今週の「虎と小鳥」は日曜日にのんびりブランチを食べるカミーユ(とアントワーヌ)の巻。週末となっているのは、フランスでは週の初日は月曜日だからです。
・・・え?でも、先週もなんかご飯食べてませんでした?確かレバノン料理だったはず・・
今回はイングリッシュ・ブレックファーストとカフェ・グルマンと、フルーツサラダとエスプレッソですが。
それに、カフェやレストランでご飯を食べるエピソード、いったい何度目?
・・・などと思ったのですが、ふたをあけたら、いろんな表現がてんこ盛りの、またまた学びどころの多いエピソードでした。
第107話の見どころ
・合成語の成り立ちの言い方(意外と簡単な文章でいけます)
・レストランでの丁寧な会話
・日曜日に最適の鳩時計
・イングリッシュ・ブレックファースト
今回は場所の移動はないのですが、そのぶん、カミーユがたくさんしゃべっていました。
レストランにいるので、(食べるか)しゃべるしかなかったのかもしれません。
3つのキーフレーズ
では、いつものように3つのキーフレーズをご紹介します。すべて、レストラン「ル・ナポレオン」にて、カミーユがギャルソンにしゃべっている言葉です。
キーフレーズその1
ええと、私はブランチにします。それから温かい飲み物として・・・エスプレッソを。
Alors, je vais prendre le brunch. Avec comme boisson chaude, euh…un café.
キーフレーズその2
アントワーヌがカフェ・グルマン(*後述)を頼みましたら、ギャルソンが、「一緒ですか? Ensemble ?」と聞きます。
カフェ・グルマンはどちらかというとデザートなので、カミーユの頼んだイングリッシュ・ブレックファーストと一緒に持ってきてもいいのかどうか確認したのでしょう。
それに対して、カミーユが
はい。全部、二人で一緒に食べますので。
Voilà, en fait on prend tout ça pour deux, donc euh…
キーフレーズその3
すみません。お会計をお願いできますか?
Excusez-moi, est-ce qu’on pourrait avoir l’addition, s’il vous plaît ?
二人で一緒に食べると言ってますが、いつもカミーユ一人で食べてますよね?
この日も、カフェ・グルマンがテーブルに届いたら、いきなりこんなふうに生クリームをすくってます。
*カフェ・グルマン:エスプレッソにマカロンや小さなケーキなど、ちょっとしたお菓子がセットでついてくるプレート。
以前、「虎と小鳥のフランス日記」第31話 グランマガザンのクリスマスでも出て来ました。
カフェ・グルマンと記していますが、実際の発音はカフェ・グルモンに近いです。
コーヒーにおやつがついてきても、名古屋人の私としては珍しくも何ともないわけですが、フランスではわりと近年の流行りのようです。
キーフレーズから学ぶ~きょうのプチ文法
1のprendreは「注文する」という意味。(定形表現)
2のprendreは「食べる、摂取する」という意味です。
3.はお会計を頼む時の丁寧な言い方。
L’addition, s’il vous plaît ! という表現をよく耳にしますが、
〈addition は、勘定、勘定書き〉
それをかなり丁寧にした形です。
est-ce que は疑問文を作るとき前につけるもの。
on pourrait avoir l’addition, s’il vous plaît.
の pourrait は pouvoirの条件法。
条件法を使うと、より丁寧になります。
これ、(教材として、バリエーションを持たせるため)カミーユがわざと言っているのか、自然に口をついて出たのか知りません。
たぶん、自然に出たのでしょうね。これまで«L’addition, s’il vous plaît !»という表現は、出てきたことないので。
きょうの鳩時計~日曜日に最適!
鳩時計はcoucouです。そう、あの挨拶の「ククー、ククー、サバ、サバビヤン、エトワ」のククーです。
この店に鳩時計が二つあったのですが、一つは針がありません。
針のない時計はもう時計ではないのですが、時間に追われないようにゆったりしてほしいという店側の配慮ですね。
un coucou qui a pas d’aiguilles (針のない鳩時計)
もう一つは11時5分前をさしたままの時計。もしかして、おやつの時間でしょうか?
un autre coucou qui indique onze heures moins cinq.
この二つの鳩時計を見て、カミーユは
C’est les coucous parfaits pour le dimanche, quand on a envie de décrocher de la semaine, du rythme effréné. Qu’on n’a absolument pas envie de savoir l’heure qu’il est.
平日の忙しいリズムから切り離されたい日曜日には申し分のない鳩時計ね。それから何時か知りたくない時にもね。
と言います。
この文章、素敵ですね。
単語メモ
décrocher はずす、取る ⇔ accrocher
éffréné とてつもない、激しい ←frein ブレーキ
rythme éffréné はブレーキがかかっていない、抑制されない、ものすごくスピードの出ている、忙しい平日のリズムということです。
この単語の語源は ラテン語(アクサンつけてません)の effrenare 「手綱をゆるめる」の過去分詞より。
Qu’on = que on このqueはquandと同じ「~の時」という意味です。
★時計の読み方(時間の表現)はこちらでどうぞ。
この回はほかにも「ブランチ brunch」という言葉の成り立ち breakfasut + lunch を冒頭でカミーユが話しています。
こういう2語から合成された言葉をかばん語といいます。かばん語の説明はこちらの記事に⇒ダウン症の従業員が6人いるナントのちょっと特別なレストラン。
いつも、興味深い表現が盛りだくさんなのですが、とても全部はブログに書ききれません。
★次回予告:イングリッシュ・ブレックファースト★
予定は未定ですので、まったく別の記事を書く可能性もあります。リクエストありましたら、お聞かせ下さい。
今回の舞台のレストラン、Le Napoléonの所在地:73 Rue du Faubourg Saint-Denis, 75010 Paris, France
たった今自分でも勉強してきたばかりのところだったので、臨場感をもってpenさんの解説読ませていただきました。すごくわかりやすかったです!prendreの意味をこうやってはっきり書いてもらえると頭に入りやすいですね。すばらしい、penさん!!ありがとうございます。
Rさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ああ、タイミングがよかったのですね。
すばらしい、だなんてほめすぎですけど、うれしいです。
これからもよろしくお願いします。