きょうご紹介することわざはこちらです。
Rien ne sèche plus vite que les larmes.
涙ほど速く乾くものはない
涙ほど速く乾くものはない
悲しい時に流す涙も、すごく速く乾くよ、ということわざです。
つまり何か悲しいことがあって涙を流したとしても、それはとても速く乾いてしまう。人はすぐに悲しみを忘れる、立ち直ることができる、という意味です。
人間は忘れる動物ですからね。
このことわざはどんなふうに使えるでしょうか?
フランスのあるサイトでは「bonheur (幸せ)」というジャンルに入っていました。「つらいことや、いやなことがあっても、またすぐにきっといいことがあるよ」、と自分で自分を勇気づけるときに使えますね。
「夜明け前が一番暗い」とか「明日は明日の風が吹く」という表現と似たようなニュアンスです。
時間が解決してくれる、なんとかなる、という感じ。
ただ、人を力づけるときに使う場合は注意が必要です。そもそも悲しんでいる人をなぐさめるのは難しいですから。へたに何か言うより、黙っているほうが良い時が多いですね。
また、このことわざは、自分や人の心変わりをからかうときにも使えます。「今泣いたカラスがもう笑った」というように。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
rien (neとともに)何も・・・ない
sèche < sécher 乾く
plus … que ~ ~よりもっと (比較を表す)
vite 速く
plus vite que ~より速く
Il marche plus vite que moi.
彼は私より速く歩きます。
※比較についてはこちらをどうぞ⇒「まいにちフランス語」19:L41~比較
les 名詞の複数形につく定冠詞
larme 涙 (おもに複数形で)
sécherの現在形の活用
ERで終わる規則的な活用を動詞ですが、
アクサンの位置が変わります。
je sèche
tu sèches
il sèche
nous séchons
vous séchez
ils sèchent
nous, vous の活用以外は語尾が無音のeなので、アクサングラーブがつきます。
詳しくはこちらのsemerの活用の説明で書いています。
⇒ フランス語のことわざ50~風をまく者は、嵐を収穫する
直訳
涙よりも速く乾くものは何もない⇒涙は一番速く乾く。
バリエーションとして、
Rien ne sèche plus vite qu’une larme.
「涙」を単数形で書く場合があります。
また、queのあとが、qu’une larme de femme
女性の涙より速く乾くものはない⇒女心と秋の空
que les larmes d’un cœur amoureux
恋する心より速く乾くものはない
このように恋愛の心変わりを言うバリエーションもあります。
似ていることわざ
個人的に
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」
が似ているような気がします。
★ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
英語のことわざに
You can’t see the sun when you’re crying.
というのがあります。
泣いていると太陽が見えないよ、いつまでもくよくよしなさんな、という意味です。
1つ、2つの失敗や困難に出会ってショックを受けても、すぐに気持ちを切り替えて、たくましく生きていきたいですね。
それでは次回のことわざの記事をお楽しみに。
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