今日は水にちなんだことわざをご紹介します。
「泉よ、おまえの水は飲まない」と言うなかれ。
Il ne faut pas dire «Fontaine, je ne boirai pas de ton eau.»
「泉よ、おまえの水は飲まない」と言うなかれ。
これは、泉にむかって「あなたの水は絶対飲みませんんから」と言ってはいけないということです。
たとえ、その人が水の入ったペットボトルを持っていたとしても、そう言った数分後に、うっかりボトルを落として、中の水をあたりに撒き散らしてしまう可能性は十分あります。
そしたら、やっぱりその泉の水のお世話になるのです。
つまり、先のことは誰にもわからないのだから、いろいろなことを軽々しく断言してはならない、という意味のことわざです。
このことわざのもととなったとされる中世の逸話が残っています。
ある大酒飲みがいて「わしは、酒は飲むが、水は金輪際飲まない!」と断言しました。
でも、あるとき大好きなお酒を飲み過ぎて、したたかに酔っ払い、街の噴水の中に落ちてしまいます。そして、そこの水をたっぷり飲み、溺れ死んだ、というものです。
これまた残酷な話ですね。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
il ne faut pas ~すべきではない
これは前回の内輪もめに口出しをするなにも出てきましたね。
dire 言う
fontaine 泉、噴水、水飲み場、給水所
je 私は
ne…pas ~ない(否定を作る)
boirai < boire 飲む 単純未来形 de …の一部(部分を表す) ton あんたの eau 水
直訳
「泉よ、おまえの水は飲まない」と言ってはならない。
補足
fontaine
泉、噴水、給水所などの意味がありますが、このことわざでは「泉」と言うことに決まっています。
部分を表す前置詞 de
これは辞書には「「部分を表す小辞」とあります。
ほかの例
avoir de ses nouvelles
彼(女)から便りがある
boire de ce vin
このワインを少々飲む
manger de tout
すべての料理に箸をつける
英語のことわざでは?
Never say never. にあたる、と書いてあることが多いのですが、Never say never. は 「こんなことは絶対できない」と絶対言うな、というふうに「絶対あきらめるな」という意味に使うこともあるので注意が必要です。
水は万物の根源
さて、上に紹介した逸話ですが、ちょっと本当だとは思えないですね。だって、人間は水を飲まないと生きていけないわけですから。
水は私たちの生活にとって切っても切れないものです。私たちは水を飲まなければ一日たりとも生きていけません。
古代ギリシアの7賢人の1人、タレスは万物の根源を水と考えました。
日本では、水道の蛇口をひねれば、水は必ず出てくるので、たまに水不足を憂うニュースがあるものの、みんな水は当たり前に手に入る、と思っています。
しかし、環境汚染がすすむ現在、水はとても貴重なものなのです。きれいな水は無限に供給されるわけではない。それこそ、先のことはわからないのです。
きょうは最後に、美しい水を描写した音楽をご紹介して終わりますね。
水のゆらぎや、水に映るきらめき、そして水そのものの動きという、いかにもつかみどころのないものを描写した曲です。
作曲はドビュッシー。
ドビュッシーについては、こちらに詳しく書いています。
⇒ドビュッシーの生涯~前編
⇒ドビュッシーの生涯~後編
ドビュッシー:《映像 第1集》から 「水の反映(水に映る影)」
フランス語では、Reflets dans l’eau です。
ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
その2⇒フランス語のことわざ~目次 その2
それでは、次回のことわざの記事をお楽しみに。
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