『ロバと王女(Peau d’âne)』という映画の中で、王女役のカトリーヌ・ドヌーブが、ケーキを作るシーンで歌っている、Recette pour un cake d’amour(愛のケーキのレシピ)という曲を紹介します。
歌っているのは、カトリーヌ・ドヌーブではなく、アン・ジェルマン(Anne Germain)という人です。
愛のケーキのレシピ
レシピをそのまま歌にし、ロバの皮をかぶった王女がレシピを読み上げ、ドレスを着た王女が、それに従ってケーキを作るというおもしろいシーンです。
歌詞はジャック・ドゥミ、曲はミシェル・ルグランです。
それでは訳詞に挑戦!
愛のケーキのレシピ:歌詞
Préparez votre… préparez votre pâte
Dans une jatte… dans une jatte plate
Et sans plus de discours
Allumez votre… allumez votre four
Prenez de la… prenez de la farine
Versez dans la… versez dans la terrine
Quatre mains bien pesées
Autour d’un puits creu… autour d’un puits creusé
Choisissez quatre… choisissez quatre œufs frais
Qu’ils soient du mat… qu’ils soient du matin frais
Car à plus de vingt jours
Un poussin sort tou… un poussin sort toujours
Un bol entier… un bol entier de lait
Bien crémeux s’il… bien crémeux s’il vous plait
De sucre parsemez
Et vous amalga… et vous amalgamez
Une main de… une main de beurre fin
Un souffle de… un souffle de levain
Une larme de miel
Et un soupçon de… et un soupçon de sel
Il est temps à… il est temps à présent
Tandis que vous… tandis que vous brassez
De glisser un présent
Pour votre fian… pour votre fiancé
Un souhait d’a… un souhait d’amour s’impose
Tandis que la… que la pâte repose
Lissez le plat de beurre
Et laissez cuire une… et laissez cuire une heure
和訳
準備・・・生地を準備
ボール・・・平たいボールの中に
でもまずその前に
火をつける・・・天火に火をつける
取る・・・小麦粉を取って
入れる・・・鉢に入れる
手に4杯分
まわりをちょっと・・・まわりをちょっとくぼませる
4つ選ぶ・・・新鮮な卵を4つ選んで
朝・・・朝とれたてのを
だって二十日以上たつと
ひよこが・・・ひよこが生まれるから
1杯の・・・ミルクをおわんに1杯
とてもクリーミーなのを・・・とてもクリーミーなのにしてね
砂糖をふりかけ
混ぜる・・・混ぜる
手に1杯・・・手に1杯のバターを入れ
パラパラ・・・パン種をパラパラ入れて
はちみつをちょっぴり
少々・・・塩少々
そして・・・いま、この時に
途中で・・・こねている途中で
いま、しのびこませる
彼のために・・・婚約者のために
願いを・・・愛に気づいてもらえる願いをこめて
あいだに・・・生地を休ませているあいだに
器にバターをぬって
そして、焼くの・・・1時間焼くのね
単語メモ
jatte お椀
discours おしゃべり
terrine 鉢、つぼ
creuser くぼませる
crémeux クリーム(乳脂)を多く含んだ
parsemer 散りばめる
amalgamer 混ぜ合わせる
levain パン種
une larme de + 無冠詞名詞 少量の(液体)、一滴、ほんの少量
soupçon 少量
brasser かき混ぜる
s’imposer 自分の価値を認めさせる、認められる
lisser なめらかにする
☆beurre fin はバターの種類の1つで脂肪分が82%らしいのですが、この話は、中世あたりの時代設定だと思うので、どのバターも、脂肪分はたっぷりあったはずです。
ここはただ単に、あとの levain と韻を踏ませているだけだと思います。
歌詞つきの動画
フランス語の字幕つきのビデオを紹介します。
2分46秒
映画のシーンの分量はすごく大雑把なので、あの通りに作るとまともなケーキはできないと思います。
もっとちゃんとしたケーキを作りたい人のために、分量を指定しているレシピ動画がありますので、紹介します。
3分22秒。
フランスでは、この映画、とても人気があるので、この歌に合わせてケーキを作った人はたくさんいると思います。
ロバと王女について
ロバと王女(原題:Peau d’âne)は、1970年のジャック・ドゥミ監督の映画です。
原作はシャルル・ペローの同名の童話。
簡単に内容を書くと、父親である王さまから結婚を迫られた王女が、ロバの皮をかぶって城から逃げ出し逃げ、みすばらしい姿で農場で豚の世話などをします。
ロバの皮をかぶっているので、皆に、『ロバの皮』とよばれ、さげすまれています(誰も、彼女が王女とは知りません)。
ロバの皮が、自分の家(森の中の掘っ立て小屋)で、王女服を着て、きれいにしているところを、近隣の王子さまが窓からのぞいて、王女にひとめぼれします。
恋の病の熱に浮かされた王子が、「ロバの皮の作ったケーキが食べたい」と言ったので、家来がやってきて、ロバの皮に、ケーキを焼くように、命じました。
ロバの皮は、ケーキの生地の中に自分の指輪をすべりこませます。
王子さまは、この指輪のはまる指の持ち主と結婚すると宣言します。
予告編です。
1分37秒
もっと詳しいことを知りたい方は、別ブログに映画のレビューなどを書いていますので、よろしければ、お読みください。
童話をそのまま実写にしたようなカラフルでかわいい映画です。
■関連記事もどうぞ
『双子姉妹の歌(ロシュフォールの恋人たちより)』~「虎と小鳥のフランス日記」第53話 その1
この映画の中の曲で、私が好きなのは、最初のほうで王女さまが、庭でオルガンを弾きながら歌っている、Amour, amour という歌です。
この曲は、いろいろなアレンジで、劇中、何度も登場します。
それから、妖精役のデルフィーヌ・セイリグが歌っている(これは本人が歌っています)、Les Conseils De La Fée Des Lilas や、王子の歌う、Chanson du Prince もいい曲です。
それでは、次回の歌の回をお楽しみに。
はじめまして!
この歌が大好きで、意味を知りたいと思い検索しましたところこちらのサイトにたどりつきました。
訳詞をみて意味がわかりこの歌がもっと好きになりました。
ありがとうございます。
フランス語の響きがすごくいいですね!
ぽんたさん
はじめまして。penです。
記事を読んでいただき、ありがとうございます。
これ、とてもかわいい歌ですよね。
このとおりに作ると変なケーキになるかもしれませんが。
コメント、ありがとうございました。
pen
penさん
お返事ありがとうございます。
私はフランス語は全くできませんが、この歌を聴いて歌ってみたいな〜と思いました。でもやはりフランス語を知ってるのと知らないのでは、知らないとちぐはぐな歌になってしまいそうで怖くて歌えません。
フランス語の響き、いいですね!
またおじゃまさせてください♀️
penさん
お返事ありがとうございます。
私はフランス語は全く話せませんが、この歌を聴いてフランス語で歌ってみたいな〜と思いました。
でもやっぱりフランス語を知っているのといないのとでは、知らないとチグハグな歌になりそうで怖くて歌えません。
その他にも、おおシャンゼリゼもフランス語で歌うのを聴くと、とても素敵だな〜と思います!
いろいろ勉強させてください。
またおじゃまします♀️