きょうご紹介することわざはこちらです。
Bon marché tire l’argent de la bourse.
お買い得品は財布からお金を引き出す
お買い得商品は財布からお金を引き出す
安いと思って買ったものでも、結局は高くついてしまった、ということはよくあります。
たとえば100円ショップで、何かを買ったが、値段なりの質だったので、すぐにこわれてしまった。また別のところで少し高いものを買い直し、結局、よぶんにお金を払うことになった、というのは日常よく聞きます。
キャベツ一玉のほうが、量に対して値段は安いけれど、1人暮らしであまり大きなキャベツを買ってしまうと食べきれず、捨てることになります。
それなら、カットされているちょっと割高のキャベツを買ったほうがよかったわけです。
あるいは、安売りをしていたのでまとめ買いをしたら、結局使いきれず、死蔵品にしてしまうのも、高くつくのと同じことですね。
単価が安いものは、原価も安いでしょうから、質もそれなりかもしれませんね。
もちろん、原材料の質は落とさずに、人件費や経費を落として、単価をさげる、という方法もあります。
材料を一度にたくさん買えば、ひとつあたりの単価は低くなるし、人が手作りせず、大部分を機械にやらせれば、人件費もおさえることができます。
ネットで販売すれば、店舗は不要です。ほかにも経費を落とす方法はいろいろありますね。
そうしてできあがった商品は、それほど質は悪くないでしょう。
他よりお値打ちな品を買うとき、「なぜこの商品はこんなに安く販売できているのかな」と、ちょっと考えてみると、買い物の失敗が少なくなるかもしれませんね。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
bon marché 有利な取引、安値、廉価
tirer A de B BからAを引き出す
argent お金 前についているl’は定冠詞leのエリジオンです。
エリジオンについてはこちらを⇒フランス語の数字【第13回】~11(オーンズ)
la 女性名詞につく定冠詞
bourse 財布、巾着
こんな感じのです。
現在では、財布はporte-monnaieや、portefeuilleを使うのが普通です。bourseはこのようなことわざや、イディオムなどで使います。
たとえば、
à la portée de toutes les bourses
だれにでも買える値段の、安価な
ami jusqu’à la bourse
財布までの友だち⇒口先だけで、お金までは出さない友だち⇒まさかの時に頼りにならない友だち
avoir la bourse plate [légère, vide, à sec] 財布が平べったい[軽い、からっぽ、枯れている]⇒お金がない
この逆は avoir la bourse ronde [bien garnie, lourde]
財布が丸くふくらんでいる[満たされている、ずっしりと重い]
※Bourse と大文字で始めると証券取引所です。
直訳
安い買い物は財布からお金を引き出す
似ていることわざ
英語では、
If you pay cheaply, you pay dearly.
安く買えば、たくさん払うことになる。
What is cheap is the most costly.
安いものは一番高い。
Penny wise and pound foolish.
1ペニーで賢く、1パウンドではバカ⇒1ペニー節約して、1パウンド損する。
penny もpoundも英国のお金の単位です。
といった表現があります。
日本語では
安物買いの銭失い。
★ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
確かに「安かろう悪かろう」という現象はあります。ですが、人は欲張りな生き物ですから、なかなか自分の買い物に満足できません。そのため、こうしたことわざがたくさんあるのかもしれないですね。
それでは次回のことわざの回をお楽しみに。
Bon marché ruine とも言うようです。意味は「安物買いの銭失い」で、「商人が原価を切って販売して損をする、倒産する」ではないと書いてありました。
樋沼さん、こんにちは。
別のことわざを教えていただき、ありがとうございます。
似た意味のことわざ、たくさんありますね。