1964年の映画、「シェルブールの雨傘」(Les Parapluies de Cherbourg)に出てくる曲を順番に訳しています。
この映画は、セリフが全部歌になっているので、曲の歌詞を全部訳せば、セリフを全部を訳したことになります。
今回は3曲目の、Chez Tante Elise(エリーズおばさんの家にて)。
ジュヌヴィエーヴとオペラを見に行く約束をしたあと、ギイは自宅に戻ります。
彼はおばさんと住んでいるようです。
Chez Tante Elise
2分20秒。
例によって、シンプルな文ばかりです。
おばさんは足が悪いようです。
では、訳詞に挑戦!
歌詞
C’est toi, Guy ?
Bonsoir, tante Elise.
Bonsoir, mon garçon.
Comment vont les jambes ?
Très bien, mon garçon.
Qu’est-ce que tu traficotes encore ?
Mais j’ai faim.
Tu vas te couper l’appétit.
Je fais ce qui me plaît.
Reste tranquille
et viens me parler.
Je n’ai pas beaucoup de temps.
Tu parais bien dissipé.
Je sors ce soir. Seul ?
Ça ne te regarde pas.
Si ça me regarde.
Avec une jeune fille. Que tu aimes ?
Ça se pourrait.
Dis-moi la vérité.
Oui, je l’aime.
Qu’est-ce que tu as, tu pleures ?
Mais non. Mais si, je le vois bien.
C’est parce que tu restes seule.
Je ne suis pas seule, j’ai mes livres.
Madeleine viendra pour ma piqûre.
Elle me tiendra compagnie.
Alors, c’est quoi ? C’est peut-être le bonheur.
qui me rend triste. Mais c’est bête.
Laisse-moi, brute, tu me décoiffes.
Bonsoir, Guy.
Bonsoir, Madeleine.
Tu es triste ? Non
Toi, tu as l’air heureux.
Ça se voit ? Oui
作曲: Michel Legrand
作詞: Jacques Demy
エリーズおばさんの家で
あなたなの、ギイ?
ただいま(こんばんは)。エリーズおばさん。
おかえり(こんばんは)、坊や。
足はどう?
とてもいいわ、坊や。
また何をごそごそしてるの?
おなかがすいたんだよ。
夕食がほしくなくなるわよ(←食欲がなくなるわよ)。
自分の好きなことをやるさ。
ちょっと落ち着いて
ここに来て話をして。
あまり時間がないんだ。
気もそぞろのようね。
今夜は出かけるよ。1人で?
おばさんには関係ない。
いいえ、関係あるわ。
女の子と一緒に。あなたの好きな?
そうかもね。
本当のことを教えて。
ああ、その子のことが好きなんだ。
どうしたの、泣いてるの?
いいえ。そうだよ、しっかり見える。
1人でいなきゃならないから。
1人じゃないわ。本があるもの。
マドレーヌも注射を打ちに来てくれるし。
私の相手をしてくれるわ。
じゃあ、何?(なぜ泣いてるの?)
たぶん、幸せだからよ。
だから悲しいの。だって、そんなの変だよ。
ほっといて、乱暴ね、髪が乱れるわ
こんばんは、ギイ。
こんばんは、マドレーヌ。
きみ、悲しいの? いいえ。
あなたは、幸せそうね。
わかる? ええ。
単語メモ
traficoter (話) (怪しげなこと)をやる、たくらむ
dissipé 注意力散漫な、落ち着きのない
おばさんの家・補足
おばさんはずっと椅子に座ったままで立ち上がりません。ギイだけが、せわしなく動きまわっています。
「幸せだから悲しいのかしら」と涙を流すおばさん。病気のせいでこの世をはかなんでいるのかもしれません。
おばさんの看病をしているらしいマドレーヌも悲しげです。
マドレーヌはとてもきれいな若い女性なのい、黒いヘアバンドに黒いスカーフ、ビニール製らしいコートは、暗めの深緑。
スカートこそピンクですが、全体的に暗い感じです。
この映画は、色で登場人物の気持ちを表しているところが多いので、どうやらマドレーヌは不幸な気分らしい、ということがわかります。
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最初は彼も幸せなのです。最初は。
では、この続きをお楽しみに。
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