ランス ノートルダム大聖堂

フランス語入門日記

柔らかい肌~入門日記第27回

入門日記をお届けします。

これは5年まえ、独学でフランス語を始めたころ、私が非公開ブログに書いていた日記です。

学習したことや、学習状況をメモ代わりに記録していました。教材はラジオ講座とインターネットにある無料コンテンツ。

また、語彙を増やすために、フランソワ・トリュフォー監督の映画のタイトルを辞書でひいて調べていました。

きょうは、トリュフォー映画について記した日記です。あらすじを書いてネタバレしていますから、まだ見ていない方は読まないでください。

当時は文法がよくわかっていなかったので、間違った解釈をしています。補足で説明しました。

学習開始後5ヶ月目の日記です。

フランス語独学日記

2009年9月15日 Truffautの映画のタイトル-8

8作目は La peau douce 1964年。

la peau: skin 肌
douce: soft 柔らかい

douce は 形容詞 doux の女性形。

この映画の邦題は文字通り、「柔らかい肌」 USAでのタイトルは「The Soft Skin」。

いつも参照しているサイトにのっているあらすじをおおまかに訳してみた。

————
ピエール・ラシュネーは既婚、一児の父。小さな文芸雑誌を出版している。

バルザックに関する会議に出席するために、リスボンに出張したとき、ニコルというスチュワーデスと関係を持つ。

パリで二人は再会し、ピエールはランスでジイドに関する映画を上映するさいに、ニコルも連れて行く。

帰りに、二人は田舎のホテルで一夜をすごす。ピエールの妻、フランカは二人の関係に気づき、ピエールは離婚して、ニコルと一緒になろうとするが、妻に断られる。

ピエールが一人でレストランで食事をしていると、妻がやってきて、レインコートの下に隠し持っていた猟銃で自殺してしまう(⇒この解釈、間違っています。補足参照)。

————

英語の単語と似ているものが多いので、辞書をひきながらだとなんとなく読める。しかし、文の構造はよくわからない。

特に代名詞が誰を(あるいは何を)さしているのかよくわからない。

あらすじの最後の文章、

Elle sort un fusil de chasse de son imperméable et le tue.

奥さんが自殺したと解釈したけれど、もしかしたら、奥さんがニコルを撃ったのかもしれないと思う(⇒これも間違っています。補足参照)。

でもピエールはニコルに断られて、一人でレストランに来て、そこに奥さんがきた、というふうなので、自殺かなと解釈した。

しかし、わざわざ、レストランでご飯を食べているだんなさんの前で猟銃を撃つこともないだろうとも思う。

それともっとわからないのが、やたらでてくる「l’」。名詞の前ならば、たぶん冠詞だと思うけれど、そうじゃないものだと何が何やらさっぱりだ。

語彙:
diriger: to manage 経営する
revue: magazine 雑誌
littéraire: literary 文学の
devenir: to become ~になる
revoir: to see again 再会する
Reims: ランス(地名)。英語ではRheimsでリームズ。
épouser: to marry 結婚する
seul: only, alone  ただ1つの
rejoindre: to meet up with, to catch up with, to join 再び一緒になる
fusil: gun 銃
chasse: hunting 狩猟
imperméable: raincoat レインコート
tuer: to kill 殺す

動詞は活用するので、不定詞(もとの形)を探す作業はなんだかパズルをやっているような感じだ。

********

この映画でニコルを演じている女優さんは、フランソワーズ・ドルレアックといって、カトリーヌ・ドヌーブのお姉さんである。

目元などなんとなく似ていて、この人も美人。ドヌーブよりスタイルがよく都会的な感じ。しかし、交通事故で25歳のときに亡くなってしまった。

YouTubeなどで、映画の予告編が見られる。「柔らかい肌」撮影当時は21歳前後の計算になるが、とても大人っぽい。

この映画は1964年のカンヌ映画祭に出品されたがたいして話題にならなかったらしい。同じく映画祭に出品された、ドヌーブが出演した「シェルブールの雨傘」はパルムドールをとって世間の注目を集めた。

・・・・〈昔の日記ここまで〉・・・・・

補足 l’ について

l’ は le la のエリジオンです。
エリジオンについてはこちらで説明しています⇒フランス語の数字【第13回】~11(オーンズ)

le と la は定冠詞の le と la があります。これは冠詞なので、日記にも書いてあるように、基本は名詞の前に来ますから(最上級のときは見かけ上は形容詞についてます)、冠詞だということがわかります。

もうひとつ代名詞の le と la があります。 

le は単数の男性名詞を受けます。

Cet auteur, je le connais très bien.
この作家、私はよく知ってるよ。
le = 彼を cet auteur

la は単数の女性名詞を受けます。

Est-ce que tu connais Marie ? — Oui, je la connais bien.
マリーを知っていますか?   はい、よく知っています。
la = 彼女を

この代名詞は直接目的語と呼ばれるものです。人間に限らず、物も受けます。

直接目的語についてはこちらをどうぞ⇒「まいにちフランス語」24:L46 直接目的語になる代名詞

あとに、母音(無音のH)が来るときは、エリジオンして
le la とも l’と書きます。

たとえば、
Vous l’avez déjà vu, ce film ?
の l’ は  ce film のことだから、le です。

ですから文中にある
Elle sort un fusil de chasse de son imperméable et le tue.
を訳すと

彼女はレインコートから猟銃を取り出し、彼(=ピエール)を撃つ。

という意味。

考えてみれば、夫の前で自殺するより、夫を撃ち殺すほうが理にかなっているというか、ありえますよね。

le は前に出てくる内容を受けることもあります(性別が関係ないので、中性代名詞とか、特殊な代名詞と呼ばれます)。

Reims ランス

パリ北東のシャンパーニュ地方(シャンパーニュ=アルデンヌ地域圏マルヌ県)にある街。
シャンパンの産地。
歴代フランス国王の戴冠式が行われたノートルダム聖堂があります。

eim はこの3つセットで鼻母音「アン」。最後のSは例外的に発音します。

柔らかい肌 予告編

こんな映画です。

トリュフォーに多い三角関係の話です。

主人公、ピエールはリスボンに講演旅行に行くときに乗った飛行機でニコルと知り合います。

だから、リスボンの街並みが出てきますね。

★トリュフォー関連記事もどうぞ⇒フランソワ・トリュフォー 没後30年記念イベント2つ

★過去の入門日記はこちらからどうぞ⇒フランス語入門日記~目次を作りました

le とかdeなど、短い単語なのに、さまざまな用法があるのでフランス語の学習者泣かせですね。

それでは、次回の入門日記をお楽しみに。






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