ブーローニュの森

不思議の国のフランス

ブーローニュの森とパリ植物園。憩いの場所だがフランス語で説明すると疲れる場所

アガットが案内するパリ。今回は、ブーローニュの森と、パリ植物園です。

ブーローニュの説明で、怒涛のように単純過去がでて来て、聞き取りが難しかったです。ここは要復習です。

まずそれぞれの場所について、簡単に日本語で説明しておきます。

この教材でブーローニュの森が出てきたのは初めてだと思います。

ブーローニュの森(le Bois de Boulogne)

ブーローニュの森
ブーローニュはパリの西、セーヌ川右岸にある公園です。16区にあります。ブローニュとも書かれます。

昔は、フランス国王がこの森で狩猟をしていました。かなり広大で、湖、池、沼地、滝もあります。

1848年にこの場所は国有地になりました。その後、ナポレオン3世がこの森を大改造。彼は、ロンドンに亡命していたとき、イギリスの公園にえらく心を慰められていたそうで、パリにもそういう公園が必要だ、と思ったのです。

そして、わざわざ4000本の樹木を飢えたり、地面を掘って、湖や川、滝などを作りました。もともとあったわけではないのですね。

パッシーというところから、水をひくために、さらに地面に穴を掘りました。また乗馬用コース(95キロ!)も作ったそうです。

これは相当執念と予算がないとできないことですね。ナポレオン3世のおかげで、今はこの森は市民や旅行者の憩いの場所になっています。

パリ植物園(le Jardin des Plantes)

パリ植物園
パリ5区にある植物園。この場所は以前、「虎と小鳥のフランス日記」で出てきました。こちらに詳しく書いています⇒パリ植物園~織田先生一押し

ルイ13世の時代(17世紀前半)に、王立薬草園として作られました。その後、さまざまな植物を研究する場所になっています。その機能は、単に公園っぽい場所というより、植物の研究機関という感じ。

植物園のほかに、温室、博物館、動物園などもあります。

ここはあまり観光客が来ないそうで、静かでおすすめだとアガットが言ってました。ここにある植物はすべて分類されて、そのデータがパソコンに入っています。ずっと観察されているそうです。なかなか大変な仕事ですね。

きょうの文法ポイント:分詞構文と抽象名詞

今回は、古くからある場所をアガットがナレーションで説明している箇所が多かったです。そのフランス語は会話とは違う、いわゆる書き言葉です。

書き言葉でしか使われないものとして、前回は単純過去を紹介しました⇒エッフェル塔の説明を聞いて単純過去に親しむ

今回は分詞構文と抽象名詞を紹介します。

分詞構文(ぶんしこうぶん)

分詞構文というのは英語でも出てくるのでおなじみの方が多いと思います。分子(現在分詞と過去分詞)を使った文章です。メインの文章の説明をしたいときに使われます。

2つの文章で説明するところを1つにまとめたいときに便利な構文です。

たとえば
Etant malade, elle n’est pas venue hier soir.
病気だったので、ゆうべ彼女は来なかった。

このetantがêtre の現在分詞です。

動画に出てきた文章は、
Ancien terrain de chasse des rois de France, le bois de Boulogne est devenu le grand lieu de détente de l’ouest parisien.
古くはフランス国王の狩猟の場であったブーローニュの森は、現在パリ西方の広大な憩いの場所となっています。

Ancien terrain de chasse des rois de France, が分詞構文です。実はetant が省略されています。省略してもいいのです。

分詞構文はメインの文章の説明をしている、いわば付け足しなので、読解してるときは、メインの部分をさっと見つけてそこを理解することが大切です。

もっと分詞構文について知りたい方は以下の記事をごらんください:
ジェロンディフ~ラジオ講座64課

仏作文に便利な非人称表現や分詞の使い方

ワンランク上の翻訳~主題文とセンテンス

抽象名詞

抽象名詞は具体的なものを表していない名詞です。
自由、博愛、平等とか。フランス語はすごくたくさん抽象名詞が出てきます。日本語は動詞表現が多いため、抽象名詞をそのまま辞書の意味を使って訳すと、いかにも翻訳調の堅い文章になります。

