秋のシャンソンの定番、イブ・モンタンの『枯葉』(Les Feuilles mortes)をご紹介します。
「かれはよ~、かれはよ~」と子どものころに慣れ親しんでおりました。シャンソンだとは気づいておりませんでしたが。
名曲『枯葉』はこんなふうに誕生
ジョゼフ・コスマ Joseph Kosma がローラン・プティ・バレエ団のステージ«Rendez-vous»の伴奏音楽として作曲したメロディーがありました。
1946年にマルセル・カルネ監督がその曲を「夜の門」«Les Portes de la Nuit»という映画の挿入歌として使うことにしました。
そこでバレエのあらすじを書いていたジャック・プレヴェールが歌詞をつけ、イヴ・モンタンが劇中でハミング。こうして、この曲が世に出たのです。
この映画、公開当時、映画も歌も特にヒットしませんでした。ですが、ジュリエット・グレコのバージョンが話題を集め、後にさまざまな歌手が歌い、世界的なスタンダード曲となりました。
枯葉 Les Feuilles mortes
では、曲を聞いてください。こちらは1951年の«Paris, Paris toujours»という映画で、イヴ・モンタンが歌っているものです。
わりと軽いノリで歌ってますが、歌いあげる感じが苦手な私には、ちょうどいいです。
ちなみに、日本ではイヴ・モンタンですが、イヴ・モントンと書いたほうがフランス語の発音には近いです。
それでは訳詞に挑戦!
Les Feuilles mortes 枯葉
C’est une chanson qui nous ressemble
Toi, tu m’aimais et je t’aimais
これは僕たちに似ている歌だ
君、君は僕を愛してたし、僕、僕は君を愛していた
Nous vivions tous les deux ensemble
Toi qui m’aimais, moi qui t’aimais
僕たちは2人仲良く生きていた
君は僕を愛して、僕は君を愛した
でも人生は愛し合ってる者を引き離す
少しずつ少しずつ、音もたてず
そして海は砂の上で消える
別れた恋人たちの足音☆
ララララ~
☆~☆繰り返し
単語メモ
effacer 消える
désunir (人を)離反させる、仲たがいさせる;(結合したものを)ばらばにする
feuilles mortes 枯葉。 このクリップには入っていないのですが、実はこの前にもセリフ(というか詩)があり、その部分にfeuilles mortes が出てきます。
下にはる歌詞付き動画を見てください。
ジャック・プレヴェールの歌詞なので平易なのですが、シンプルな言葉で、深い哀愁を感じさせてくれる歌です。
『枯葉』歌詞付き動画
冒頭の部分
Oh ! je voudrais tant que tu te souviennes
Des jours heureux où nous étions amis.
En ce temps-là la vie était plus belle,
Et le soleil plus brûlant qu’aujourd’hui.Les feuilles mortes se ramassent à la pelle.
Tu vois, je n’ai pas oublié…Les feuilles mortes se ramassent à la pelle,
Les souvenirs et les regrets aussiEt le vent du nord les emporte
Dans la nuit froide de l’oubli.
Tu vois, je n’ai pas oublié
La chanson que tu me chantais.
ああ、きみがしっかり覚えていてくれたらな
僕たちが友だちだった楽しかった時のことを
あの頃は人生はずっと美しかった
太陽も、今日よりずっと燃えていた
シャベルに集められた枯葉
あのさ、僕は忘れてなんかいないよ
シャベルに集められた枯葉
思い出と後悔も
北風が葉っぱを運び去る
忘れ去られた冷たい夜に
あのさ、僕は忘れてなんかいないよ
君が僕によく歌ってくれた歌のことを
※oubli 忘却
イブモンタンは(1921-1991)はイタリア生まれ。すぐに家族とマルセイユに移住。
1944年、ミュージックホールで歌っているところをエディット・ピアフに見出され、彼女の友だち(愛人)となります。
1945年に映画デビュー。翌年、上で紹介した「夜の門」に出演。
1951年にシモーヌ・シニョレと結婚。歌詞付きの動画はシモーヌ・シニョレと円満だったころの写真がたくさん出てきますね。
モンタンは浮気沙汰が絶えなかったようです。マリリン・モンローともうわさにない、このとき、シニョレは自殺未遂をしています。それでも、1985年、シニョレが亡くなるまで一緒でした。
『枯葉』カバーバージョン
Charlotte Cardin-Goyer (シャルロット・カルダン・ゴイエール)というケベックの歌手のバージョン。ピアノの短い弾き語り。途中から英語になります。
特徴のある声ですね。
Autumn Leaves
この曲はAutumn Leaves として、数々のカバーがあります。
英語版は、エヴァ・キャシィディというアメリカの女性シンガーの歌を紹介します。
すごくテンポが遅いのでまるで違う曲です。
このライブは1996年の1月に収録されたのですが、その年の11月にエヴァは皮膚がんで33歳で亡くなっています。
「枯葉」のオマージュである、セルジュ・ゲンズブールの歌はこちら。合わせて聞いてください
⇒セルジュ・ゲンズブールの「プレヴェールに捧ぐ」訳詞 前編
ジャック・プレヴェールについてはこちらをどうぞ
⇒Le Jardin(ジャック・プレヴェール)という詩を読んでみた。
それでは、次回の歌の記事をお楽しみに。
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