久しぶりにことわざをご紹介します。
2月はあっという間に終わってしまいましたね。
人間があたふたしている間にも自然はゆっくりと確実に時を刻んでいます。きょうは季節に関することわざを選びました。
こちらです。
Mars venteux et avril pluvieux font mai gai et gracieux.
3月の風と4月の雨は花々で心楽しい5月をもたらす。
3月の風と4月の雨は花々で心楽しい5月をもたらす
これはちょっと意訳しました。
3月は風が強く、4月は雨が多いけれど、その風と雨が5月に美しい緑や花々を作ってくれるんだ、ということです。
日本でも「春一番」という言葉があるように、春先は風が強くてほこりっぽいですが、フランスもそうみたいですね。
4月に雨が多いのかどうかはわからないのですが、ヨーロッパでは、古くから「4月の雨のおかげで、5月にきれいに花が咲く」、と言われています。
たとえば、14世紀のイギリスの詩人、チョーサーのカンタベリー物語のプロローグ。
When April’s gentle rains have pierced the drought
Of March right to the root, and bathed each sprout
Through every vein with liquid of such power
It brings forth the engendering of the flower;
だいたいの訳:
4月のやさしい雨が、3月の乾いた土地に入り込み、植物の根本までしみ渡って、すべての葉脈をとおして、その力で花を咲かせるとき
(全然、詩になってませんね^^;)
と、歌われています。
3月って乾燥してるようです。
カンタベリー物語のオリジナルは中世の英語で書かれていますので、これは現代の英語に訳したものです。
ちなみに、オリジナルははこちらで読めます。
⇒1. The Prologue to the Canterbury Tales. Lines 1-200. Geoffrey Chaucer. 1909-14. English Poetry I: From Chaucer to Gray. The Harvard Classics
T.S.エリオットも「荒地 The Waste Land」という詩で、雨が荒れた土地のライラックの根を芽生えさせるから4月は残酷な月だ、と歌っています。
確かに日本でも、3月は乾燥してますね。
パリでは、4月といっても、まだまだ寒い日が多く、あるとき、ふっと陽射しの温かい春のような日が訪れることは、小春日和について考える~「虎と小鳥のフランス日記」第46話で知りました。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
mars 3月
venteux, venteuse (土地が)風にさらされた、吹きさらしの;(天候が))風の強い、風がよく吹く
et ~と
avril 4月
pluvieux, pluvieuse 雨の降る
saison pluvieuse 雨季
font < faire ~を作る、~にする の3人称複数の活用
mai 5月
gai 陽気な、楽しい
gracieux, gracieuse 優雅な、素敵な、愛想のよい
直訳 風の強い3月と雨降りの4月が、楽しくて、素敵な5月を作る
英語では?
英語でも、
March winds and April showers Bring forth May flowers.
(3月の風と4月の雨は5月に花を咲かせる)
ということわざがあります。
英語とフランス語とどっちが先なのか、または別々に言われるようになったのかは、歴史が入り混じってるからよくわからないですね。
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フランス語の12ヶ月のまとめはこちら
⇒1月~3月
⇒4月~6月
⇒7月~9月
⇒10月~12月
⇒12ヶ月の名前の復習
3月を歌った素敵な歌です♪
⇒3月の水~ジョルジュ・ムスタキ その1
⇒3月の水~ジョルジュ・ムスタキ その2
⇒3月の水~ジョルジュ・ムスタキ その3
⇒3月の水~ジョルジュ・ムスタキ その4 ステイシー・ケント
ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
その2⇒フランス語のことわざ~目次 その2
3月は年度末。決算や確定申告、新生活の準備でばたばたと忙しい日々を送っている方も多いのではないでしょうか?
でも時には、外を歩いて、まわりに目をやると気分転換できていいですよ。
3月の風を感じつつ、今年もまた、春をもたらしてくれた自然に感謝したいですね。
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