お菓子を作っているビデオを見ながらフランス語になじむシリーズ。
今回は、黒い森のさくらんぼケーキを紹介します。黒い森のケーキともいいます。
フランス語では、La forêt-noire (ラ・フォレ・ノワール、直訳は「黒い森」)です。
このケーキはもともとはドイツのケーキで、Schwarzwälder Kirschtorte(シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ 直訳:黒い森さくらんぼケーキ)という名です。
ドイツに近く、ドイツ系移民の多いアルザス地方の代表的なお菓子です。
英語では black forest cakeといって、北米でも人気があります。
日本のケーキ屋さんでもふつうに売っているでしょうね。コンビニにもあるかもしれません。
黒い森のさくらんぼケーキとは?
おとぎ話ふうの名前がかわいいケーキですが、その実体は、単に、チョコレートケーキにサワーチェリーをはさんだ、レイヤードケーキです。
はさむときに、スポンジの断面にたいていキルシュ(キルシュワッサー、チェリーブランデー)というさくらんぼから作ったリキュールを塗ります。このリキュールはおもにフランス東部やドイツで作られます。
キルシュはドイツ語で、さくらんぼのことです。フランス語や英語でのスペルもkirsch でドイツ語そのままです。
キルシュはお菓子の香り付けによく使われますね。
参考商品:
ではまずチョコレート風味のスポンジ(ジェノワーズ)の作り方です。
チョコレートのジェノワーズのレシピ
génoise は、もともとは泡立てた卵白で作るスポンジケーキみたいですが、全卵で作るスポンジもジェノワーズといいます。ようするにスポンジ生地のことです。
génoise は génois (ジェノバの)という単語の派生形です。もとはイタリアから伝わったのでしょう。
2分2秒。
材料
4 œufs 卵
100g de sucre semoule グラニュー糖
15g de farine 小麦粉
15g de fécule de maïs コーンスターチ
25g de cacao en poudre ココア(パウダー状のチョコレート)
作り方
動画ではスタンドミキサーを使っているのであっというまにできますが、手でかきまぜてもできます。
前準備:オーブンを170度に予熱。
1.ボールに卵を割り入れ、砂糖を加え、白くもったりするまで撹拌します(fouetter)。
できあがったものはmousse(ムス)と呼びます。
2.ムスにコーンスターチ、小麦粉、ココアを入れてへらでかきまぜます。
3.型にバターを塗って小麦粉をくぐらせ(生地がくっつかないようにする)、生地を流して焼きます。
動画では、シリコンシートの上にセルクルを置いて生地を流しています。
170度Cで、20~25分ぐらい焼きます。
黒い森のケーキの作り方
3分9秒。
材料
400g de crème liquide 生クリーム
1 gousse de vanille バニラのさや
1 génoise au chocolat チョコレートのジェノワーズ(上で作ったもの)
50g de sucre glace 粉砂糖
200g de griottes au sirop グリオットのシロップ漬け(シロップとグリオットを分けておく)
Kirsch キルシュ
Copeaux de chocolat チョコレートを刻んだもの(飾り用)
グリオットは、サクランボの一種です。製菓材料店に売っています。
アマゾンにも。
缶詰になっていたりもします。
作り方
1.生クリームにさやからとりだしたバニラを入れ、ケーキにぬれるぐらいの硬さになるまで泡立てる。
★生クリームは冷やしたほうが泡立てやすいです。とはいえ、ふつう冷蔵庫に入れて保存しているでしょうから、たいてい冷えています。
ホイップしたクリームは chantilly(シャンティイ)といいます。
2.粉砂糖を入れてさらにかきまぜる。
3.ジェノワーズに包丁を入れて、3枚にする。泡立てた生クリームは絞り出し袋に入れる。
4.シロップにキルシュを入れたものを、ジェノワーズの断面にぬり、その上に生クリームを絞り出し、上にさくらんぼを散らす。
5.上にべつのジェノワーズをのせ、4番の作業を繰り返す。
6.その上に3枚目のジェノワーズをのせ、上に生クリームを平らにぬり、その上から飾り用のチョコレートをたっぷりかけ、その上に、サクランボをいくつかのせて、粉砂糖をふりかけてできあがり。
少し時間を置いたほうが味がしみておいしいです。
このレシピでは、サクランボのシロップにキルシュを混ぜていますが、生クリームに混ぜても結果は似たようなものになるでしょう。
飾り付けも好きなようにやってください。
黒い森のケーキ、バリエーション
飾り付けの参考に、もうふたつ動画を紹介します。
Marmitonのフォレ・ノワール。
3分39秒。
2つ目のレイヤーのスポンジはふつうのスポンジを使っています。ジャムも塗っているところが、750gのレシピとは違います。
なんかすごく大きいケーキですね。フランスではこれが標準サイズなのでしょうか。
Marmitonのこの人は、とてもおしゃべりなので、フランス語をたくさん聞ける、という点ではよいと思います。
こちらは、テレビで放映したらしいパティシエの作るフォレ・ノワールです。
2分15秒。
パティシエだからなのか、やはりちょっとこったことをしていますね。
それにしても、このパティシエ、お化粧をバッチリしていますね。テレビ出演を意識してのことなのか、ふだんもそうなのか?
お菓子を作るときに出てくる動詞などはこちらで詳しく書いています⇒簡単チョコレートケーキの作り方:フランスのお菓子33
べつのチョコレートのお菓子⇒簡単チョコレートムース(ムース・オー・ショコラ)の作り方:フランスのお菓子(14)
チョコレートクッキー⇒【簡単レシピ】チョコレートチップクッキーの作り方~バレンタインデーに最適
ドイツ語の、Schwarzwälder も「黒い森」という意味です。
16世紀に、そういう名前の地方で生まれたケーキ、という説が有力ですが、黒い森地方の民族衣装からそういう名前になった、という説もあります。
そこでは、黒いスカートに白いブラウスを着て、赤いポンポンのついた帽子をかぶっていたとか。
確かに黒+白+赤という配色が印象的なケーキではあります。
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