パリ

フランス映画・テレビ

ヌーヴェルヴァーグの代表作、大人は判ってくれない:フランス映画の予告編

映画の予告編を使ってフランス語になじむシリーズ。

今回は、Les quatre cents coups (大人は判ってくれない)です。

1959年の映画で、フランソワ・トリュフォー監督の長編第1作。

ヌーヴェルヴァーグを代表する映画です。



大人は判ってくれない

トランスクリプトを配信しているベルギーのフランス語学校によると、フランス語のレベルはB1です。

ちょっとむずかしいですね。

ですが、BFI(British Film Institute)の配信している動画なので、英語の字幕が入っています。これを読めば、内容はわかります。

ではトランスクリプトと和訳を紹介します。

Je sais très bien qu’à l’école on apprend des tas de choses inutiles. L’algèbre, la science, ça sert à peu de gens dans la vie. Mais le français ? Hein ! Le français ! On a toujours des lettres à écrire.

お母さん:学校で習うことには、役立たないこともいっぱいあるわ。代数とか科学とか人の生活にあまり役立たないわよね。でも、フランス語は? ほら、フランス語。みんないつも手紙を書くでしょう。

Tes parents disent que tu mens tout le temps.

カウンセラー:ご両親は、いつもきみが嘘をつくと言っているけれど。

Je mens, je mens de temps en temps quoi … heu… des fois, ils … je leur dirais des choses qui seraient la vérité, ils ne me croiraient pas. Alors, je préfère dire des mensonges.

アントワーヌ:嘘って、時々はつくけど。たまにさ。本当のことを言っても、信じてもらえないし。だから、嘘をつくほうがいいと思うんだ。

Si tu me demandes 1000 francs, c’est que t’en espère 500, donc t’as besoin de 300. Tiens, voilà 100 balles. Tiens, voilà 500 va ! Mais en principe, c’est ta mère qui paie ça.

義理のお父さん:1000フランいるってことは、500フランほしいんだな。つまり300フラン必要なんだ。ほら、100フランあげるよ。いや、500フランだ。結局、お母さんが払うんだから。

Puis, je me suis aperçu que ma mère elle ne m’aimait pas tellement. Elle me disputait toujours. Et puis, pour rien, des petites affaires insignifiantes. Et puis, euh, avec ma grand-mère aussi. Elle s’est disputée une fois, et j’ai… et là j’ai su qu’elle avait voulu me faire avorter. Et puis, si je suis né, c’était grâce à ma grand-mère.

アントワーヌ:それで、母は僕のことをそんなに好きじゃないってわかったんだ。いつも、僕に怒るし。何でもないことにさ。たいしたことじゃないのに怒る。

それで、祖母にも。祖母と母があるとき口論していた。母は僕を堕ろしたかったんだ。僕が生まれたのは祖母のおかげなんだ。

Ta mère, ta mère, qu’est-ce qu’elle a encore ?
Elle est morte.
Ah ! Fichtre ! 

先生:お母さんが、お母さんが、ってこんどはお母さんがどうしたんだ?

アントワーヌ:死にました。

先生:何だと。

Enfin, dans la mesure où on travaille tous les deux… Vous savez ce que c’est. 
Oui, je suis père de famille moi aussi. Il faut reconnaître que parfois, on ne s’y retrouve pas très bien.
Mais si seulement il avait voulu se confier à nous. 

義理のお父さん:2人とも働いているんで、どんな状態かわかっていただけるかと。

警察官:ええ、私自身父親です。ときにはうまくいかないことも考慮に入れるべきでしょうね。

義理のお父さん:私たちに心を開いてくれさえすればよかったのですが。

こちらのトランスクリプトを使いました⇒« Les Quatre Cents Coups » de François Truffaut (B1) | Fransk Sprog

単語メモ

disputer   ~をしかる (話)

se disputer  口論する

fichtre  おやおや、へえ、やれやれ、etc. 驚き・賞賛・失望・不満を表わす間投詞

reconnaître   認める

confier à  打ち明ける

des fois  ときどき

avorter  中絶する

dans la mesure où + ind.  ~の範囲で、限りにおいて

単語はそこまで難しくありませんが、話すスピードが早いですね。とはいえ昔の映画なので、いまの映画に比べるとゆっくりです。

時制のポイント

会話なのでほとんど現在形ですが、複合過去、接続法、条件法、大過去形も出てきます。

条件法現在

je leur dirais des choses qui seraient la vérité, ils ne me croiraient pas.

dirais < dire 
seraient < être
croiraient <  croire

親に本当のことを言ったって、信じてもらえそうにない。

複合過去形

je me suis aperçu que ma mère elle ne m’aimait pas tellement.

