NHKのラジオ講座「まいにちフランス語」の秋季講座のストリーミングが今週から始まりました。
今回の初級編は2012年の春の再放送です。題して「百合のFranceウォッチング」
講師は藤田裕二先生とシルヴィ・ジレ=鈴木先生。去年、最初の2,3回を聞いて挫折した記憶があります。
きょうは番組のテーマソングを訳してみました。
プレヴェールに捧ぐ
タイトルは La Chanson de Prévert
セルジュ・ゲンズブール(Serge Gainsbourg)の初期の名曲ですね。1961年の発売なので50年以上前です。
タイトルの直訳は「プレヴェールの歌」
詩人のジャック・プレヴェールが作詞し、パートナーのコスマが曲をつけたかの有名な「枯葉(かれは)」という歌へのオマージュです。
オマージュ(hommage)は敬意、尊敬、献辞という意味。
おまんじゅうではありません。
よく似たことばにゴマージュ(gommage)がありますが、これはお肌の角質をとること。ピーリング。
「枯葉によせて」という邦題もありますね。
それでは、まず聞いてください。スローテンポで聞き取りやすいと思います。
歌詞の動画です。
きょうは最初の2節、動画の58秒まで訳します。
※歌詞はこちらです⇒Serge Gainsbourg – La Chanson de Prévert Lyrics | Genius Lyrics
La Chanson de Prévert プレヴェールに捧ぐ
ああ、きみが覚えていてくれるといいな
この歌は君のものだったね
君のお気に入りだったよね、確か。
プレヴェールとコスマの曲さ
Et chaque fois les feuilles mortes
te rappellent à mon souvenir,
jour après jour
les amours mortes
n’en finissent pas de mourir.
枯葉の季節が来るたびに
君のことを思い出すんだ
毎日毎日
死んだはずの恋だけど
死に切らない恋ってわけ
★この続きはこちらから⇒歌と訳詞:プレヴェールに捧ぐ~セルジュ・ゲンズブール 後編
ちょっぴりフランス語の解説
rappeler 思い出させる
rappeler 人/物 (à 人)
(…に)~を思い出させる、想起させる
les feuilles mortes te rappellent à mon souvenir
枯葉が私の記憶に君を思い出させる
⇒枯葉の季節になると僕は君のことを思い出す。
ほかの例文
Ces lieux me rappellent mon enfance.
こうした場所に来ると私は子どものころを思いだす。
枯葉~feuille morte 死んだ葉
枯葉は フランス語でfeuille morte 「死んだ葉」です。
mort(e)は動詞 mourir(死ぬ)の過去分詞。
プレヴェールの「枯葉」でもこのmourirにかけて、2人の別れを「愛が死ぬ」、としています。
そして、その「枯葉」をモチーフにしているゲンズブールのこの歌も、「昔の恋人への思いは死なない」と歌っているわけです。
teは誰かというと、昔の恋人ですね。
彼女が「枯葉」を好きだったのです。
舗道が枯葉で埋まる秋に、彼女のことを思い出しているのですね。
一番最初の
Oh, je voudrais tant que tu te souviennes
これはプレヴェールの「枯葉」の一番最初の文と同じです。
でも、歌の部分はふつう、
C’est une chanson qui nous ressemble
Toi, tu m’aimais et je t’aimais
から始まります。
参考までに、冒頭の部分の朗読も入っているイブ・モンタンの「枯葉」をご紹介します。
※歌詞はこちらにあります⇒Les feuilles mortes
※「枯葉」はこちらで訳しています⇒『枯葉』Les Feuilles mortes イブ・モンタン~歌と訳詞
日本語の「枯葉」は枯れた葉で、死んだわけではないと思うけど、木から落ちたら、植物学的(?)には死んでしまったのでしょうか?
でも、押し花とか押し葉とかありますしね。
やはり死んでないような気がします。
それとも押し葉は死んだ葉のミイラでしょうか。
関連記事へのプチリンク集
ジャック・プレヴェール
⇒Le Jardin(ジャック・プレヴェール)という詩を読んでみた
⇒『劣等生』~ジャック・プレヴェールの詩で学生時代を思い出す
⇒«L'accent grave» ジャック・プレヴェール FC2
セルジュ・ゲンズブール
⇒歌と訳詞:Laisse tomber les filles~フランス・ギャル(娘たちにかまわないで)
⇒レペットの歴史 その2|penのフランス語日記 Ameba出張所 ゲンズブールがよくはいていたZiziという靴のことなど。
藤田先生のスキットは百合という女性が出てくるストーリー仕立ですね。久松先生のはストーリーのない文法項目を入れたダイヤローグでした。
無料レポートを請求してくださったある方は、ストーリーがあるほうがおもしろいから続く、と書かれていました。このへんは好き好きでしょうね。
実は放送はまだ全然聞いていないのですが、この記事を書くために、NHKのストリーミングが聞けるページ⇒NHK語学番組 | まいにちフランス語 |は見ました。
講座のエンディングテーマはZAZの« Éblouie par la nuit »「眩しい夜」ですね。この曲は⇒歌と訳詞:Éblouie par la nuit『眩しい夜』~ザーズで訳しています。
そして、応用編のエンディング曲はなんとヴァネッサ・パラディの「ラ・セーヌ」とあるではないですか。
この曲もたまたま数日前に、⇒歌と訳詞:ラ・セーヌ~ヴァネッサ・パラディとM で訳したばかりです。
番組だとちょっぴりしか聞けませんが。
Youtubeをざっと当たってみましたが、フランス人はギャンズブールと発音します。
jean-claudeさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
彼の名前ですが、Ballade de Johnny-Janeなんか聞くと、
本人はガンズブールと言ってるような気がします。
これ⇒http://youtu.be/Ca9CNfZrk-8
ガとギのあいだですかね?カタカナでは書きあらわせませんから。
ただ、日本では一派にゲンズブール(あるいはゲンスブール)という表記ですので、このブログではその名前を使っています。
彼の情報を探すとき、ふつうの日本人は「ゲンズブール」とタイプすると思うからです。
ご指摘ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。