映画、「シェルブールの雨傘」の劇中歌(=セリフ)を順番に訳しています。
今回は、サントラ盤の曲目リストによれば、7番めの、Sur le quai (桟橋で)という短い曲を紹介します。
映画開始から13分半のあたりで2人でオペラを見て、ダンスクラブに行って、帰りに桟橋を歩きながら、将来について語りあうシーンで。
Sur le quai
1分54秒。
歌詞
Guy : Nous aurons des enfants
Geneviève : J’appellerai ma fille Françoise
Guy : Et si c’est un garçon ?
Geneviève : Ce sera une fille, il y a toujours eu des filles dans la famille
Une heure ! Si maman ne dort pas
Oh là qu’est-c’que je vais entendre !
Je devrais me maquiller, tu ne trouves pas ?
Guy : Non, tu es très jolie comme ça
Geneviève : Un peu ici
Guy : Où ça ?
Geneviève : Là !
Nous vendrons des parapluies, et puis non, pas des parapluies
Nous vendrons le magasin
Guy : Nous achèterons une station service
Geneviève : Pourquoi ? Quelle idée !
Guy : Toute blanche avec un bureau, tu verras
Geneviève : Tu sentiras l’essence toute la journée
Quel bonheur !
Guy : Nous saurons très heureux
Geneviève : Et nous resterons amoureux
Mon Amour, mon Amour…
Guy : Tu n’as rien dis à ta mère ?
Geneviève : Pas encore
Guy : Pourquoi ? Tu es lâche
Geneviève : Il faut pas que tu te fâches, mais je sais ce qu’elle me répondra
Guy : Quoi ?
Geneviève : « Ma petit’ fille tu es folle, est-c’qu’on pense au mariage à ton age ? »
桟橋で:和訳
子どもを作ろう。
娘はフランソワーズと名付けるわ。
もし男の子だったら?
女の子よ。昔から女の子が生まれる家系なの。
[時計塔の鐘の音がする]
1時! ママがまだ寝ていなかったら、何を聞くことになるのやら。
お化粧をしたほうがいいかしら、どう思う?
そのままでとてもきれいだよ。
ここに少し。
どこ?
ここよ。
傘を売りましょう。あ、傘はだめ。店は売ってしまうわ。
ガソリンスタンドを買おう。
どうして? なんて考えなの。
真っ白でオフィスもあってさ。
1日中、あなたはガソリンの匂いがするわけね。なんて幸せなのかしら。
僕たち、すごく幸せになるんだ。
そして、ずっと愛し合うのよね。モナムール、モナムール
お母さんに何も言ってないの?
まだよ。
なぜ? 臆病だな。
怒らないで。でも、ママが何て答えるのかわかってるわ。
なんて?
「私の小さな娘よ、気がふれてるわ。あなたの年で、結婚を考えるかしら?」
単語メモ
lâche 臆病な
Un peu ici.
Où ça ?
Là !
の箇所は、ジュヌヴィエーヴが、口元をさわって、ギイにキスをねだっているシーンです。
桟橋で、補足
ここから内容にふれるので、ネタバレを読みたくない人は飛ばしてください。
このブログはフランス語学習ブログだから、ネタバレは関係ないですかね。
この歌で歌っている内容どおりのことが起きたのだと、ラストシーン(1963年の12月、クリスマスの頃)でわかります。
ジュヌヴィエーヴは、女の子を生み、フランソワーズと名付けるし、ギイは白い素敵なガソリンスタンドを経営しています。
このガソリンスタンドは、ESSOの店で、L’Escale Cherbourgeoise という名前です。
外側も中も白で、オフィスに当たる部屋の隣がキッチンです。ギイには、フランソワという男の子がいます。
よくこんなに歌にピッタリのスタンドを見つけたな、と思ったのですが、昔は、ガソリンスタンドと居住スペースが一緒なのが普通だったのかもしれません。
そんなふうに、2人で描いた青写真はだいたいその通りになりましたが、決定的なところが違っていました。 2人とも違う相手と結婚したのです。
それがこの映画のドラマというわけです。
●サントラ盤
●DVD
これまで訳した曲はこちら
この映画はセリフが全部歌なので、歌の内容がわかれば、映画の内容もほぼわかります。
修理工場のシーン(映画「シェルブールの雨傘」#1):歌と訳詞。
伯母エリーズの家で(映画「シェルブールの雨傘」#3):歌と訳詞。
通りで + ダンスホールで(映画「シェルブールの雨傘」#4):歌と訳詞。
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この映画は私が見たフランス映画の中で、1番フランス語が聞き取りやすいです。
まだ見たことがない人はぜひ見てください。聞き取れるところがいっぱいあって、学習のモチベーションが上がるでしょう。
女性向きだと思われているかもしれませんが、男性が見ても、ふつうにおもしろいはずです。
では、できるだけ早く続きを書きますので、お楽しみに。
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