「虎と小鳥のフランス日記」最新号は前回の続き。パリ3区の古物市が舞台です。ここは子ども専用の古物市。
ここでは、子どもが自分のいらなくなったおもちゃを売るんです。いいアイデアですね。
サンプルビデオがあるので見てください。
★2015/01/24追記
「虎と小鳥のフランス日記」の配信が終了したため、サンプル動画も削除されました。あしからずご了承ください。
★きょうのメニュー
それでは、復習行ってみよう!
サンプル部分のスクリプトと和訳
Alors, maintenant nous allons aller dans la cour de la mairie du troisième, où il y a un espace réservé à une brocante pour enfants.
Un euro, tous les livres ! Un euro !
Alors là je vais acheter, pour cinquante centimes, des super lunettes, et ça va être pour un copain qui fait une pièce de théâtre, J’pense que ça va lui plaire.
Tiens !
Merci.
さて、これから3区の区役所の中庭に行きましょう。そこでは、子ども用の古物市が行われているんですよ。
本、すべて、1ユーロです。1ユーロです!
えーと、50サンチームで、かっこいいメガネを買うわ。劇をやっている友だち用です。気に入ってくれると思います。
はい!
ありがとうございます。
centime は 1ユーロの1/100です。
cinquante centime きょうのレートで約68円
1ユーロ=137円ぐらい
plaire à ~の気に入る
Ce chapeau vous plaît ?
この帽子はお気に召しますか?
3つのキーフレーズ
はい、どうぞ
メガネを買ったカミーユがお金を差し出します。
はい、どうぞ。
Tiens !
Tiens, Tenez は相手に物をさしだして、「はい、これどうぞ」という意味で使います。
tenir は 手でつかむ、という意味
tiens は tenir の tuに対する命令形
Tiens. つかんでね⇒はい、どうぞ。
vous の相手には
Tenez. どうぞ。
Tenez, c’est à vous.
はい、これがあなたのです。
すぐ売れると思ってた
この日、子どもについて、市に売りに来ていた隣人にカミーユがインタビュー
そこにある靴は、いい状態なのですぐに売れると思っていました。
J’pensais que les chaussures, là, qui sont en bon état, etc, partiraient très bien.
でも実際はまだ売れてませんでした。だから映像に入っているのですが。
J’pensais = Je pensais 早くしゃべっているので、jeのeの音が落ちて発話されています。
partiraient < partir の条件法(3人称複数)
partir は出発する、立ち去る、出かける。靴が立ち去る ⇒ 靴が売れる
まっさきに靴が売れると思っていたけど、出足が悪いようです。
この文のポイントは「過去から見た未来」を表す言い方です。豆知識で説明します。
買ったものより売ったもののほうが多かった
子どもにインタビューします。
やっぱり、買ったものより、売った物の方が多かった?
Mais t’as vendu plus de choses que tu n’en as achetées, quand même ?
n’en の ne は「虚辞のne」です。これも後述します。
この子は、おもちゃや靴を売って、50ユーロ以上稼いだとか。すごいですね。
きょうの豆知識~過去の未来/虚辞のne
2つめ、3つめのキーフレーズの補足をします。
過去の未来
キーフレーズでは、「靴が売れるだろうと思っていた」と言っています。この文で、靴の状態など説明しているところを省いて文の骨組みだけを書くと、
J’pensais que les chaussures partiraient très bien.
靴はよく売れると思った。
これは過去のあるとき、
Je pense que les chaussures partiront très bien.
私は靴がよく売れるだろうと思う。
という気持ちだったことを表したものです。
メインの動詞「思う」penser が過去形になると、que以下の未来形だった動詞が、条件法現在に形が変わるというルールがあります。これを「時制の一致」と呼びます。
ちなみに、que 以下の文を従属節(じゅうぞくせつ)と呼び、こういうふうにセリフをそのまま言わない、書かない表し方を「間接話法」と呼びます。
間接話法については、第60話でもちょっとふれました。
⇒第160話 パリ3区の古物市場・その1
時制の一致については、こちらで詳しく説明しています。
⇒「まいにちフランス語」47:L69 時制照応 (じせいしょうおう)
虚辞のne
t’as vendu plus de choses que tu n’en as achetées ?
この文のenは des choses 品物 のこと。
plus de + 無冠詞名詞 で ~より多くの
直訳は、
あなたは、あなたが買ったものより、多くの物を売りましたか?
n’en は ne en の縮約。
このneは否定の意味を持たないneなので虚辞のne=うそのne と呼ばれます。
ここでは、カミーユの「あんた、もちろん買ったりしてはいないよね」という気持ちが入っているのかもしれません。
虚辞のneはこのように比較のqueのあとに出てきやすいです。
以前、145話で、やはり比較の文で虚辞のneが出てきました。こちらで詳しく説明しています⇒TIPAの初アルバム紹介~「虎と小鳥のフランス日記」第145話
★虎と小鳥のフランス日記についてはこちらをどうぞ⇒フランスのごくふつうの日常会話を学ぶ~「虎と小鳥のフランス日記」
間接話法と直接話法を文法用語を使わないで、説明するのは難しいですね。
セリフを直接書くのが直接話法で、セリフを文に入れ込み、その人の言葉に直して伝えるのが間接話法です。
直接:ペンは思った。「文法の説明は難しいわ~。」
間接:ペンは文法の説明は難しいと思った。
間接話法にすると、メインの動詞と、queなどのあとに続く文の動詞と両方出てきます。だから、メインの動詞の時制が変わるとqueのあとの動詞の形も変わるのです。
日本語は現在形のままですよね。
フランス語は時制(=動詞の活用)にうるさい言語なんですよね~。そこが好き、という人も多いですけど。
それでは、次回の「虎と小鳥のフランス日記」をお楽しみに。
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