きょうご紹介することわざはこちらです。
On ne peut pas avoir le beurre et l’argent du beurre.
バターとバターを売ったお金を持つことはできない。
バターとバターを売ったお金を持つことはできない
le beurre et l’argent du beurre の直訳は「バターとそのバターのお金」。お金とはそのバターを売って得たお金。
バターを売れば、バターはなくなり、代わりにお金が手に入ります。
つまりこのお金はバターの対価。バターを提供したことによって得た利益ですから、両方持つことは当然できません。
道が2つに別れているとき、左へ行けば、右に行くことが不可能であるのと同じこと。
同時に手にすることができない2つのことで迷っている人や、両方ほしがっている人に、「どちらかに選ぶしかないんだよ」と諭すことわざです。
選択に迷わない方法
人生は選択の連続です。大きな選択のとき、迷うことはよくあるもの。
たいていの選択肢が、「バター」と「それを売ったお金」というようにすっきりとした形では出てきません。あるいは本人がそういうふうに見ることができません。
しかし迷っていては前に進めませんので、ここはやはり選ぶ必要があります。
もしAを選んだら、それは、選ばなかったBを失ったことによる対価だと考えるようにしたら、迷いにくくなるのではないでしょうか?
Aを選ぶことは、自動的にBを捨てることだ、と考えるのです。
何事にも犠牲はつきもの。Aをとれば、Bはないのです。
「間違った選択をしたくない」という気持ちが強すぎるて迷ってしまうこともあります。
その選択が正しいか、間違っているかなんて、選ぶときにわかるわけがありません。
選んだあと、何年たっても、わからないかもしれません。「正しい」と「間違っている」は1つの同じ現象の2つの見方にすぎないのですから。
そう考えると、どちらを選んでも大差ないように思えますね。大切なのは、選んだあと、その選択肢を受け入れることができるかどうかなのかもしれません。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
on 人は
ne…pas ~ない (否定の形)
peut < pouvoir できる
avoir 持つ
le 男性名詞につく定冠詞
beurre バター
et ~と
l’ = le l’は定冠詞leのエリジオン。
エリジオンについてはこちらを⇒フランス語の数字【第13回】~11(オーンズ)
argent お金
du = de + le の縮約(くっついた形)~の
バリエーション
avoir le beurre et l’argent du beurreというフレーズのみで使われることもあります。
また、avoir の代わりに、garder (~を保つ), obtenir (得る), réclamer (求める), vouloir (欲する) という動詞を使うこともあります。
pouvoir ~できる
能力や力量を表す「~できる」
pouvoir はとても重要な動詞です。
よく使う動詞なので、活用も不規則です。
現在形
je peux
tu peux
il peut
nous pouvons
vous pouvez
ils peuvent
語幹は、peu, pouv, peuv の3つ
活用語尾は -x, -x, -t, -ons, -ez, -ent
pouvoir について詳しくはこちらに書いています⇒「まいにちフランス語」17:L39~動詞 pouvoirとsavoir”
直訳
バターとバターのお金を持つことはできない
似ていることわざ
以前紹介した以下のことわざが同じ意味です。
⇒22~同時に二つの場所にはいられない
英語では You can’t have your cake and eat it too.
★ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
バターとバターを売ったお金だったら、お金のほうがいいような気がしますね。それでまた別のバターを買うこともできますし。
それでは次回のことわざの回をお楽しみに。
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