2014年からイスラム国が占領していたシリア北部の街、ラッカが、2017年10月17日に解放されました。
このニュースを伝える子供新聞記事を紹介します。10月20日投稿された記事です。子供新聞なのでかなり簡単に書かれています。
シリアのラッカがダーシュから解放された
La ville de Raqqa en Syrie, entièrement libérée de Daesh
今週、5ヶ月の戦闘の末、ダーシュのテロ組織はラッカの支配権を失いました。彼らは、2014年からこの街を占領し、自らの政府を置いていました。
1jour1actuでは、なぜ、ラッカを失ったことが、ダーシュの敗北を意味するのか説明します。
ラッカはどこ?
ラッカは、シリアの中心にある街です。ダーシュ(別名イスラム国)のテロ組織がシリアから奪い、イスラム教のカリフ(califat islamique)を設置していました。
カリフを理解するために、この動画を見てください。
ダーシュは2014年にラッカを奪い、自らの首都としました。大勢の組織の人間、ジハーディストと呼ばれますが、彼らがここに住み着き、政府と内閣が置かれました。
彼らは恐怖政治をして、街の住民にひじょうにきびしい戒律を守るように強いました。
たとえば、スポーツや音楽などどんな活動も許可されず、タバコもアルコールも禁止されました。
男性はひげをのばし続けなければならず、女性はニカブ(niqab)なしで外出してはいけませんでした。ニカブは、顔と身体をおおう黒いベールです。
なぜダーシュにとってラッカは重要な街なのか?
ダーシュにとってラッカはとても重要な街です。なぜならトルコとの国境にとても近い場所にあるからです。大勢の外国のジハーディスト、特にフランスのジハーディストが、この組織に参加するためラッカにやってくるときは、トルコから入っていたのです。
ラッカで、欧州にしかけられたたくさんのテロが計画されまいた。たとえば、2015年11月13日、パリで起きたテロもそうです。
なぜ今週、ラッカがこんなに話題になっているのか?
水曜日、ラッカはダーシュのジハーディストから解放されました。おもにアメリカが援助している戦闘員の介入によってです。
この戦いは、シリアで紛争が始まってから、もっとも激しいもので5ヶ月続きました。街の10のうち8つの建物は壊され、大勢のジハーディストが殺されました。それだけではなく、住民も1000人以上亡くなり、そのうち270人は子供です。
ラッカの解放は、ダーシュがもうなくなる、という意味なのか?
この質問に答えるために、1jour1actuは、シリアの専門家、トマ・ピエールにインタビューしました。
「ダーシュはとても衰弱しています。組織はどんどんテロリストや人員を失っています。
数ヶ月のうちに、おそらく、すべての拠点を失うでしょう。
しかし、だからといってダーシュがなくなるわけではありません。彼らは、世界のどこからでも、テロ攻撃を仕掛けることができます。
しかし拠点を失ったので、これまでより、攻撃を仕掛けることが難しくなりました。また、ジハーディストとしてリクルートした人間をトレーニングする場所もありません。
これまで欧州でテロを起こしたテロリストの多くが、一度はシリアに入っています」。
元記事 → La ville de Raqqa en Syrie, entièrement libérée de Daesh
単語メモ
perte 失うこと、喪失 動詞は perdre
défaite 敗戦、敗北 ⇔ victoire
faire partie de ~の一部をなす、~に所属する
emparer 奪う
califat カリフ;預言者ムハマンドの後継者。イスラム国家最高権威者。
terreur 恐怖政治
autoriser 許可された
affaibli 弱くなった
s’entraîner 訓練する
Daesh ダーシュは ISのテロ組織のこと。フランスや中東のメディアでは、彼らをこう呼んでいます。日本語では、ダーイシュ、ダーイッシュと書かれることもあります。
djihardiste ジハーディストは、イスラム過激派のテロリスト。djihard ジハードは、「全力をつくして戦う」という意味のアラビア語で、イスラムを守るために異教徒と戦う聖戦を意味します。
廃墟となったラッカ
ラッカが陥落し、ISはその国家と首都を失いました。解放したのは、アメリカ軍の支援を受けているシリア民主軍(SDF)です。
イスラム国はほぼ壊滅したのですが、街もとことん破壊しつくされました。空爆のせいです。
こちらは、フランスのメディアのニュース。ラッカが陥落したと伝えられた日より2日ほど前のニュースです。2分10秒。
こちらはRTの英語のニュースです。ニュースで語っているジャーナリストは、「これは解放ではなく破壊だ」と言っています。3分19秒。
このニュースによれば、空爆は、ジハードの根城ではなく、学校や病院などのインフラを狙って行われ、住民はライフライを断たれた、とのこと。空爆により2000人以上の住人が亡くなったそうです。
ラッカに残っていたテロリストは1000人に対し、SDFは35000人いるそうです。
ラッカを解放するつもりなら、もっと早く解放できた、と現地のジャーナリストは語ています。
まだ、ラッカには2万人以上、住民が残っていて、なすすべもないのに、テロリストたちは、逃げ道があるそうです。
■テロ関連の過去記事の一部■
フランスの子どもたちにテロリズムについてどうやって説明するか?
フランス革命記念日に起きたニースのトラックテロ事件の象徴すること
2017年3月22日のロンドンのテロ。いったい何が起こったのか?
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イスラム国は事実上崩壊したと言われていますが、ラッカで、日常的に処刑や戦闘を見てきた人たち、空爆や地雷の恐怖にさいなまれていた人たちは、これからどうなるんでしょうね。
街はあんなふうに破壊しつくされてしまったし。
特に子供たちのことを思うと胸がいっぱいになります。
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