ペ・ド・ノンヌ

フランスのお菓子

一口サイズがかわいい、ペ・ド・ノンヌの作り方:フランスのお菓子(28)

ペ・ド・ノンヌ(pets de nonne)というフランスのお菓子を紹介します。

ペドノンヌ…ひびきがかわいいですよね。なんだかムーミンのノンノンみたいで。しかし、この言葉を直訳すると「尼さんのおなら」となります。

pet ペ は おなら

nonne ノンヌ 修道女、尼さん

ノンヌのペだから、尼さんのおなら。

修道女の正式な言い方は、religieuse (ルリジューズ)で、nonne は昔のカジュアルな言い方のようです。辞書には「[古](ふざけて)」という注釈があります。

仏仏辞典の、vieux ou plais をそのまま訳したのでしょう。

かためのシュー生地を油であげて、砂糖をふりかけた素朴なお菓子です。ドーナツの仲間ですね。

ペ・ド・ノンヌという名前の由来

マドレーヌなどと同じで名前の由来は、はっきりしません。

マドレーヌ⇒コメルシー名物、マドレーヌの作り方:フランスのお菓子(12)

私の持っている本には、、200年ほど前にフランシュ・コンテ地方(Franche-Comté)にある修道院の尼さんが作り始めたと言われている、と書かれています。

記事を油で揚げるとプーっとふくれるから、おならなんだとか。おもちじゃあるまいし、おならは別にふくれませんが。

揚げるときの音が、おならに似ているから、という説もあります。

お菓子を作っていた尼さんが、台所でうっかりおならをしてしまい、隣の尼さんが大笑いして、シュー生地をひとさじ、油の中に落としてできたものが、意外においしかったから、という説もあります。

また、もともとは、paix de nonne (尼さんの平和)だったのが、pets になった、という説もあります。paix と pets は同じ発音です。

お菓子の名前に「平和」という抽象名詞を使うのも変な気がしますが、宗教グループの派閥争いがおさまったときに供されたお菓子だから、という説明つきです。

たぶんみんな作り話でしょう。

ですが、修道女が笑いながら作っているのを想像すると楽しいですね。

こちらは名前の由来のいくつかを説明している動画です。

では、750グラムのレシピを紹介しますね。

ペ・ド・ノンヌの作り方

シュー生地を作って油で揚げます。

材料

  • 20 cl d’eau  水、20センチリットル=200cc
  • 125g de farine 小麦粉125グラム
  • 80g de beurre バター 80グラム
  • 3 à 4 œufs 卵3~4個
  • 1 sachet de sucre vanillé バニラシュガー1パック(通常7.5グラム)
  • 1/2 c à c de sel 塩小さじ2分の1
  • cl = centilitre センチリットル、100分の1リットル
    c à c = cuillerée à café 小さじ ☆大さじは cuillerée à soupe です。

    作り方

    1. 鍋に水とバターを入れて火にかける(弱火)。塩を入れ、バニラシュガーも入れる
    2. バターがとけて、全体が混ざったら、鍋を火からおろして小麦粉を投入。即座に木べらでぐるぐるかきまぜる
    3. 生地がひとかたまりになったら、卵を1つずつ割り入れ、かきまぜる
    4. 生地がもったりした感じになるまで、卵を1個ずつ割り入れてかきまぜる
    5. できた生地を絞り出し袋に入れて、熱した油の上で、しぼりだしていく(少しずつ絞り出し、はさみで切る)
    6. きつね色になるまで揚げる
    7. 紙を敷いた皿にとり、粉砂糖をかける

    ☆油の温度は160度Cぐらい。ドーナツを作る要領です。スプーンを使って油に落としてもいいです。揚げたてがおいしいです。

    もう1つ、ラム酒を入れるバージョンを紹介します。この動画は、Negritaというラム酒のメーカーが協賛しているのか、ふたりとも、Negritaのエプロンをしています。

    しかも、材料の文字が出るときにいちいち、NEGRITAという文字が出てきます。

    材料

  • 20 cl d’eau  水20センチリットル=200cc
  • 125g de farine 小麦粉125グラム
  • 80g de beurre バター 80グラム
  • 4 œufs 卵4個
  • 1 sachet de sucre vanillé バニラシュガー1パック
  • 1/2 c à c de sel 塩 小さじ2分の1
  • 2 c à s de rhum brun  ダークラム 大さじ
  • Sucre glace アイシングシュガー
  • 作り方は最初の動画と同じです。生地がほぼできあがったところに、ラム酒を加えさらに混ぜます。

    生地にレーズンを混ぜて作ったりもします。

    ペ・ド・スールというお菓子もあり

    ペ・ド・ノンヌはカナダのフランス語圏、ケベックでもポピュラーなお菓子です。

    ケベックには、似たような名前の pets de sœur (ペ・ド・スール)というお菓子があります。sœur は姉妹ですが、ここでは、キリスト教の修道女、シスターという意味なので、これもまた、「尼さんのおなら」です。

    しかし、ペ・ド・スールはペ・ド・ノンヌとは全然違うお菓子で、シナモンバンの小さなタイプです。こちらも作り方の動画をのせておきますね。

    やはりケベコワはフランスのフランス語と違いますね。

    関連レシピもどうぞ

    ペ・ド・ノンヌはベニエの一種です⇒カーニバルの定番、ベニエ (ビューニュ) の作り方:フランスのお菓子(15)

    シュー生地の作り方はこちらで練習⇒簡単おやつ、シュケットの作り方:フランスのお菓子(22) | フランス語の扉

    尼さんが作った別のお菓子⇒カヌレとは?~フランスのお菓子~その1

    *******

    このお菓子には別名もあり、« beignet de vent » (ベニエ・ド・ヴァン 風のベニエ) « soupir de nonne » (スピール・ド・ノンヌ 尼さんのため息)と呼ぶ人もいます。「おなら」に抵抗のある人は、こちらを使ってみてもいいかもしれまえん。

    実際とても軽い口当たりです。






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