もうすぐクリスマスなので、クリスマスにちなんだ曲を紹介します。ジャック・デュトロンの「サンタクロースの娘」です。原題は、La fille du Père Noël 1966年の曲です。
La fille du Père Noël サンタクロースの娘
クリスマスの歌といっても、鈴がチリンチリンなる感じのクリスマスではありません。ロックンロールです。
それでは訳詞に挑戦!
Je l’ai trouvée au petit matin
Toute nue dans mes grands souliers
Placés devant la cheminée
Pas besoin de vous faire un dessinDe battre, mon coeur s’est arrêté
Sur le lit j’ai jeté mon fouet
Tout contre elle je me suis penché
Et sa beauté m’a rendu muet
朝彼女を見つけたんだ
真っ裸で僕の大きな靴をはいていた
暖炉の前に立っていた
絵に描いて見せるまでもないよね
僕の心臓の鼓動は止まった
ベッドに鞭(むち)を放り出した
彼女のほうへ、身をかがめた
その美しさに言葉を失った
疲れて、二日酔いだった
一晩中、父の仕事の手伝いをしていたから
火の中に、薪をくべておいた
暖炉の中に、彼女のお父さんはいなかった
☆C’était la fille du Père Noël
J’étais le fils du Père Fouettard
Elle s’appelait Marie-Noëlle
Je m’appelais Jean-Balthazar
彼女はサンタクロースの娘
僕は鞭打ちじいさんの息子
彼女の名前はマリー・ノエル
僕の名前はジャン・バルタザール
彼女を腕に抱く
彼女は僕にこう言った
「だめよ、バルタザール
いい気にならないの
私、たまたまここに来ただけなのよ」
一晩中、僕は鞭を打っていた
力の限り、悪い連中を
一晩中、彼女は
子どもたちみんなに贈り物をあげていた
☆~☆ リフレイン
彼女は、間違って、僕の家に降りてきて
僕の靴をはいていたってわけ
彼女のハートを奪うことはできなかったから
彼女をドアの外に置いた
彼女はサンタクロースの娘
僕は鞭打ちじいさんの息子
彼女は甲高い声で僕に言った
「バイバイ、バルタザール」
☆~☆ リフレイン
単語メモ
fouet 鞭(ムチ) 発音は「フエ」
動詞は fouetter
se pencher 身をかがめる
se rendre 自らを~にする
faire le fier えらそうにする
à tour de bras 力の限り、全力で
palier 踊り場
voix d’crécelle 甲高い声 crécelle は教会で鐘の代用として使うもの
☆歌詞はこちら⇒Jacques Dutronc La Fille Du Pere Noel lyrics – music
サンタクロースと鞭打ちじいさんの伝説
歌詞をみると、「いったい何でこの人は鞭を打っていたの」と思うわけですが、彼はle fils du Père Fouettard 「ムチ打ちじいさんの息子」なので、お父さんの仕事を手伝って、鞭を打っていたのです。
鞭打ちじいさんは、悪い子どもをムチで懲らしめるとされている想像上の人物です。
フランスでは昔から、いい子にしてるとサンタさんが贈り物を持ってきて、悪い子だと鞭打ちじいさんがやってきて、鞭でたたかれる、という言い伝えがあったそうです。
今はそんなこと言わないと思いますが。
辞書によると、鞭打ちじいさんはサンタクロースのお伴をすると考えられているそうですが、この歌の感じでは別行動みたいですね。
サンタクロースに娘がいるとか、鞭打ちじいさんに息子がいるというのは、この歌の中だけでのできごとだと思います。
この歌のマリー・ノエルと、ジャン・バルタザールはいわば、ロミオとジュリエットのような敵(かたき)同士の間柄。ですが、マリー・ノエルは、彼には全く興味がないみたいで「私、たまたまここに来ただけよ」と軽くいなしています。
それにしても、なぜ裸で煙突から落ちてきたのでしょうか。不思議です。
ジャン・バルタザールは仕事しすぎて、しかも二日酔いだったから、夢でも見たのではないか、というのが私の考えです。暖炉には火が赤々と燃えていたようですし。
ジャック・デュトロンについてはこちらで少し説明しています⇒歌と訳詞:霧のコルヴィザール~フランソワーズ・アルディ
ジャック・デュトロンとフランソワーズ・アルディの息子のトマ・デュトロンの歌です⇒歌と訳詞:トマ・デュトロンの『ギターのないマヌーシュのように』
それでは次回の音楽の記事をお楽しみに。
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