しかし実際のところ、そこまで四角張った意味では使っていないようです。

ふつうの会話でもどんどん出てきます。

上に書いた文の le grand lieu de détente の détente(くつろぎ、休息)が抽象名詞です。

今回の動画でもう1つ例をあげると
Elles sont rassemblées selon des critères scientifiques ou selon les nécessités de la diffusion des connaissances.
植物は、科学的な条件や、知識の普及の必要性によってまとめられています。

これは、パリ植物園にある植物がどんなふうにデータ化されているか説明しています。「科学的な条件」とか、「知識の普及の必要性」って何さ?ってなりますよね。

抽象名詞は抽象的だから、訳しにくいんですよね。

「科学的な条件」はたぶん、植物を見た目だけじゃなくて、分布の状況とか、花が咲くとか咲かないとか、遺伝的関係があるとかないとか、いろいろ分類することだと思います。

「知識の普及の必要性」は皆目わかりませんが、たとえば毒キノコみたいなのは知っとかないとまずいから、そういうのは「毒あり」とかでひとまとめにしてあるのかもしれません。

この文章には以下の4つの抽象名詞が出てきます。

critère  判断の基準、根拠、理由

nécessités  必要性

diffusion  普及

connaissance  知識

critèreを使った例文:
Son seul critère est l’avis de son père.
この文章を直訳すると、彼の唯一の判断基準は父親の意見である、といかにも堅いんですが、辞書には「彼は父親の意見だけが頼りだ」とうまく訳してありました。

文脈によっては、「彼は父親の言うことならなんでも聞く」といったふうにも訳せます。

この抽象名詞をいかにたくさん覚え、いかにうまく使いこなすかによって、フランス語の表現能力や読解力が大きく変わります

そのせいか、仏検準1級から、形容詞や動詞から名詞を作る問題が出ます。いわゆる「名詞化の問題」です。この問題、すごく難しいんです。難しいんですけど、こういうのが得意になると、フランス語力が伸びると思います。

この問題の対策にはフランス語名詞化辞典という参考書を使う人が多いです。この本に出てくる文章がまた難しいです。

もとの形容詞、動詞が難し目です。

この本についてはこちらの記事に書いています⇒『フランス語名詞化辞典』を買いました。 買っただけでまともに勉強していないので、見た目のレビューしか書いていないというしょうもない記事です。難しすぎるのでお蔵入りとなっております。

この本をやる下準備として、こんな記事も書いています⇒比較的簡単な動詞の名詞化のリスト この記事3年前に書いているのですが、ここからほとんど前進していないですね。

抽象名詞についてもっと勉強したい方はこの記事をどうぞ⇒抽象名詞や名詞構文の訳し方のコツとは?

今回気になった単語

第40話は難しい単語がちらほらあり、辞書を何回かひきました。その中から3つ紹介します。

îlot de verdure 点在する緑の木立
ブーローニュの森の説明です。îlot は 小島、孤立した小さな群れ、一区画。森の説明をするときは、単に「緑の一画」でいいでしょうかね。

このverdure も抽象名詞で、緑、植物、草木のこと。会話では「生野菜」という意味でも使われます。これては英語と一緒ですね。Eat more green. もっと野菜を食べなさい、なんて言いますから。

hippodrome   競馬場
ブーローニュの森のそばに競馬場があります。

points cardinaux   東西南北
cardinal は、基本の、とか かなめとなる という意味です。場所における基本的な点は東西南北なので、こういう意味になるのでしょう。

第40話はフランス語は難しめでしたが、映像ではたくさん緑がでてきて心がなごみました。

植物園っていいですね。
本当に心がいやされます。

ですが名古屋の東山植物園は坂道がいっぱいだから、足が棒になります。憩いの場所というより、筋トレの場所みたいな気がします。

次の「不思議の国のFrance」はこちら⇒パレ・ロワイヤルに行ったら必ず寄りたい小さなかわいいアクセサリー屋さん

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