ジャン・ギャバンとミッシェル・モルガンという往年のフランス映画のスターをご存知でしょうか?
きょうはこの二人の名前の読み方をチェックしながらフランス語のつづりのルールに慣れていきましょう。
ジャン・ギャバン(1904-1976)Jean Gabin
Jean をジーンと読むのは英語読みです。フランス語ではJe-an と音節*が切れるので、「じゅおん」。Jeは「私は」のjeと同じ発音。anは鼻母音で「あん」というより「おん」です。
*音節:母音を核とした文字のグループ。私の名前pen(ぺん)は一音節です。
最後の音は鼻に抜けるので「ん」ではないのですが、書きようがないので一応「おん」と書きます。
Gabin は Ga-bin というふうに音節が切れます。gaは「ぎゃ」(garçon ギャルソンのぎゃ)、bin はbの音にin(あん)という鼻母音。「あん」と書いてますが、これまた最後は鼻に抜けます。彼は姓、名前ともに鼻母音が入っています。
ジョン・ギャバンと書いたほうがもとの音に近いです。
ミッシェル・モルガン(1920年生。まだご健在)Michèle Morgan
mi-chè-le mor-gan というふうに区切ることができます。だいたいローマ字読みでいけますが、ch は「し」、最初のèはアクサンがついているので「え」。次のeは「う」(あるいは無音とも言える)。
morは「もる」ですがrでのどをならす音。ganはgの音にJeanのanと同じ鼻母音です。「みしぇーる・もるごん」という感じになります。
なぜ突然二人をとりあげたのかというと、きのう紹介した歌と訳詞:Mon mec à moi(モン・メック・ア・モア)/パトリシア・カースに C´est Gabin et Morganという箇所があったから。これはジャン・ギャバンとミッシェル・モルガンのことです。
『霧の波止場』Le quai des brumes
この二人は以下の二作共演しています。
1938年の『霧の波止場』Le quai des brumes
1941年の『曳き船』 Remorques
「霧の波止場」についてのテレビドキュメンタリーより、アナウンサーがふたりの名前を読み上げている短いクリップがあります。聞いてみてください。
埋め込み禁止なのでYouTubeでどうぞ⇒Archive du tournage du film Le Quai des brumes – YouTube
こちらは「霧の波止場」の予告編です。
ミッシェル・モルガンはこのとき、まだ18歳になるかならないかです。役の上でも17歳ぐらいの美少女。でもすごく大人っぽくて、とてもそんなふうに見えませんね。みょうに貫禄があります。
大きな目が美しくまた眼力のある女優さんです。
お話は霧に煙る波止場に、わけありな人々が集まり、いろいろあって主人公二人は船にのって新天地にむかうことにするのですが・・・。
予告編の最初でトラックの助手席に乗っているジャン・ギャバンが横から急にハンドルを切っているシーンがあります。実は車の前を犬が横切ろうとしたから助けたのです。
やさしい人なんですね。
監督はマルセル・カルネ、シナリオはジャック・プレヴェール。
ジャック・プレヴェールがすてきな台詞をたくさん書いています。
ジャン・ギャバンが「君の目はきれいだね」とかなんとか、日常生活でいうと歯が浮くような口説き文句をいろいろと決めます。
昔の映画はみな、ゆっくりしゃべるので、今見てみるとフランス語の勉強になりそうです。
マルセル・カルネやジャック・プレヴェールの関連記事
【マルセル・カルネ】
⇒『枯葉』Les Feuilles mortes イブ・モンタン~歌と訳詞
⇒カヴォー・ドゥ・ラ・ユシェット:その1 パリの秘密結社のアジト編
【ジャック・プレヴェール】
⇒ジャック・プレヴェールの詩『朝食』は複合過去の学習に最適
⇒『劣等生』~ジャック・プレヴェールの詩で学生時代を思い出す
⇒Le Jardin(ジャック・プレヴェール)という詩を読んでみた
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古い映画はセリフまわしがゆっくりなのは日本映画も同じですね。デジタル機器の発達などで、生活のスピードが早くなると、人のしゃべり方も早くなるのでしょうか?
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