●オーブンを180度に予熱。
●型にバターなどの油脂をぬっておく
1.ボールに卵を割り入れ、砂糖を入れて混ぜる。
2.小麦粉を投入して混ぜる。クレープの生地を作る要領です。
3.ラム酒を入れる。
4.溶かしバターを少しずつ入れながら、生地に混ぜていく。
5.牛乳を入れながら生地を混ぜる⇒生地のできあがり。
6.長方形の耐熱容器にプルーンを入れる(均等に並べる)。
7.型に生地を流す。最後に型をふってプラムを均等に散らす。
8.180度のオーブンで45分ほど焼く。
9.粗熱をとって四角く切って食べる。温かいうちに食べても、冷やしたのを食べてもいいです。お好みでどうぞ。
温かいまま、アイスクリームなどを添えて食べたりもします。カロリー上昇します。
伝統的なファーブルトンは、ラム酒で香り付けします。また型は陶器を使います。
次はMarmintonのレシピです。
Far breton aux pruneaux ファー・ブルトン・オ・プルノーの作り方
作り方はほぼ同じですが、溶かしバターを入れていません。またラム酒ではなく、バニラシュガーで香り付けしています。
材料
200 g de farine 小麦粉200グラム
200 g de sucre 砂糖200グラム
4 oeufs 卵4個
2 sachets de sucre vanillé バニラシュガー 2パック。通常、1パック、7.5グラムです。
75 cl de lait 牛乳、75センチリットル (750 ミリリットル)
500 g de pruneaux プラム 500グラム
作り方
生地がくっつく型を使うときは、バターなど油脂をぬっておきます。
1.小麦粉を大さじ1杯をプラムにまぶしておく(こうすると、プラムが生地になじみ、底に沈みにくくなります)。
2.ボールに卵を割り入れ、砂糖(白砂糖+バニラシュガー)を入れてかきまぜる。
3.小麦粉を投入し、牛乳を入れてさらにかき混ぜる。
2.生地を1時間休ませる。
3.オーブンを200度Cに予熱(動画では180度に予熱と言っていますが、焼き温度は200度Cになっています)。
4.型に生地を流し入れる。
5.小麦粉をまぶしたプルーンを生地に入れていく。
6.200度Cで30分焼く。
動画を見ると、ちょっと焼きすぎのような気もします。
生地を1時間休ませる理由ですが、動画では、人間と同じように生地も休憩させると最高級のパフォーマンスをするんだそうです。
ほかのお菓子でも生地を休ませることがありますが、その理由は
●砂糖を溶かし切る
●材料をなじませる
●グルテンの働きをおさえる(粘りをださない)
などと言われています。しかし、材料の温度や生地をまぜる順番によって、どんな作用が起きているのかは微妙に変わると思われます。
☆きょうのお菓子作りのフランス語:roulér qn dans la farine ~を小麦粉でくるむ⇒小麦粉をまぶす
ブルターニュとは
最後にブルターニュについて簡単に説明しておきます。
ブルターニュとは、フランスの西部、ブルターニュ半島をしめる地方です。中心都市はレンヌ。5世紀からブリタニア(英国)からケルト系のブルトン人が移住しますた。ここは長らく、ブルターニュ公国という国でした。ブルトン語を始め、独特の民俗を持っています。
1532年にフランスに統合されました。
ケルト音楽にのせて3分40秒でブルターニュ地方を紹介する動画です。映像のみで発話はありません。
ブルターニュの北側は隆起海岸(地盤が隆起して、海の底が陸になった海岸)です。
ブルターニュではそば粉のガレット(クレープ)が有名です。そば粉のガレットについてはこちらの記事を参照してください⇒モンパルナスでクレープを食べよう「虎と小鳥のフランス日記」第35話
こちらでもクレープについて説明しています⇒ブルターニュ名物、クレープとは?
この記事でもブルターニュのおいしい物を紹介しています⇒ブルターニュ名物いろいろ~海の幸、ゲランドの塩、ガレットブルトンヌ
フランスの北部のほうが、乳製品が豊富なのでお菓子もおいしいと言われています。
ファーブルトンですが、家族にプラムの嫌いな人がいたら別にいれなくてもいいです。いれなければいれないで、それなりにおいしいお菓子になると思います。
また、焼き時間はご家庭のオーブンの様子を見ながら調節してください。
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