ジョイス・ジョナサン(Joyce Jonathan)のサイラ(Ça ira)という曲をご紹介します。
1989年生まれのシンガーソングライターです。とてもかわいい歌声で、曲もポップで覚えやすいです。
Ça ira 訳詞
それでは、訳詞に挑戦!
Ça ira うまく行きそう
私がきれいな目をしてるっていう理由だけでそこにいるんじゃないと言って
ほかにもあなたを幸せにする理由があると言って
2人ののんびりすごす愛の朝が好きだと言って
これが始まりだけど、この先、2人は続きそうだと言って
あなたがこんなに求めているのは私だけだと言って
私は、何の約束もないの、受けたいなと思うようなデートの約束は
あなたとなら、昔のことを忘れる準備ができてるのは確か
私、いつだって喜ばせるのが好きだけど、あなただけ楽しませるってことでも別にいいの
★私、私はあなただと思うの
そして、あなたもそう思ってることがわかってる
あなたは、私の幸せのリズムにぴったり
私の気分にもあってる
ほら、こんなふうにね
そう、私はあなただと思うの
本当にはじめて
私の苦しみや怒りを受け入れてくれる
ちょうどよいタイミングね
あなたと私、
きっとうまく行くわ★
すごく大きな建造物をきどった、自信満々のあなたが好き
大胆なまでにあなたが抱いている秘密のようなやさしいまなざしが好き
あなたにはわたしのどんなささいな沈黙の意味もわかっている
私が夢見心地になるかどうか、そこに違いがあるのか、私にははっきりしないけど
★~★ 繰り返し
「試してみようよ」と自分に言うの。どっちにしても遅すぎるし
最悪でも、素敵な思い出が残るだろうし
あなたのやさしさが怖いわ。すごく幸せになりそうだけど
ねえ、私怖いのよ
★~★ 繰り返し
この曲は、ジョイス・ジョナサンのセカンド・アルバム(2013年発売)に収録されています。
デビュー・アルバムはこちら。
単語メモ
au delà de ~以上に
paresse 怠惰、無気力、不精、安逸
aies < avoir 条件法
rencard = rancard (口語)デート、会う約束 = rendez-vous
faire l’affaire (de qn) ~に適当である、ふさわしい、有利である
Cette valise fera l’affaire, je n’ai presque rien à emporter.
このスーツケースがちょうどよい、荷物はほとんどないのだから
emprunter à ~から借りる
indécent 下品な、厚かましい
prenons < prendre nous prenons
au pire 最悪の場合には
tiroir 引き出し
補足
巨大な建造物から借りてくる?
シンプルな恋の歌なのですが、訳すのは難しかったです。
まあ、だいたいこんな感じですが、フランス語がわかる方は原文にあたって下さい。
特に
すごく大きな建造物をきどった、自信満々のあなたが好き*
大胆なまでにあなたが抱いている秘密のようなやさしいまなざしが好き
と訳したところは「何のこっちゃ?」と思うかもしれません。ここは
J’aime les airs assurés que tu empruntes aux plus beaux monuments
Ton regard doux comme un secret tes caresses aux limites de l’indécent
となっています。一行めの直訳は「私はあなたの、巨大な建造物から借りた自信のあるさまが好きである」。
「は?建造物?」と思って検索をかけましたところ、ボードレールの詩がヒットしました。
「悪の華」という詩集の中にある、La beauté という詩の一節に
Les poètes, devant mes grandes attitudes,
Que j’ai l’air d’emprunter aux plus fiers monuments,
Consumeront leurs jours en d’austères études;
というところがありますので、これをもじっているのかもしれません。
★La beauté の原文はこちらで読めます。
⇒La Beauté (Beauty) by Charles Baudelaire
危険をおかしてみよう
prenons des risques ですが、直訳すると「危険をおかしましょう」ですけど、そう訳すと何か、これから火や水の中に飛び込むような、すごいチャレンジをする感じがします。ここは、もうちょっと軽い意味だと思いますので、「試してみましょう」と訳しました。
幸せになるかどうかわからず不安だけど、もう恋に落ちてしまっているし、このままつきあいましょう、という意味です。
英語でも Take a risk! (やってみれば?)という表現があり、よく使います。
Ça ira 歌詞つき動画
ジョイス・ジョナサンのプロフィール
ジョイス・ジョナサンは1989年、パリの北西部にあるのルヴァロワ=ペレ(Levallois-Perret)生まれ。
グレゴワールと同じ、My Major Companyというレーベルの歌手です。ここはクラウドファンディングをして、CDを制作します。クラウドファンディングについてはグレゴワールの記事に詳しく書いています。
小さいときからピアノを習ったりして、音楽が好きだったのですが、16歳のときにMySpaceで自作の曲の発表をはじめ、2007年の12月、18歳のときにMy Major Companyでクラウドファンディングを開始。
3,4ヶ月ほどで、486人の投資者(プロデューサー)から、7万ユーロ(きょうのレート、1ユーロ=142.48円で、約100万円)集め、CDデビュー。このCDはミリオンセラーになり、半年後に、プロデューサーたちは投資分をしっかり回収しました。
クラウドファンディングというのは、最初から視聴者の目にジャッジされますので、魅力が感じられなかったら、お金は全く集まらないと思います。彼女の曲はどれも親しみやすく、一気に資金が集まるのもわかる気がします。ルックスもいいですし。
結局2010年に出たデビュー・アルバム(Sur mes gardes)はプラチナ・アルバムになりました。きょうご紹介した曲は2013年の2枚目のアルバム(Caractère)よりのシングルカットです。
機会がありましたら、彼女の別の曲も訳してみたいと思っています。
訳しました⇒キャラクテール:ジョイス・ジョナサン(歌と訳詞)
同じアルバムからの2枚目のシングルカットです。
この記事へのコメントはありません。