ジャック・プレヴェールの Le Jardin (庭)という詩を紹介します。
ジャック・プレヴェールとは?
プレヴェール(1900-1977)は20世紀の有名なフランスの市井の詩人です。
詩だけでなく、たくさんの映画の脚本も書いています。またその詩が、数々のシャンソンの歌詞にもなっています。
脚本で有名なのは「天井桟敷の人々」、またこちらでご紹介している「霧の波止場」⇒ジャン・ギャバンとミッシェル・モルガン~「霧の波止場
シャンソンで有名なのは「枯葉」⇒『枯葉』Les Feuilles mortes イブ・モンタン~歌と訳詞
Le Jardin を朗読している動画
まず、朗読しているクリップをごらん下さい。
1分7秒
Des milliers et des milliers d’années
Ne sauraient suffire
Pour dire
La petite seconde d’éternité
Où tu m’as embrassé
Où je t’ai embrassée
Un matin dans la lumière de l’hiver
Au parc Montsouris à Paris
À Paris
Sur la terre
La terre qui est un astre.
訳してみます。
詩になってませんが、とりあえずこんな意味だということはわかると思います。
公園
何千年でも、何万年でも
足りやしないだろう
あのほんの一瞬の永遠を
語るためには
きみが僕にキスをして
僕がきみにキスをした
あの時
冬の光のあふれる朝
パリのモンスーリ公園で
パリで
この地球上で
この地球、それは宇宙の一つの星
・・・だいたいこんな感じです。
愛しあっている二人がキスをしていたとき、時が止まっていたんですね。
それはパリのモンスーリ公園の冬の朝のできごと。
そして、ここから場面がどんどんパンします。
公園⇒パリ⇒地球⇒宇宙
映像が目に浮かぶような詩です。
モンスーリ公園はパリの14区にある公園です。
緑がいっぱい。
湖もあります。
この公園の南側がシテ U(Cité U 国際大学都市)とつながっています。
Cité Uは以前「虎と小鳥のフランス日記」第74話の舞台となりました。こちらもとてもきれいな学生寮です。
⇒最新版 : 第74話 パリの国際大学都市
公園の写真をもっと見たい方はこちらへ⇒Le parc Montsouris
よくわかる!フランス語の解説
単語
jardin 庭、庭園、公園
jardin と parc のおおざっぱな区別
jardin 街の中にある公園
parc もともと城などについていた大規模な公園で、池や噴水があることが多い
millier 約千、複数形で、多数、無数
参考⇒概数(がいすう)とは?~フランス語の数字【第48回】
sauraient savoir(~することができる)の条件法現在
astre 天体、星 アストゥル 「アスターダイヤモンド」という宝石屋さんがありますが、こちらは英語由来でしょうか。
幸運の星のもとに生まれる être né sous un astre favorable
文法 過去分詞の性数一致
tu m’as embrassé
je t’ai embrassée
embrasser キスをする の複合過去形ですが、
片方だけ過去分詞にEがついていることに注目。
助動詞にavoirをとる複合過去形で、直接目的語が過去分詞の前に置かれた場合、その目的語に性数一致する
というルールがあります。
tu m’as embrassé の形はme=自分(男性)に性数一致し、
je t’ai embrassée では te=女性に性数一致してEがついています。
過去分詞の性数一致についてはこの記事にまとめてあります。
⇒ラジオ講座 応用編 2011年5月12日放送分-1 過去分詞の一致
Le Jardin が収録されている詩集など
いかがでしたか? パリは美しい公園がたくさんありますね。秋は、枯葉、春は花々が、パリジャンの目を楽しませています。
Le Jardin はParolesという詩集に入っています。
ジャック・プレヴェール関連記事
⇒『枯葉』Les Feuilles mortes イブ・モンタン~歌と訳詞
⇒歌と訳詞:プレヴェールに捧ぐ~セルジュ・ゲンズブール 前編
先週学習した「虎と小鳥のフランス日記」第90話 パリのル・プレヴェール(レストラン)はパリの「ル・プレヴェール Le Pré Verre」というレストランが舞台でした。
pré は草地、verre は ガラス、グラス、グラス1杯分、一杯の酒、という意味の単語ですが、実はこの店名は造語です。
店の創始者がジャック・プレヴェール(Jacques Prévert)という詩人を好きだからこういう名前をつけたのだそうです。
■2013年3月15日追記
コメントらんでさぼさまに教えてもらった動画です。
イブモンタンの「パリにて」という曲で、冒頭がこの詩です。
À Paris_Yves Montand à l´Olympia 4分5秒
さぼさま、教えていただきありがとうございます。
penさん、はじめまして! さぼという者です。
ブログを読ませていただいて、虎と小鳥のフランス日記を受講して
みたいなと思うようになりました。でも続けられるか不安です。
取り上げられた詩で、
学生の頃、授業で見たビデオを思い出し、youtubeで探したら
ありました。
http://www.youtube.com/watch?v=0do-UYWZKoY
すてきな詩ですね。
さぼさま、はじめまして。ブログにご訪問ありがとうございました。
また、コメントもいただきまして、うれしく思います。
動画のリンク先、拝見しました。
これを授業で使われたのですね。素敵ですね~。あとで記事に追加させていただきますね。
「虎と小鳥のフランス日記」は物理的に時間がとれないと難しいかもしれないですが、ほかの人と情報交換できるので通信教育としては続けやすいと思います。
マイペースでできるますし。何かご心配な点などありましたら、メールでご相談ください。
こちらからどうぞ。