23日、ニースでジョルジュ・ムスタキが亡くなったというニュースが飛び込んできました。79歳。肺の病気だったそうです。2009年に病気で活動停止したのですが、それからずっと患っていたようです。
・・・とても残念ですね。
でも素晴らしい曲をたくさん残してくれました。
きょうは追悼の意味をこめまして「悲しみの庭」という曲をご紹介します。
悲しみの庭:Il y avait un jardin
邦題の「悲しみの庭」は、例によって安易なタイトルです。「悲しみの~」という曲、多すぎますね。
原題は Il y avait un jardin 「ある庭があった」です。
ムスタキはある庭を探しているのですが、その庭はべつに悲しいものではありません。かつては、この世にあった庭。それを失ってしまったことが悲しいといえば悲しいのですが、彼は悲しみにくれているというより、探し続けているのです。
では、曲を聞いてください。
Il y avait un jardin Georges Moustaki
3分30秒
Il y avait un jardin
かつて庭があった
これは子どもたちのための歌です。
彼らは銅とタール、コンクリートとアスファルトの間で生まれ、暮らしています。
そしてたぶん大地が庭であったことを決して知ることがないのです。
大地と呼ばれた庭があった
禁断の果実のように太陽で光り輝いていた
いや、そこは天国でも地獄でもなく、
人が見たことも聞いたこともない場所だった
庭と家と木々があった
愛を交わす苔の寝床も
波をたてずに小川が注ぎ込み
その場を冷やし、流れ去っていった
谷のような大きな庭があった
一年中、食べ物がとれた
焼けつくような地面の上でも、凍りつくような草の上でも
そして名もない花が咲いていた
大地と呼ばれる庭があった
何千という子どもたちが集うのに充分な大きさだった
かつて祖父がそこに住んでいた
祖父もまた自分たちの祖父の庭を受けついでいた
私たちが生まれるはずだったその庭はどこにあるのか
のんきに裸で暮らせたはすのその庭はどこにあるのか
扉がすべて開いていたその家はどこにあるのか
私はいまだにその庭をさがしているが、見つからないのだ
ムスタキ関連記事
「3月の水」を紹介しています。
●歌と訳詞:3月の水~ジョルジュ・ムスタキ その1 ムスタキの経歴も書いています。
●歌と訳詞:3月の水~ジョルジュ・ムスタキ その4 ステイシー・ケント
単語メモ
bitume ビチューメン、瀝青:天然のアスファルト、タール、ピッチなど、黒色の粘着性のある物質の総称
sauront savoir (知る)の単純未来形
défendu 禁じられた
mousse 苔
ruisseau 小川
insouciants のんきに
●時制について
半過去:avait,appelait,était,venait,poursuivait,pouvait,tenaient
条件法過去
助動詞(この歌詞ではavoir)の条件法現在形+過去分詞
~しただろうに
aurions pu naître 生まれることができただろう庭
aurions pu vivre 生きることができたであろう庭
ムスタキの死を報じるニュース
ジョルジュ・ムスタキの死を知らせるユーロニュース
1分8秒
多作な人で、300曲以上の曲を作ったと言ってますね。
ムスタキさん、お疲れさまでした。数々の名曲をありがとうございました。
あの世で、素晴らしい庭を見つけてください。
penさんにムスタキさんの歌詞の記事を伺ってすぐの訃報に驚きました。
この歌も本当にメッセージがあって、素晴らしい曲ですね。
ご冥福をお祈りもうしあげます。
アンジェリクさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
本当ですね。私も久しぶりに彼の歌をきいたところだったので驚きました。
この歌、アレンジが当時の雰囲気を感じさせて好きなのです。
また、ムスタキの歌の記事をそのうち書くつもりです。
penさん、私も永遠の恋人を失っなったような悲しみからまだまだ、
抜けきれずにいますが、彼が残してくれた、膨大な詩と曲を大切にしていこうと
思っています。
悲しみの庭…ありがとうpenさん
Yasuko
Inonさん、こんにちは。コメントありがとうございました。
こういうニュースは突然入ってくるのでショックですよね。
確かに、作品は膨大にありますね。
そういうものは消えないので、そこはいいなと思います。
また、ムスタキの曲をとりあげるつもりです。
詩人なので、歌詞が難しいんですが・・・。がんばります。
penさん、嬉しいです、ムスタキの詩が解りたくてフランス語を
勉強始めました…Letterも書けたら…でも間に合いませんでした、
Yasukoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ほ~、そうなんですか。それはかなりのファンですね。
私の動機はトリュフォーの映画でしたけど。
少しずつ訳していきますね。
若い精神的に困ったときに、「MaSolitude」を聞き、そうか人間は一人でいながら、一人じゃないんだと思い、自殺せずにすみました。彼は命の恩人ですし、それ以来、私は本気で生きることをやめました。
Shinji Inoueさん、こんにちは。コメント、ありがとうございます。
「私の孤独」は、私は私の孤独と一緒だから孤独ではない、という歌ですよね。
私もあの歌好きです。そのうち和訳をしてみたいと思っています。
命の恩人ですか。ムスタキの歌にはパワーがありますね。
ところでInoueさんのホームページ、拝見しました。
コメントを入れる場所がなかったので、ここに書きますが、
語学のコンテンツもそのうちできるのですね。