ココ・シャネル(1883-1971)の名言、4つ目をご紹介します。
きょうのお言葉は:
Le luxe, ce n’est pas le contraire de la pauvreté mais celui de la vulgarité.
「ぜいたく」は、「貧しさ」の反対語じゃないのよ。「下品」の反対語なの。
「ぜいたく」は「下品」の反対語
さて、「ぜいたく」とはなんでしょうか?
ふつう物やお金が必要以上に使うことをさしますね。だから「貧乏」の反対と言えなくもないです。
しかし、シャネルはそうは言いません。
「ぜいたくなことは下品であることの反対語」
と言います。
シャネルは下品なことが嫌いでした。
「下品」が好きな人はいないと思いますが、何が上品で何が下品なのかは、その人の考え方によって違います。
シャネルは、シンプルかつ実用的でエレガントなテイストが好きであり、「下品なこと」をかなり憎んでいたようです。
また、「下品なこと」の反対語だとしている「贅沢であること」は、彼女にとっては「自由」に通じるものです。
若い頃、ほとんどお金がなく、愛人に庇護されていたときも、仕事をしたがっていたことはココ・シャネルの名言~かけがえのない人間になる方法とは?にも書きました。
仕事はシャネルの自己実現の方法であり、彼女が何よりも愛しているものでした。
作っているスーツの肩の形が気に入らなくて、べりべりっと引き裂き、また縫うというのを27回やった逸話が残っています。
これはきっと自分で縫ったのではなく、雇っていたお針子さんに縫い直しをさせたのだと思います。また、シャネルは、そういうお針子さんたちの休みの日である日曜日が嫌いでした。
いまでいうワーカホリックですね。ですが、仕事は彼女を裏切らなかったし、経済的な自由をもたらしてくれました。
孤児同然からトップデザイナーになったシャネルの経歴は初回の記事に書いています。こちら⇒名言その1~ココ・シャネル~上品な服装が引き立たせるものとは?
よくわかる!フランス語の解説
単語メモ
le 男性名詞につく定冠詞
luxe ぜいたく
ce それは
n’ = neのエリジオン ne~pasで否定文を作ります。
est < être ~である
contraire 反対、反対語
de ~の
la 女性名詞につく定冠詞
pauvreté 貧しさ、貧困
mais でも(逆説の接続語)
celui ~のそれ(指示代名詞)この場合は、le contraire(反対語)を受けています。
vulgarité 俗悪、無作法、下品
文法ワンポイント
最初にle luxe と話題をぽーんと出して、「c’est それはね~」と説明を続ける構文です
。
フランス語にひじょうに多い言い方です。
有名なものでは
ルイ14世(太陽王)が言ったという
L’Etat, c’est moi.
朕(ちん)は国家なり
があります。
※朕=天子や王様が自分のことを言う言葉=私は
この構文はこちらで詳しく説明しています。
⇒フランス語のことわざ4~去ることは少し死ぬこと
直訳
「ぜいたくさ」、それは「貧しさ」の反対語ではない。「俗悪さ」の反対語です。
きょうのシャネルの動画
きょうもシャネルブランドが作ったシャネルのバイオグラフィーの動画をご紹介します。
前回は、第2次世界対戦中、パリのブティックを閉めざるを得なくなったところまで。
きょうは戦後、パリに舞い戻り71歳でまたコレクションを発表するところから。
約3分
これはブランド、シャネルが作った動画なので、ふれていないのですが、シャネルは大戦中は、ドイツの将校の愛人であり、また本人自身がドイツのスパイであったという報告があります。
1954年、パリに舞い戻るまでスイスで10年ほど亡命生活をしていました。
「売国奴」であったので、戦後すぐのパリではものすごくイメージが悪く「古くさい」と叩かれたのですね。
けれども、アメリカで火がつき、世界へ波及し、その後はまた破竹の勢いで仕事をしていました。
1971年1月10日の日曜日、シャネルはドライブに出ているとき気分が悪くなり、早めに寝てそのまま亡くなりました。
87歳でした。
この頃あまり体調がすぐれなかったようですが、それでもスプリングコレクションの準備をしていたそうです。亡くなった日が仕事の休みの日であったというのも象徴的ですね。
☆シャネルの名言その5はこちら⇒名言その5~ココ・シャネル~香水をつけない女性の未来とは?
☆シャネルの名言を最初から読む方はこちらから
⇒名言その1~ココ・シャネル~上品な服装が引き立たせるものとは?
「ぜいたく」という言葉は、文脈によって、ポジティブにもネガティブにもなります。
luxeも同じです。
faire étalage de luxe 「ぜいたくを見せびらかす」といえば、悪い意味ですし、le comble du luxe 「最高のぜいたく」というと、よいイメージがあります。
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