Elle s’est disputée une fois

si je suis né, c’était grâce à ma grand-mère.

s’aperçu < s’apercevoir 気づく

s’est disputée <  se disputer

suis né < naître

était < être 半過去

aimait と半過去形になっているのは、主節の動詞が過去形だからです⇒「まいにちフランス語」47:L69 時制照応 (じせいしょうおう)

半過去形

Elle me disputait toujours.

disputait < disputer

お母さんはいつも(習慣的に)僕を叱っていた。

カウンセラーと面談している場面では、すでに家から出されて少年院にいるため、過去形を使っています。

大過去形

j’ai su qu’elle avait voulu me faire avorter

ai su <  savoir ここは複合過去

avait voulu < vouloir  大過去。これも時制照応です。主節の動詞が過去形で、que以下の節の動詞が表すできごとが、その過去より前のできごとだから大過去形になっています。

母が僕を中絶したかったということを(あとになって)知った。

si seulement il avait voulu se confier à nous.

si seulement + 直接法半過去/大過去 という形で、現実に反する願望を表します。

息子が打ち明けてさえくれていたらよかったんですが(実際には、アントワーヌは親に本音を話してはいませんでした。まあ、親が無理解なので、それもしかたなかったかもしれません)。

接続法

Il faut reconnaître que parfois, on ne s’y retrouve pas très bien.

il faut que のあとは接続法ですが、ER動詞は、nous, vous の活用以外は現在形と同じです。

こうして書き出してみると、短いセリフの中にいろいろな時制が出てきますね。やはり時制は大事だと思います。なかなか活用を覚えられませんが。



今回のお話

この映画の内容については、以前記事を書いているので、興味のある方はそちらをお読みください。原題の意味も書いています⇒「大人は判ってくれない」の原題知ってる?~入門日記第12回

この映画はトリュフォーの子ども時代を自伝的に描いたものです。

彼は親に愛されない不幸な子供時代をすごしました。母親は、自分のことのほうが大事。義理のお父さんは、人はいいのですが、結局、自分のほうが大事。

2人とも子どもに対する深い愛情や、子どもを育てると気概がないし、責任感もなし。

学校の先生はきびしいし、アントワーヌのことを色眼鏡で見ています。

そんなわけで、彼はだんだん不良少年になっていきます。

アントワーヌが学校をさぼったので、母親が、「学校の勉強は役立たないけど、フランス語は知っておいたほうがいい」といいます。

確かに、フランスでは、いろいろな事務手続きのさい、やたらと手紙を書く社会で、今もそういう面があると思います。

学校をさぼって親友のルネと遊園地で遊んだり、映画を見ているうちに、事態はエスカレートし、ふたりはタイプライターを盗みます。

タイプライターを知らない人がいるかもしれませんが、まだパソコンのなかったころ、文字を印字するのに使っていた機械です。1959年当時はとても高価だったと思われます。

タイプライターを職業的に打つ人はタイピストです⇒映画:タイピスト!(Populaire ポピュレール)予告編のフランス語 その1

せっかく盗んだものの、うまく換金できなかったので、アントワーヌは返そうとしましたが、守衛に見つかります。

結局、義理の父親がアントワーヌを警察に連れていきます。「もう自分たちの手には負えない」と言って。

その後、彼は少年院みたいなところに送られます。ここは自由がない場所。ある時、すきを見て、アントワーヌは逃げ出します。

彼はもともと海を見たかったので、海辺に向かって、どんどん、どんどん走っていきます。自由に向かって。

60年前の映画ですが、いま見ても充分おもしろいです。

トリュフォーに興味のある方はこちらもどうぞ⇒フランソワ・トリュフォー 没後30年記念イベント2つ

******
この映画、斬新なカメラワークが有名ですが、今見ると、アパートや学校の中の様子も興味深いです。

パリの街並みもたくさん出てきます。トリュフォー監督はエッフェル塔が大好きでした。






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