ラマダン(Ramadan ラマダーン)とは、イスラム暦第9月のことです。
イスラム教徒はこの1ヶ月間、夜明けから日没まで断食します。ラマダンの時期は毎年違いますが、2018年は5月15日から6月14日までです。
フランスはモロッコやアルジェリアなど北アフリカに植民地を持っていたので、イスラム系の移民がヨーロッパのほかの国より若干多めです。よって断食している人に出会うこともめずらしくありません。
今回はラマダンについて説明している子供新聞記事を紹介しますね。2013年の記事なので日付は違います。
ラマダンとは?
Qu’est-ce que c’est, le ramadan ?
ラマダンとは何でしょうか?
イスラム教の教えによる断食をする月は、7月10日に始まり、8月8日に終わります(pen注:これは2013年の話)。
1ヶ月間、イスラム教徒は、日の出から日の入りまでの間、食べたり、飲んだり、喫煙たりしてはいけません。
以下に説明します。
☆なぜこれがきょうの話題なのでしょうか?
なぜなら、ラマダンが7月10日に始まったからです。これは世界で2番目に信者の多いイスラム教におけるとても大事な習慣です。
ラマダンの日付は誰が決めるのか?
ラマダンはイスラム暦の9番目の月にあたります。イスラム暦は月の満ち欠けを観察して作った暦です。
私たちの使っている西暦(太陽暦)ではありません。太陽暦は太陽のまわりをまわる地球を観察して作った暦です。
ラマダンの開始は有名な「疑わしい夜 « nuit du doute »」で決まるのが習わしです。
イスラム教のそれぞれの国の専門家(長老たち)が、肉眼で(第9月の)最初の三日月(新月)を確認します。よって、正式に断食が始まる日がわかるのは、その1日前なのです。
なぜイスラム教徒は断食をするのでしょうか?
ラマダンはイスラム教の五行(5つの信仰の柱)のうちの1つです。これはすべてのイスラム教徒が守らなければならない戒律です。
世界には、20億人近くイスラム教徒がいて(おもに、北アフリカ、中東、アジア地域)、フランスには600万人います。
断食することによって、イスラム教徒は忍耐、謙虚さ、そして霊性(魂のありよう)を学びます。
断食の間、嘘をついたり、ののしったり、争ったりすることは禁じられ、また貧しいものに施しをすることが求められます。
子どもたち(思春期に至っていない年齢)、赤ん坊、妊婦、乳飲み子のいる母親は断食の戒律を守る義務はありません。
何をいつ食べるのでしょうか?
イスラム教徒は日の出の前と日没後にしか食事できません。今年は、午前6時以前と午後10時以降です。1日平均15時間、飲食ができないのです。
日の出前に最初の食事をする人もいますが、大部分の人は、夜、2度食事をします。
日没のときに軽く食べて、真夜中ごろ、もっとちゃんとした食事をとります。たとえば、マグレブのクスクスや、アラブ首長国連邦のひき肉と麦でできているハリース(harees)などです。
日没後は、フトゥール(ftour、イフタールともいいます)と呼ばれる断食を中断する時間です。伝統的に、食事の前にデーツやドライフルーツを食べます。
【今日の豆知識】
イスラム教のカレンダーは、太陽暦は1年が365日なのに対して、355日です。そのため、毎年ラマダンの始まりは10日か11日ずれていきます。
もう1つの違いは、イスラムのカレンダーでは、西暦2013年は1434年だということです。
・・・和訳ここまで・・・
元記事 → https://www.1jour1actu.com/monde/ramadan-musulman/ Le ramadan expliqué aux enfants ☆リンク元のサイトがリニューアルされページが見つからないのでリンクをはずしました(2019/04/24)。
単語メモ
jeûne 絶食、(宗教上の)断食
calendrier lunaire 太陰暦
milliard 10億
rupture 切断
allaiter 乳を飲ませる
décaler ずらす
datte デーツ、ナツメヤシの実
イスラム教の五行 5 piliers de l’islam
1.La profession de foi (信仰告白、シャハーダ)
2.La prière cinq fois par jour (1日5回祈る 礼拝 サラー)
3.L’aumône (貧しい者に施しをする、喜捨 ザカート)
4.La jeûne pendant le Ramadan(ラマダン中の断食、サウム)
5.Le pèlerinage à la Mecque une fois dans sa vie(生涯に1度、メッカに巡礼する ハッジ)
prière 祈り
aumône 施し物、恵み
pèlerinage 巡礼
Mecque メッカ ☆サウジアラビアの年、マホメット生誕の地でイスラム教の聖地。
ラマダン関連動画
☆1 jour, 1 question の C’est quoi le ramadan ? (ラマダンって何?) 1分42秒。
☆Ramadan, 5 choses à savoir (ラマダンについて知っておくべき5つのこと)
内容のまとめ:
1. Etymologie (語源)
アラビア語の Ar-Ramadah (意味は、灼熱、強烈な暑さ)より。
なぜ、ラマダンという名前になったのかは定かではありませんが、熱い時期にあたるから、あるいは、ラマダンの時期、罪( péchés)にさいなまれ、それが許されるから。
あるいは、ラマダンの時期は、喉が乾いて、燃えるようになるから。
2.Le ramadan, c’est le nom d’un mois (ラマダンは月の名前)
ラマダンはイスラム暦の9月。イスラム教によれば、609年、神が啓示を始め、その言葉はコーランになりました。
イスラム歴と太陽暦のずれについては、先に紹介した記事と同じことが語られています。
3. Un mois d’introspection(内省の1ヶ月)
もともと、ラマダンはイスラム教徒に、忍耐、謙虚であること、霊性といった価値を教えるために生まれた習慣。
この1ヶ月、肉体的に節制するだけでなく、争いも避けることになっています。
4. Juifs et chrétiens observent aussi une période de jeûne(ユダヤ教徒とキリスト教徒も断食する時期があった)
聖書には、エステル王妃の話がのっています(旧約聖書の「エステル記」)。
王妃が王様に会いに行く直前の3日間断食をせよ、とユダヤ人に言ったという話です。王妃は王様に、ユダヤ人を殺さないように頼みに行きました(エステルはユダヤ人でした)。
新約聖書には、イエスが砂漠で40日間断食をしたと書かれています(荒野の40日)。
5. Le jeûne est bon pour la santé(断食は健康によい)
2007年のカリフォルニア大学、バークレー校のリサーチによると、断食を規則正しく繰り返すことは、心臓病、がんのリスクを減らし、血圧を下げ、アルツハイマー病やパーキンソン病を予防します。
☆この動画のトランスクリプトはYouTubeの動画の説明ページにあります。
最後に英語のニュース(2014年4月19日にアップされたもの)を紹介します。イギリスでは、イスラム教徒の人口が増えている一方、教会に出向くキリスト教徒は減っている、というニュースです。
イスラム教徒が増えているのは、全ヨーロッパに見られる傾向です。
こちらの記事によると、2010年のデータでは、フランスの人口の7.5%、イギリスでは4.6%がイスラム教徒です⇒【図解】欧州のイスラム教徒人口 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
☆おまけ:デーツ
デーツは栄養があります。
見た目はアブラムシみたいですが、電子レンジで加熱すると甘みが出て、あんこに似た味わいになります。以前はよく、お茶うけに食べていました。
レバノン料理について⇒パリで一番おいしいレバノン料理レストラン
ラマダンの開始の合図の新月の確認は、国によって違い、ちゃんと見えないとだめなところもあるようです。
適度な断食は体にいいでしょうね。現代人は、何かと食べすぎていますから。
この記事へのコメントはありません。